CoinPostで今最も読まれています

イーサリアムの送金遅延問題の解決案「Plasma」について

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

イーサリアムの送金遅延問題
仮想通貨ランキング2位のイーサリアムでもビットコインと同様にスケーラビリティ問題(送金遅延)が問題視されるようになり、価格にも影響しています。
問題の解決策が提案される
イーサリアムのビタリック氏とライトニングネットワークのプーン氏が手を組み、新たな問題解決方法としてPlasmaを発表しました。
Plasmaについて
ブロックチェーンをメインとサブに分け、不正を証明するシステムとして多くの人を監視するライトニングネットワークを応用している、とのことです。

イーサリアムの送金遅延問題について

イーサリアムは今利用者にとって顕著な問題を抱えています。それは、イーサリアムブロックチェーンで一度に多数の利用者を受け入れることが出来ないという問題です。

これは過去に研究者達が恐れていた潜在的問題であり、現在利用者に多大な影響を与えています。

実際にICOなどで多くの利用者がイーサリアムのブロックチェーンに一気に殺到し、処理が滞って機能しなくなったことがありました。そしてその度にイーサリアムの価格に影響を及ぼしています。

イーサリアムは世界第二位の大きさを誇るブロックチェーンプラットフォームですが、ここ最近では遅延やブロック容量などの多くの問題が顕著に現れています。

その中でも、スマートコントラクトによる利用者が送金するときにかかる手数料の高騰により、イーサリアムの取引数が減少している上、注目されている新しいICOをスムーズに受け入れて開始することが出来ず、ICOによる資金調達を妨げているのです。

送金遅延問題の解決案「Plasma」

当然、この問題を解決してイーサリアムを利用しやすいものにするために尽力している注目すべき事業は多く存在しています。

例えば、Raiden NetworkTruebitは共に革新的な方法で、中央集権型のようにスムーズに機能する分散型アプリの開発を試みています。

その中でも、水曜日に発表された「Plasma」はさらに注目すべき新しい解決策と言えます。

何故なら、Plasmaの創始者であるヴィタリック・ブテリン氏とジョセフ・プーン氏は、ブロックチェーンの歴史を作ってきたといっても過言ではない程の重要人物達であるためです。簡単に紹介すると、ヴィタリック氏はイーサリアムの開発者であり、またプーン氏はライトニングネットワークの共同創始者です。

この技術のロードマップは、ビットコインの利用者数を増やすための最適策として広く宣伝されました。彼らはスケーラビリティ事業に携わる人々の中でも最強のチームと言えるでしょう。

プーン氏はCoinDeskでのインタビューで「多くの人は、全世界の全ての物をブロックチェーンで動かすことで未来を変えることなど無理だ、と言いますが、私は絶対に可能なことだと思っています」と告げました。

彼は誠実にイーサリアムの「世界のサーバーに置き換わる新たなものになる」という、将来の私達の生活を変えるためのものになりうる目標に希望を抱き、スケーリングの難題は克服できると語ります。

「分散型アプリが技術者にとって非現実的だったのは、それを達成できる証明や軌道を示すものが今までなかったから」と語るプーン氏。しかし今、Plasmaはそれを可能にすると彼は信じ開発に取り組んでいるそうです。

ベイビーブロックチェーンについて

現在起きているスケーラビリティ問題は、イーサリアム内で履歴を確認する時、利用者はイーサリアム上にある全てのブロックチェーンの履歴のコピー、更には彼ら独自の取引履歴を保存していなければならない、という点が大きく影響しています。

しかし、ワールドコンピューターは膨大な量のストレージを要し、一つのデバイスで執行するには到底無理な話です。

このような問題点を解消するため、イーサリアムや他の一般ブロックチェーンはチェーンに記録され続けるデータの量を削減したり軽くする方法を探しています。

Plasmaはベイビーブロックチェーンを使い、これを成し遂げるとのことです。

ベイビーブロックチェーンとはつまり、付属するブロックチェーンと親となるメインブロックチェーンを分け、Fraud proofと呼ばれる不正を証明する仕組みを完成させて動作するシステムです。

数年前プーン氏が発表したライトニングネットワーク(上層ブロックチェーンがその下部にある主のブロックチェーンと関係し合う仕組み)にとても似ています。

ライトニングネットワークは支払いだけに利用されるよう制限されていましたが、Plasmaはイーサリアムスマートコントラクトなどの複雑な処理をこなすシステムへの応用を効かせる事が目的です。

「要するに、もっと合理的なオペレーションで行いたいのです。とても時間の要するものを他の誰かに頼むようなイメージです」とプーン氏は言います。

プーン氏曰く、「世界中の誰もが、ここで不正や間違いがある、と証明することができるようになります」とのことです。もし誰かが最初の解決策が間違いだと証明をしたとして、他の人達はコンピューターを使い再度計算をしなおしエラーを指摘出来るのです。

更に、利用者が不正利用を疑った場合、メインブロックチェーンに戻り最終的な判断を下す選択肢すら存在します。

プーン氏によれば、全体の監視システムにより不正が暴かれやすくなったため、利用者は不正利用した場合の罰則を課せられることを恐れ、システムを横領することは出来ない、とのことです。

Plasmaへの反対意見

しかしながら一部の者はこれに疑いの目を向けました。

このシステムを裏で支える技術的アイディアは、広範囲にわたってブロックチェーンコミュニティで討論され、明確に支持者と反対する方に二分化されたのです。

全てのブロックチェーンプロトコル(例:仮想通貨)は、いずれビットコインやイーサリアムのようにブロック容量の限界に達します。

現在最も利用されているビットコインは当初から、ブロック容量について問題となることが明白である、と言われ続けていました。イーサリアムのスケーラビリティ問題(送金遅延問題)はさらに明白で、より多くのブロックチェーンデータを保存可能にする必要があると指摘されています。

Plasmaに焦点を移すと、イーサリアムステークホルダー研究者代表のブラッド・ザムファー氏はすでに幾つかの反対意見を述べています。

2015年に似た事業を断念したと話している彼は「この新しい事業に対して全く興味が沸かない」とツイートしています。

しかしながら、プーン氏とブテリン氏はザムファー氏の消極的な意見とは裏腹に、Plasmaは現在のイーサリアムの拡張性機能を補完するだろう、とはっきり断言しています。

それを可能にするのはシャーディングと呼ばれるプロトコル基盤の層の容量を拡大する機能です。

プーン氏は、この先の道のりが長い事を認め、アイデアを現実化するには多くの障害を解決する事が必要だ、とも述べています。

彼はPlasmaと未だ未完成ながらここ数年進歩を遂げたライトニングネットワークとを比較し、以下のような言葉を残しました。

「これ(Plasma)が実現可能だということを証明してみせます。」

考察

8月1日以降、ビットコインの送金遅延問題が解決の一歩を踏み出し、価格が上昇して過去最高額を更新し続けていますが、ICO等で注目され利用されるイーサリアムプラットフォームでのトークン発行やそれに伴うイーサリアム事情により、最近ではICO自体の延期やイーサリアム自体の価格低迷にも影響を及ぼしています。

イーサリアム自体は多くの国や企業でも注目されており、日本国内でも今後の価格上昇に期待して投資してる方が数多くいると思います。

Plasmaが解決の糸口になり、よりよい仮想通貨を利用できる未来に繋がることに期待します。

投資の観点からも今後注目すべき内容であることは間違いないでしょう。

Ethereum + Lightning? Buterin and Poon Unveil ‘Plasma’ Scaling Plan

Aug 12, 2017 at 12:15 UTC by Alyssa Hertig

原文はこちらから
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
10/11 金曜日
07:30
リップル社、米SECを交差上訴へ
リップル社が仮想通貨XRPを巡る裁判で米SECを交差上訴へ。もう争点は残されていないことを明確にすると同社の最高法務責任者が述べている。
06:35
リップル、Ripple Custody拡充
米リップルは10月10日、銀行やフィンテック企業向けの仮想通貨カストディサービス「Ripple Custody」の機能を大幅に拡充したと発表した。
06:15
米SEC、カンバーランドを仮想通貨取引の「無登録ディーラー」として告発
米証券取引委員会は10月10日、仮想通貨取引会社カンバーランドDRWに対し、無登録のディーラーとして3,000億円以上の仮想通貨産取引を行ったとして訴訟を提起した。
10/10 木曜日
15:00
ステーブルコイン需要、ラテンアメリカで急増=Chainalysis
チェイナリシスの最新レポートによると、ラテンアメリカでステーブルコインの需要が急増している。同地域においてステーブルコインは、自国通貨の価値下落への対策として、重要な金融ツールとなっている。
14:05
イーサリアム創設者ヴィタリック氏、ノーベル経済学賞候補に値する? 著名経済学者が評価
著名経済学者コーエン氏とタバロック氏が対談。イーサリアム共同創設者ヴィタリック氏がノーベル経済学賞に値すると評価。ビットコイン創設者サトシ・ナカモトについても言及。
13:15
Bitlayer Labs、13億円追加調達 ビットコイン基盤のレイヤー2ネットワーク開発を加速
ビットコインのレイヤー2ネットワークを開発するBitlayer LabsがシリーズAの延長ラウンドで900万ドルの資金調達に成功した。
10:45
ポリマーケット、8割以上のウォレットが利益を得られず
分散型予測市場ポリマーケットで約87%のウォレットが利益を得られなかったことが、LayerHubのデータで示されている。また、多くの利益を獲得できることが珍しいこともわかった。
10:10
ビットコイン下落幅緩和、需要の影響で市場は安定か=Glassnode
Glassnodeの最新レポートによるビットコイン市場分析。需要層により下落幅が緩和される一方、先物建玉の影響で価格変動のリスクも。
07:40
BTCが8万ドルに到達するための条件、Bitwiseが分析
仮想通貨ビットコインが2024年に8万ドルに到達するための条件をBitwise幹部が分析。今回、合計4つの条件を挙げている。
06:58
米VanEck新設の44億円ファンド、仮想通貨やAIセクター投資へ
ビットコインETFの発行企業である米投資企業VanEck傘下のVanEck Venturesは、フィンテック、デジタル資産、AI(人工知能)分野の革新的なスタートアップ企業に投資する3,000万ドル(44億円)の初期段階ファンドとして新たに立ち上げられた。
06:30
米当局、仮想通貨相場操縦で14人と企業を告発 ミームコイン市場にも関係か
米国ボストンの連邦検察は9日、仮想通貨における市場操作と見せかけの取引で金融サービス会社を刑事告発した初の事例として、4社と個人14人を起訴した。
06:10
アイルランド当局、5年前に押収した約600億円のビットコインにアクセスできず
アイルランドの犯罪資産局は未だ2019年に麻薬密売人から押収した仮想通貨ビットコインにアクセスできないことが明らかとなった。
10/09 水曜日
16:43
博報堂、OpenAI創設者関与のTools for Humanityと提携
博報堂がOpenAI創設者関与のWorldcoinの中核企業Tools for Humanityと提携。AI時代の個人認証システム「World ID」の日本展開を加速。虹彩スキャンによる認証技術で、AIと人間の共存社会実現を目指す。
15:00
HBOのサトシ・ナカモト推測に批判の声 証拠・調査不足を指摘
ビットコイン発明者サトシ・ナカモトの正体に迫るドキュメンタリーが公開。ある人物をサトシだと推定したが、本人は否定している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア