インドネシア、仮想通貨取引への課税を発表
インドネシアの税務当局は先週、暗号資産(仮想通貨)取引への課税をまもなく開始すると発表した。
5月1日までに、付加価値税(VAT)と所得税をそれぞれ0.1%徴収することになるという。ロイター通信が報道した。
税務当局のヘストゥ・ヨガ・サクサマ氏は仮想通貨が「コモディティ(商品)」にあたるとして次のように説明した。
貿易省は、仮想通貨をコモディティとして定義するため、仮想通貨には付加価値税が適用される。仮想通貨は、関連法で「通貨」とはみなされないため、所得税と付加価値税が課されることになる。
インドネシアでは、多くの商品やサービスに11%のVATを課しているが、仮想通貨に対するVAT率0.1%は、それを大きく下回る格好だ。また、キャピタルゲインに対して課される所得税も取引総額の0.1%で、これは株式に対するものと同じである。
今回の仮想通貨への課税は、21年10月にインドネシア国会が採択した税法が根拠となっている。
この税法は、パンデミックにより打撃を受けた、インドネシア政府の歳入を改善しようとするもので、付加価値税の引き上げ、炭素税の新設、法人税減税の中止などの内容を盛り込んでいた。
インドネシアでは、現在仮想通貨を決済手段として使用することは禁止されているが、商品として取引することは合法である。
ジェミナイのレポート
仮想通貨取引所Gemini(ジェミナイ)が4日に発表した、各国での仮想通貨の状況を伝えるレポートによると、インドネシアの回答者の61%が、「仮想通貨はお金の未来である」という考えに同意していた。
これは、アメリカ、フランス、ドイツの23%と比較して高い数字であった。なお、他に、この考えに同意する人々の割合が多かった国は、ブラジル(66%)、ナイジェリア(63%)、インド(59%)、南アフリカ(57%)などが挙げられる。
さらに、年間14,000ドル(約172万円)以上の所得がある、18歳から75歳までのインドネシア人のうち、41%が仮想通貨を所有していた。
この調査結果について、ジェミナイのアジア太平洋地域責任者フェロゼ・メドラ氏は、14,000ドルは、インドネシアで高所得層にあたるため「インドネシアの全人口を代表しているわけではない」と留保した。同時に、「インドネシアの投資家の多くは、インフレ・ヘッジとして仮想通貨に注目しているのかもしれない」とコメントしている。
調査では、インドネシアでは、仮想通貨分野におけるジェンダーギャップが少ないことも浮き彫りになった。
インドネシアでは、仮想通貨所有者の51%が女性だった。各国で、仮想通貨を保有する者は男性が多い傾向が見られる中で、男女がほぼ同数だったのは、他にイスラエルとナイジェリアの2か国だけだった。
また、調査では世界的に、「今後1年のうちに、初めて仮想通貨を購入する予定である」と答えた人々のうち、47%が女性であった。この結果からジェミナイは、2022年は、仮想通貨についてジェンダーギャップが縮まる年になるかもしれないと推測している。