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カナダ当局、コインベースとクラーケンCEOらの発言を問題視  デモ関係者への仮想通貨送金の制限受け

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

コインベースCEOらの発言を問題視

カナダのオンタリオ州証券委員会は、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースとクラーケンのCEOがツイートした内容を問題視し、現地の警察機関に報告した。地元メディアRegina Leader Postが21日に報じた。

両氏は、セルフカストディ型ウォレットの重要性を示唆するツイートを行っており、このことが、デモ鎮圧のため、その資金源の抑制する政府側から問題視された格好だ。

背景

現在カナダでトラックデモ鎮圧のため、緊急事態法が発動されていることがある。デモは、カナダ政府が米国との国境を越えるトラック運転手にワクチン接種を義務化したことをきっかけとして開始した。

ワクチン義務化に抗議するトラック運転手らが、道路占拠や、国境封鎖を続けていることから、トルドー政権は2月中旬に緊急事態法の発動に踏み切った。

これを受け、王立騎馬警察(RCMP)は仮想通貨取引所に、デモに資金を提供するウォレットの取引を停止するよう通知。RCMPは、仮想通貨取引所だけではなく、銀行など従来型金融機関からクラウドファンディングプラットフォームまで、金融セクターの広範囲を対象として同様の指示を行っている。

関連カナダデモ鎮圧、警察が特定の仮想通貨ウォレットの取引停止を要請

カナダ王立騎馬警察(RCMP)とは

カナダ連邦政府の国家警察。自動車が発明される前の時代から存在しており、かつては馬により巡回していたため「騎馬警察」の名前が残っている。

▶️仮想通貨用語集

CEOらの発言

しかし、カナダの動向を受けコインベースのブライアン・アームストロングCEOは、緊急事態法により、金融機関が法廷命令なしで、デモ関連口座の凍結ができるようになった状況を懸念。次のように憂慮していた。

このような措置が行われるのを目撃すると心配になる。どの国であろうと懸念されるが、特にカナダのような経済的に自由な国でこのようなことが起こっている場合には心配だ。セルフカストディ型ウォレットは重要だ。

アームストロング氏が、セルフカストディ型ウォレットの重要性を指摘したことが、規制当局の目にとまったと考えられている。デモを支援する人々に、当局の規制を回避する方法を教えているようにも捉えられた格好だ。

また、クラーケンのジェシー・パウエルCEOも、緊急事態法に関連して「カストディ機関のウォレットから、直接資金を送信しないように。凍結命令を受けることになるのは確実だと思う。送信する前にセルフカストディ型ウォレットに出金するべきだ」とツイートした。

セルフカストディ型のウォレットとは

取引所などではなく、自分で秘密鍵を管理して資産を保有するために使用するウォレットのこと。「自己ホスト型」や「自己管理型」などと呼ばれることもある。

▶️仮想通貨用語集

オンタリオ州証券委員会は、こうした発言を問題視し、騎馬警察に報告した。

カナダの法律事務所McLeod Lawで、仮想通貨部門を担当しているマシュー・バーゴイン氏は、アームストロング氏とパウエル氏のツイートは、彼らを当局の指定人物にするレベルにまでは達していないだろうと意見している。

パウエルCEOは、デモを行っている組織に資金を寄付したことも明かしている。これについてバーゴイン氏は、寄付は今回の口座凍結に関する通達が出される前に行われたものであるため、パウエルCEOの口座が凍結されるようなことにはならないだろうと見解を述べた。

クラウドファンディングプラットフォームへも登録義務

カナダ政府は、今回の事態をきっかけに、規制範囲を拡大。仮想通貨事業者に加えて、仮想通貨と法定通貨の両方を受けつけるクラウドファンディング・プラットフォームにも、当局への登録義務が拡大されており、この変更は恒久化される見込みだ。

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