「規制が国民を守る」
ロシア財務省金融政策局のIvan Chebeskov局長は、ロシアでは暗号資産(仮想通貨)は規制されるべきだが、禁止する必要はないと、地元メディアRBC主催のカンフェレンスで語った。
Chebeskov氏の発言は、中央銀行が19日に発表した仮想通貨およびマイニングを禁止する提案に対するもの。同行の提案では、仮想通貨を国内で決済に使用することは禁止されるが、個人が資産として保有し、国外で使用することは可能。一方、金融機関による仮想通貨および関連金融商品への投資、国内の仲介業者および金融インフラの使用は禁じられる。
Chebeskov氏は「禁止ではなく規制が必要なのだ。規制によって国民の安全を確保することができる」と述べ、ロシアには高度に発達した技術分野を禁止する余裕はないと強調した。
我々は、これらの技術を発展させる必要がある。財務省は市場の規制という点から、法整備の取り組みに積極的に関与している。
ロシアでは2020年7月に「デジタル金融資産関連法」が制定され、仮想通貨取引は合法となった。ただし、現在でも商品やサービスに対し、仮想通貨を支払い手段として利用することは禁止されている。
テレグラムCEOの意見
ロシア発人気メッセージアプリ「テレグラム」の創設者であるPavel Durov氏は、ロシア中銀が提案する仮想通貨及びマイニングの禁止は、IT専門家の国外流出を招き、ハイテク産業を破壊することになると警告している。
テレグラム(Telegram)
Telegram(テレグラム)は、ロシア発のチャット機能に特化したコミュニケーションツール。データを暗号化し、通信の秘匿性を確保しつつチャットを行うことができるツールで、全世界で数億人のユーザーがいると言われている。
▶️仮想通貨用語集
Durov氏は自身のテレグラムチャンネルへの投稿で、先進国で仮想通貨を禁止している国はないと指摘。禁止令は「金融から芸術まで、人間の幅広い活動の効率と安全性を向上させる」ブロックチェーン技術全般の発展を遅らせてしまうと主張した。
また、ウクライナやウズベキスタンなどロシアの近隣諸国では、技術や経済的な進歩に遅れをとらないよう、ブロックチェーン関連の「先進的な」規制整備を行っていることにも言及した。
同氏によると、ロシアにはブロックチェーン分野においてトップクラスの専門家を数多く抱える世界有数の国としての強みがあり、「周到に考慮された規制によって、国際金融システムにおける勢力分布のバランスをとり、新たな経済で主要プレイヤーの一人となることができる」という。
金融当局が仮想通貨の規制を求めるのは当然だとしながらも、Durov氏は仮想通貨の全面的な禁止は、「赤ん坊を風呂の水ごと放り出すようなもの」と揶揄した。
このような措置は、悪意のある参加者を止めることはできないが、この分野におけるロシアの合法的なプロジェクトに終止符を打つことになるだろう。