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NFT価格と市場評価の重要ポイントを解説、NFTマーケットの成長余地は(3)|アンバーグループ寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

全3回の記事構成となります。第1回・2回目の記事は下記をご覧ください。

目次(第2回の続き)
  1. NFTの評価
    オーナーは誰なのか?
    価格について
  2. まだ黎明期のNFT
    免責事項

6.NFTの評価

第3回では、NFT(非代替性トークン)の評価について解説します。

オーナーは誰なのか?

Etherscanなどのオープンソースツールや、コミュニティが作成したDuneダッシュボード(@rantum製)を利用すれば、プロジェクトのトップホルダーが誰であるかを確認することができます。手作業での調査やNansenのような専門的なツールを使えば、「ダイヤモンドハンド」(資産を購入/ミントした後に売却しなかった所有者)の残高を確認することも可能です。

BAYCとPudgy Penguinの所有者

Source: Etherscan, Nansen

このような調査には、いくつかのメリットがあります。まず上位のウォレット(多くの場合、創業者や内部関係者)が不釣り合いな量の資産を保有している場合です。NFTオーナーはこれらのウォレットの資産が市場に「ダンピング」されるというリスクを抱えることになります。第二に「ダイヤモンドハンド」の増加は、コミュニティの強さと信念を反映します。さらにこれらの指標は、プロジェクトの資産配分を示しています。幅広い参加者にプロジェクトが均等に配分されていれば、売り圧力が減り、コミュニティの参加が促進されます。

価格について

NFTプロジェクトで最も一般的な価格設定指標は「フロア」価格、つまり現在マーケットプレイスに掲載されている最も安いアセットの価格です。NFTプロジェクトのアセットには通常、異なる希少特性があり、フロアアイテムは一般的に最も希少性が低く、最も流動性が高くなります。一方で希少性の高いアセットは大抵、流動性が低くなります。

フロア価格はコレクション全体での価値のバロメーターとして使われることが多いのですが、希少性の高い資産も重要です。希少性の高い資産を高値で売却することで、市場の注目がコレクションに集まります。特に認知度の高い名称と組み合わせた場合、より高い需要を喚起することができます。

* 価格高騰はウォッシュトレード(仮装売買)によるものである場合にも注意。

有名人の購入やブランド推薦が価格高騰のきっかけになることも

プロジェクトが公式な希少性のガイドラインを出していない場合、Rarity SnifferRarity Toolsは、コレクション内の選択したアイテムの相対的な希少性を評価できるツールのうちのひとつです。

購入希望者は、暗号資産のオーダーブック(板取引)に似た形式で、掲載された資産間の価格の壁を測定することもできます。以下、Azukiのフロア価格は11.5ETHですが、12回購入すれば13.0ETHに達します。一方、mferのフロア価格は、5.0ETHに集中していることから、12回購入してもフロア価格である4.8ETHから大きく上昇することはありません。

Azuki フロア価格

mferのフロア価格

総出品数に対する現在の出品数の割合も、読者が相場心理を判断するのに使える指標になります。この数値が低いほど、現在の売り手が少なく、価格上昇の可能性が高いことを意味します。Flipsは、幅広いコレクションを対象に、これらの指標を集約した便利なツールです。

Flips ダッシュボードで見られるNFTコレクションのレンジ

※ここでは、Tasty Bonesが過去24時間の出品が増加していることで極めて高い出品数となっており、フロア価格がマイナスに押し下げられるという点を含む、危険な兆候が見られます。

NFTの売買については、OpenSeaが設定する2.5%の利用手数料のようなマーケットプレイスの手数料を避けるために、当事者同士の相対取引で行われることがあり、また実際に行われていることに注意が必要です。このような売買は、プロジェクトのDiscord「buy/sell」チャンネルで交渉されることが多く、買い手と売り手の大まかな心理を把握することもできます。

7.まだ黎明期のNFT

NFTという言葉が主流になりつつあり、また特定のコレクションが常識外れな価格で販売されていることから、この分野全体をバブルや一時的な流行と断じる評論家もいます。確かに、誇大広告などによって過度に興奮した市場となり、この分野にはすでに実現されていない約束やロードマップもあふれています。

しかしながら、100万ドルのpunksや派生的なApesから一歩引いて考えると、NFTはシンプルに、非代替かつユニークな資産のデジタル所有権をカプセル化したものです。現実世界では、家や車などの高額商品から音楽や洋服などの低価格商品まで、私たちが購入・消費するモノのほとんどは非代替性です。このような活動をデジタルで実現することで、オンラインでできることが飛躍的に広がります。このように、NFTはネイティブなデジタル経済、そしてメタバースなどのより広い分野において重要な構成要素であると確信していることを、私たちは繰り返し記しておきます。

このような観点から見ると、NFTにはまだ長い成長の余地があります。NFTの世界的な時価総額は160億ドルと推定されていますが、これは(製品やサービスが獲得可能な最大の市場規模を測る)現在のTAM(Total Addressable Market)の1兆ドル以上という見積もりからは程遠いものです。NFTはさまざまなデジタル資産に所有権を与えることで、これまでオンラインにすることが不可能であったあらゆるカテゴリーをカバーできるようになるため、TAMの見積もりも最終的な市場規模を過小評価している可能性が高いのです。

Source: NFTGo, Coingecko, Newzoo, UBS, World Bank, Savills

本レポートは、急速に進化するこの分野の一端を紹介したに過ぎません。今後、NFTを新たな領域へと押し上げる新しいプロジェクトやアイデアを取り上げていくことを楽しみにしています。


本レポートは全3回で構成されています。第1回・2回目の記事は下記をご覧ください。

Amber Groupについて

Amber Groupは、アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸にオフィスを構え、グローバルに事業を展開する仮想通貨金融企業。

投資、融資、取引など、デジタル資産に関する様々なサービスを提供しており、Paradigm、Dragonfly、Pantera、Polychain、Sequoia、Tiger Globalなどの著名投資家から支援を受けている。22年2月には国内暗号資産交換業者ディーカレットの買収を発表し、日本市場にも進出を果たした。

関連:仮想通貨事業者Amber、ディーカレットとのM&Aの経緯【CONNECTV・動画解説】

免責事項


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投稿主体/著者:By Amber Group Research Team
翻訳:松本 和樹
メディア窓口:eri.asada@ambergroup.io
Website: blog.decurret.com/m/m8593b60dfc4c

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