日本取引所グループがデジタル環境債を検討
日本取引所グループ(JPX)は15日、株式会社BOOSTRYの技術を活用し、「グリーン・デジタル・トラック・ボンド(デジタル環境債)」としてセキュリティ・トークン(ST)を発行し、資金調達することについて検討すると発表した。
これは、世界的な脱炭素社会実現に向けたカーボン・ニュートラルの達成や、デジタル化を通じた債券発行に係る事務全体の効率化に向けたものだ。
日本取引所グループは、国内最大の「東京証券取引所(東証)」を傘下に持ち、株式会社BOOSTRYは、ブロックチェーン技術を用いた有価証券等の権利を交換する基盤の開発を行う企業。出資比率は、野村ホールディングス 56%、野村総合研究所 34%、SBIホールディングス 10%。
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検討の背景
JPXは、JPXグループ全体で消費する電力の100%を再生可能エネルギーに切り替え、2024年度までにJPXグループ全体でのカーボン・ニュートラル達成を目指している。
今般、その一環として計画する「太陽光発電」への投資、廃食用油を燃料とする「バイオマス発電」設備への投資金額の一部を、今般検討する「グリーン・デジタル・トラック・ボンド」として調達することを検討する。
グリーン・デジタル・トラック・ボンドとは
グリーン・デジタル・トラック・ボンドとは、これまでの環境債で発行体・投資家双方で課題と認識されているグリーン投資にかかるデータの透明性やデータ収集にかかる作業の煩雑性に対し、ブロックチェーンなどデジタル技術を活用して、透明性の向上及びデータ収集の効率化を目指す債券のこと。
今回発行予定の債券によって調達した資金使途の透明性を高めるため、太陽光発電設備・バイオマス発電設備の発電量を自動的に計測し、CO2削減量に換算する仕組みを構築する。
こうしたデジタル技術を活用することで、投資家がいつでも外部からモニタリングできる仕組みを構築し、年次のレポーティングだけではない高い透明性を目指すという。
本債券は、BOOSTRYが提供するセキュリティ・トークンのプラットフォーム「ibet for Fin」を用いることを予定。ibet for Fin は、証券トークンの発行と流通に特化したブロックチェーンコンソーシアムである。
同プラットフォーム上に発電量/CO2削減量を記録することで、データの信頼性を高めることが可能となるほか、投資家の保有状況を即時・正確に把握できるセキュリティ・トークンの特性をIRにも活用していく予定としている。
セキュリティトークンには、非中央集権型管理にみられるブロックチェーンの特徴を活かした有価証券取引の簡素化やコスト低減、新しい商品の組成、新しい取引形態の実現が期待されている。