ビットコイン法定通貨化を公式否定
中米ホンジュラスの中央銀行は23日、同国が暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を法定通貨として採用するとの噂を否定する声明を発表した。また、中央銀行デジタル通貨(CBDC)について研究を進めていることにも言及している。
Comunicado sobre la posible adopción del Bitcoin como moneda de curso legal del país. Para mayor información: https://t.co/hIDx8DWiKp pic.twitter.com/TejuiWRO9E
— Banco Central de Honduras (@BancoCentral_HN) March 23, 2022
背景としては、ソーシャルメディア上でここ数日、ホンジュラスが隣国エルサルバドルに引き続き、まもなくビットコインを法定通貨として導入するとの話が流布していたことがある。
エルサルバドルのビットコイン法とは
米ドルと並行する形で、ビットコインを法定通貨として認め、市民がビットコインを全ての決済シーンで利用できることを定めている。エルサルバドルのブケレ大統領が推進した法案で、2021年6月9日に議会によって可決された。ビットコインが国の法定通貨として正式に認められる初の事例となった。
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ホンジュラス中銀は、公式声明で噂を否定。次のように説明した。
ビットコインは、現時点でわが国では規制されておらず、ほとんどの国で法定通貨の地位を持っていない。わが国の通貨法第1条で、ホンジュラスの法定通貨はレンピラであると定めている。
ホンジュラス中銀は、過去3回の公式通知で、中銀は仮想通貨を国内での決済手段とする事業を監督・保証しておらず、仮想通貨で行われる取引は、それを行う者の責任とリスクの下にあるということを伝えている。
CBDCの研究は継続
一方で、ホンジュラス中銀は、「決済および金融サービスの技術革新の重要性」を考慮しており、CBDCの研究や分析を継続していると改めて表明した。
CBDCについては、国内で法定通貨として認められる特性を持ち、中央銀行によって規制されるものだとしている。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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21年8月時点で、中米経済統合銀行(CABEI)の専務理事は、エルサルバドルのビットコイン法案を受けて、他の中米諸国は「エルサルバドルが成功するかどうか、例えば送金コストが大幅に下がるかどうか注目している」と述べていた。
今回、中米諸国の一つであるホンジュラスがビットコインを採用するとの噂が発生したことには、このような背景が関係している可能性もある。
米国の州でもビットコイン法案提出
なお、最近米国の一部の州で、ビットコイン法定通貨化が提案されている。
米アリゾナ州上院では1月、Wendy Rogers議員(共和党)がビットコインを州の法定通貨とする法案を提出した。ただ米国の憲法では州が独自の法定通貨を定めることは認められていないため、こうした試みの実現性については不透明だ。