はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

米政府、ロシアに大規模な経済制裁を発令|緊迫続くウクライナ情勢

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ロシアへの金融制裁

米バイデン大統領は24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、ホワイトハウスで演説し、プーチン露大統領を「侵略者」として激しく非難するとともに、ロシアへの大規模な経済制裁を課すことを明らかにした。

ホワイトハウスによると、この制裁措置は「ロシアの大手金融機関に厳しいコストを課す」ことで、世界の金融システムからロシアを「さらに孤立させ」、ロシア経済の弱体化を図ることを目的としている。

今回発表された金融制裁措置は、ロシア最大手のズベルバンクと2位のVTBバンクを含む大手金融機関10社を対象にしており、対象資産はロシアの銀行領域の80%に相当。

制裁内容には、コルレス口座及びペイアブル・スルー口座へ制裁により米金融システムへのアクセスを遮断(ドル取引アクセスの制限)、米国内資産の凍結、米国人との取引の禁止などが含まれる。

また、ガスプロムやロステレコムをはじめとするロシアの主要企業や団体13社に対しても、新たに満期が14日を超える新規債券や新規株式の全取引、融資提供などが制限される。

なお今回も、国際送金の決済ネットワークである「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から、ロシアの銀行を排除する制裁は見送られた。

特別軍事行動の根拠

米国によるロシアへの厳しい金融制裁措置は、プーチン大統領が国民に向けた緊急演説で、特別軍事作戦の実施を発表したことを受けたものだ。

プーチン大統領は、ロシアと歴史的、文化的に繋がりが強く、ロシア系住民が多く居住するウクライナ東部のドネツク及びルガンスク共和国が、ロシアに対し支援を求めたことを、特別軍事作戦の根拠としている。

ロシアの軍事行動は、ウクライナ政府によって8年間、虐げられてきた同地方の住民を保護するための作戦であり、ウクライナの非武装化を図ることが目的であると、プーチン大統領は主張した。

仮想通貨利用の可能性は

ロシアへの経済制裁の対象には「ロシアのエリートとその家族」といった個人も含まれている。

しかし、暗号資産(仮想通貨)の普及により、従来の金融ネットーワーク外での取引が可能となったため、大規模な制裁装置を回避できる可能性が生まれているのも確かだ。

投資調査・顧問企業「Quantum Economics」のMati Greenspan最高経営責任者は、富裕層にとって、金融制裁による銀行口座凍結に対する懸念は、ビットコインで資産を保有することで解消できるとコメント。銀行を介さずともビットコインでビジネスを継続することが可能だと主張している。

また、米投資運用企業VanEckのデジタル資産調査部門を統括するMatthew Sigel氏は、「ビットコインネットワークでは、独裁者であれ、人権活動家であれ、検閲に遭遇することはない」と述べた。

米ニューヨークタイムズの報道によると、2014年のクリミア侵攻後の経済制裁で甚大な打撃を受けたロシアは、企業レベルでも、同国との取引を望む世界の地域と仮想通貨を利用することで、銀行など米ドルのネットワークを回避し、制裁の影響を緩和する準備を進めてきたという。

ロシアに有利となるのは、近年、仮想通貨の世界市場が大きく成長したことだろう。

米ワシントンの法律事務所法律事務所Ferrari Associatesでマネロン対策と制裁措置を担当するMichael Parker氏は、ロシアには制裁措置に備える十分な時間があったと主張。「ロシアがこのようなシナリオに対し、戦略を練っていなかったと考えるのは、あまりにもナイーブだ」と述べた。

ロシアの仮想通貨規制

ロシアは、ブロックチェーン分析企業チェイナリシスの昨年の調査で、仮想通貨の普及が進む上位20カ国にランクインしていた。

また、ロシア政府の調査によると、2021年末時点におけるロシア人の仮想通貨保有額は約23兆円に上る概算を発表しており、これは仮想通貨の時価総額(214兆円)の11%を占める規模だ。

関連:ロシア人の仮想通貨保有は23兆円規模か=露政府の予測

一方、ロシアにおける仮想通貨の規制整備はプーチン大統領の意向表明により、進展を見せつつも、政府と中央銀行の見解が一致せず、協議が続いている。

関連:ロシアの政府と中銀、仮想通貨規制案の合意に至らず

プーチン大統領は1月26日、政府と中央銀行で協議し、双方が合意する仮想通貨規制案を策定するよう要求。これを受け、ロシア政府は仮想通貨規制のロードマップを作成した。今月上旬には、仮想通貨を「デジタル金融資産(DFA)」ではなく「通貨」として定義する法案を整備しているとの地元メディアの報道もあった。

しかし、合法的な仮想通貨市場をつくることが最適解とする財務省と仮想通貨の禁止を望むロシア銀行(中銀)が、それぞれ独自の法案を準備するなど、意見調整には時間を要するようだ。

関連:ロシア財務省、仮想通貨規制のパブリックコメント募集を開始

ロシアに対する米国による厳しい経済制裁措置の発令は、仮想通貨規制で政府と中銀の歩み寄りを促す要因になるか、今後の動向が注目される。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
03/28 金曜日
13:15
イーサリアム「ペクトラ」の実装日が4月30日と仮決定、次期「フサカ」の動向は?
カオスつうかイーサリアムのコア開発者ティム・ベイコ氏が「ペクトラ」アップグレードの実装日を4月30日と仮決定。次期開発に関しても進捗が確認された。
11:30
米司法省、ハマス関連の仮想通貨約3000万円を押収 資金調達を阻止
米司法省が、イスラム系組織ハマスからUSDTなどの仮想通貨を20万ドル相当押収した。ハマスは仮想通貨による寄付募集やマネロンを行っていたとみられる。
10:50
リップル社、アフリカの決済企業Chipper Cashと提携
リップル社は、アフリカの決済企業Chipper Cashとパートナーシップを締結。仮想通貨を活用するリップルペイメントを導入し、アフリカにおける国際送金の速さやコスト効率を向上させる。
10:45
トランプ指名のアトキンス氏が仮想通貨規制方針示す SEC委員長指名公聴会で
米上院銀行委員会が、次期SEC委員長候補ポール・アトキンス氏の公聴会を開催した。ウォーレン議員が利益相反の可能性を追及した他、仮想通貨関連の議題も俎上に上った。
10:10
米政府、12億円相当のビットコイン移動 戦略的準備金に向けた準備か
トランプ大統領の大統領令に基づき、タイの犯罪組織から押収された846万ドル相当のビットコインが米政府によって移動されたことが観測された。
09:35
フランス国有投資銀行、40億円規模の仮想通貨ファンドを設立
2700万ドルのトークンファンド フランス国有投資銀行Bpifranceが3月27日、仮想通貨およびブロックチェーン分野における新たな投資戦略を発表した。仏国内のデジタル資産エ…
08:15
ICEがCircleと提携、USDC活用で次世代金融商品開発へ
米金融大手によるステーブルコイン取り組みが加速中。Intercontinental ExchangeとCircleが提携し、USDCの新たな市場を開拓へ。
07:50
ソニュームとアニモカが提携 アニメファンのWeb3参入を推進へ
アニモカブランズは、仮想通貨イーサリアムのソニーグループのL2ソニュームと提携。IDレイヤーを構築して、アニメファンをWeb3領域に取り込みやすし、ユーザーの関与を強化する。
07:30
ビットコイン大口投資家、3月に約13万BTC買い増し 
Glassnodeの最新レポートによると、大口投資家がビットコインを大量に購入。市場の不確実性にもかかわらず、大口投資家は自信を示している。
06:55
ゲームストップ株価暴落、投資家はビットコイン戦略を懸念か
ゲームストップの株価が27日に暴落した。投資家は同社のビットコイン獲得戦略を嫌気し売りを加速させた。
06:05
ジブリ風アートに因んだミームコインが高騰、 ChatGPT-4o画像生成機能のリリースで
OpenAIのChatGPTがもたらしたジブリ風AI画像トレンドと、急騰する仮想通貨ジブリ・ミームコインの驚きの実態を解説。
03/27 木曜日
17:05
ビットトレード、貸暗号資産の特別募集「ユーピーシーエックス(UPC)」で開始
ビットトレードがユーピーシーエックス(UPC)の貸暗号資産特別募集を開始。14日間で年率100%相当の高利率が魅力。なお、リスクや注意事項の理解も不可欠。申込条件やメリットを解説する。
14:05
イオレ、暗号資産関連事業参入準備へ Web3ファンドから約4.2億円を調達
暗号資産金融事業への参入準備へ 東証グロース上場企業のイオレは26日、投資事業有限責任組合JAIC-Web3ファンドと株式会社ZUUを割当先とする第三者割当増資を実施すると発表…
11:52
ビットコイン8.7万ドル台で推移、Hyperliquidの「市場操作」臨時対応には賛否両論も
ビットコイン価格が前日比3.99%上昇し8.7万ドル台に回復した。CoinShares報告によると、機関投資家から7.2億ドルの資金が流入し5週間連続の流出傾向が反転する。一方、Hyperliquidは市場操作されたJELLYJELLYトークンを上場廃止にし、分散型理念と利用者保護のバランスに関する議論が浮上した。
11:30
ビットコインとともに注目のトップ20銘柄、Grayscale最新リサーチ
グレースケールが最新の仮想通貨市場レポートを公開した。ビットコインの活動レベル、ミームコイン取引の変化、新たなトップ20銘柄などを解説している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧