仮想通貨規制を議論
ロシアの中央銀行と財務省は15日、暗号資産(仮想通貨)の規制案について合意に至らなかったことが分かった。『ブルームバーグ』が複数の情報筋の話として報じた。
同国では仮想通貨を禁止したい中銀と、規制することで許可したい政府とで意見が相違している。先週には、仮想通貨を「通貨」と認定する方向で両機関が法案を整備しているといった現地メディアの報道もあったが、合意点がなかなか見つけられない模様だ。
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ロシアでは15日、中銀のトップと財務大臣らが会合。どのように仮想通貨を規制するかについて議論したという。同国では先月、プーチン大統領が、中銀と政府の双方が合意した仮想通貨規制案を策定して報告するように要求していた。
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今回の会合では、意見の違いを明確にすることで同意するにとどまった。ブルームバーグもそれ以上の詳細は入手できていないという。
ロシアを巡っては、ウクライナ情勢の緊迫化による影響が仮想通貨市場にも波及。地政学リスクを警戒した売りが優勢となる場面も確認された。
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一方で最新の報道によると、ロシア国防省が「ウクライナとの国境近くに展開していた軍の部隊が、演習を終えて撤収を始めた」と発表。しかし、米バイデン大統領が撤収を確認できていないと述べるなど、ウクライナ情勢の先行きはまだ不透明だとの見方が多い。
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規制当局の見解
ロシアの仮想通貨規制は、インドと同様に方針が二転三転している。中銀は先月、仮想通貨がもたらす脅威を縮小するため、法改正を通じて同国内での仮想通貨の使用及びマイニングを禁止することを提案。仮想通貨の普及がロシア国民の福利や金融システムの安定性に重大な脅威をもたらし、犯罪行為を助長するものであると述べている。
一方、政府は規制をすることで仮想通貨を認可したい意向で、プーチン大統領は、ロシアはマイニングにおいて優位性があるとも指摘した。財務省金融政策局長は、仮想通貨は規制されるべきだが、禁止する必要はないと発言。規制によって国民の安全を確保することができると主張している。
マイニングとは
ビットコイン(BTC)など、コンセンサスアルゴリズムにプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を導入する仮想通貨の取引を検証・承認すること。ロシアは、中国が仮想通貨の取引やマイニングを禁止した後、米国、カザフスタンに次いで世界3位のマイニング大国となった。
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