仮想通貨資産の利回りサービスを準備
暗号資産(仮想通貨)カストディサービスを提供するZodia Custodyは、機関投資家が、その保有トークンから利回りを得るための新商品をリリースする準備を進めている。仮想通貨メディアThe Blockが14日に報道した。
Zodia Custody(以下、Zodia)は、英大手スタンダードチャータード銀行と大手資産運用企業ノーザントラストが合弁事業として設立したカストディ事業である。
カストディとは
カストディとは、投資家の代わりに資産を保有・管理することを指す。仮想通貨以外の資産にも広く使われる用語で、資産の保管や売買に係る決済、また元利金・配当金の受領や議決権行使など、幅広い業務がサービス対象になる。
▶️仮想通貨用語集
ZodiaのMaxime de Guillebon CEOは、次のように述べた。
仮想通貨業界が急速に拡大し洗練されてきていることを受けて、当社の顧客である機関投資家は、仮想通貨現物へのエクスポージャー(価格変動に影響を受けること)以上のものを求めている。
Guillebon氏は、同社顧客が「デリバティブ、融資、レンディングなど、従来型金融で普及しているような種類のサービスにより、仮想通貨に対しても流動性、レバレッジ、利回りへの効率的なアクセスを求めている」と続けた。
こうした需要を背景にして、Zodiaは、大口投資家が、仮想通貨資産により報酬を得るための製品をリリースする準備が整っているという。リリースする前には規制当局からの承認が必要となる。Guillebon氏は2022年中に、この製品を発売したいと語った。
ステーキングやDeFiのサービスも検討
Guillebon氏によると、Zodiaは、顧客にステーキングサービスや、DeFi(分散型金融)プロトコルへのアクセスを顧客に提供することも検討しているという。
また、現在同社は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)についてカストディサービスを行っているが、4月からはサポートする銘柄の範囲を広げる予定だとも話している。
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ステーキングとは
特定の仮想通貨を保有することで、その通貨のブロックチェーンネットワークを管理することに貢献し、対価として報酬を得る仕組み。厳密には、仮想通貨を保有するだけでなく、ネットワーク上に預け入れておく必要がある。銀行口座に法定通貨を貯金し、一定期間後に利子を受け取る仕組みに類似しているといえる。なお、ステーキングは、PoS(Proof of Stake)のコンセンサスアルゴリズムを採用している通貨で行うことができる。
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Zodiaは、スタンダードチャータード銀行のイノベーション・ベンチャー部門SCベンチャーズが、資産管理大手ノーザン・トラストと提携して、2020年12月に取り組み始めた事業だ。
ロンドンを拠点とするZodiaは、2021年7月に英国の金融当局に登録し、正式にローンチした。10月から事業を開始し、11月には米大手資産管理会社Invescoが発売した現物ビットコインのETP(上場取引型金融商品)について、カストディを行う企業として選定された。
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Zodiaは、大手企業2社による事業として注目を集めてきた。米シカゴに本拠を置くノーザン・トラストは、2021年12月時点で12.6兆ドル(1,490兆円)の預かり資産を保有すると報告している。また、スタンダードチャータード銀行は、59カ国で事業を展開、約85,000人の従業員を擁している。