富裕層向けのメタバース投資ファンド
英大手銀行HSBCは、シンガポールと香港の富裕層顧客向けに、メタバース(仮想現実)への投資に焦点を当てたファンドを立ち上げた。ブルームバーグなどが報道した。
この新ファンド「メタバース・ディスクレショナリー・ストラテジー」ポートフォリオは、インフラ、コンピューティング、仮想化、体験と発見、インターフェースというメタバースの5つの主要分野に焦点を当てたものになる。
メタバースとは
インターネット上に構築された、多人数参加型の3次元仮想現実世界のこと。アバターを使い、様々な楽しみ方ができる。例えば、『The Sandbox』というゲーム内のメタバースでは、ボクセルアート制作ツールやゲーム制作ツールが提供されており、ユーザーはそのなかで自作のゲームや施設を作ることができる。
▶️仮想通貨用語集
新ファンドは、特に富裕層やプロの投資家向けに設計されたものだ。HSBCアセットマネジメントが運用し、「今後10年間の世界的なメタバースの成長機会を捉えることを目的としている」という。
HSBCアジア太平洋地域投資部門のファンド関連責任者であるリナ・リム氏は、次のように述べた。
メタバースのエコシステムは、まだ初期段階にあるものの、急速に進化している。
様々な経歴や規模の企業がエコシステムに集まってきており、この領域には多くのエキサイティングな機会があると見ている。
将来のメタバース市場の規模については、様々な予測が出されている。最近では、シティグループが、メタバースの市場規模は2030年までに8~13兆ドル(約980兆円から1,600兆円)になると推測するレポートを出した。
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メタバースの仮想土地も取得
HSBCは、ビットコインなど仮想通貨一般に対しては、過去に消極的な姿勢を見せていたが、メタバースについては積極的な動きが続く形となった。
3月には、NFT(非代替性トークン)ゲーム「ザ・サンドボックス(SAND)」との提携を発表。HSBCは同ゲームの仮想土地(LAND)を取得し、スポーツやゲーム分野での活用を目指して開発を行っていくという。
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NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
▶️仮想通貨用語集
仮想通貨については、HSBCのノエル・クインCEOが21年5月、仮想通貨取引や投資などの事業を行う計画はないと述べていた。理由としては、価格変動の大きさや透明性に関する懸念を挙げていた格好だ。
関連:大手銀HSBCのCEO「仮想通貨事業に参入する計画はない」
仮想通貨が関わることも多い、メタバースやNFTゲームへの参入は、こうした姿勢が多少変化していることを示唆する可能性もある。
HSBCは昨年11月には、最大手ブロックチェーン開発企業のコンセンシス(ConsenSys)社が行った、約250億円(2億ドル)の資金調達ラウンドにも参加していた。
コンセンシスは、仮想通貨ウォレット「メタマスク」を始め、イーサリアム基盤の次世代アプリの開発や金融インフラの構築、分散型Webサービスなどの事業を行っている企業だ。
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