仮想通貨スタートアップの支援プログラム
暗号資産(仮想通貨)取引所コインチェックを運営するコインチェック株式会社は28日、Web3.0(分散型ウェブ)時代を牽引するスタートアップを支援するプログラム「Coincheck Labs」を開始することを発表した。
同プログラムの出資第1号は、日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network」を運営するSTAKE TECHNOLOGIES PTE. LTD.に決定したことも併せて明かされた。なお、具体的な出資額は明かされていない。
3つの提供サービス
Coincheck Labsは、仮想通貨・NFTネイティブなプロダクトの起業家、スタートアップ、コミュニティを支援し、日本のブロックチェーン・WEB3.0エコシステムの成長を支援することを目的としている。
ブロックチェーンの基幹領域からアプリケーション領域までのプロダクトを対象に、以下の3つを提供する。
- スタートアップ支援──仮想通貨・NFT関連の起業家・スタートアップ・コミュニティの支援。具体的には、トークン設計や財務・会計に関するアドバイス、ハッカソンなどのイベント運営を行う
- 調査──仮想通貨・NFT・GameFiなどブロックチェーン動向の調査・情報発信
- 投資──仮想通貨・NFTネイティブなプロダクトを開発するスタートアップへの株式やトークンへ出資
同プログラム開始の背景には、日本国内における仮想通貨・NFT分野の法整備が整っていない現状があると同社は説明する。
現在、ブロックチェーンを基盤とした分散型デジタル時代「Web3.0」が、世界中でムーブメントとなり、暗号資産・NFT関連などWeb3.0を牽引するスタートアップへの投資が加速しています。一方、日本においては暗号資産・NFT分野は会計・法律などのルールが明確でなく、それらに関する専門知見が必要なため起業の難易度が高いとされ、諸外国に比べ起業家が不足している現状があります。
コインチェックでは、仮想通貨取引所サービス「Coincheck」やNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」などのサービスを運営しているが、これらの運営におけるノウハウを「Coincheck Labs」を通じて共有し、仮想通貨・NFT関連スタートアップを支援し業界全体を盛り上げていく考えだ。
STAKE TECHNOLOGIESとは
STAKE TECHNOLOGIESは、日本発のパブリックブロックチェーンAstar Networkを開発する企業。
Astar Networkは、Web3.0の基盤を目指しており、2021年12月には異なるブロックチェーンの相互接続をするPolkadot(DOT)エコシステムの第一弾パラチェーンオークションで接続先のひとつとして枠を勝ち取り、世界3番目にPolkadotに接続された実績がある。
17日に正式にローンチされ、トークンの「ASTR」は、仮想通貨のHuobi GlobalやGate.io、OKExなど海外取引所に上場を果たしたが、同社CEO渡辺創太氏は「Astarは本当は日本でローンチしたかった」と悔しさを滲ませている。
このタイミングだからこそ言いますが、Astarは本当は日本でローンチしたかった。日本の暗号資産税制は変えないといけない。ここが重点課題。もしAstarを日本で12月ローンチしてたら来季、300億円くらいの税金になる。現金ないので税制で会社が潰れます。業界全員で働きかけてここを変えていきましょう
— 渡辺創太 v1.0(Astar&Shiden Network) (@Sota_Web3) January 18, 2022
2021年11月には、日本経済新聞が税制面の問題から海外移転を余儀なくされた有望スタートアップ創業者たちの悲痛な声を紹介した記事を掲載しているが、日本では過剰規制や法律の未整備が孕むリスクへの懸念などから人材の流出が深刻な問題となっている。