仮想通貨規制法案が一歩前進
ブラジルの上院議院は26日、暗号資産(仮想通貨)の規制法案を可決した。今後は下院で再び審議が予定されている。
この法案は、仮想通貨関連サービスの提供に関してガイドラインを付与し、仮想通貨取引所などの運営を規制するものだ。
法案は、仮想通貨サービス事業者が運営前に、ブラジルの行政機関などから事前に認可を受ける必要があると規定。サービス提供の要件としては、主に以下のような項目を掲げた。
- 顧客資産の分別管理
- 優れたガバナンス体制
- 業務の透明性とリスク管理
- 情報セキュリティと個人情報の保護
- 業務の堅実性と効率性
- マネロン・テロ資金調達防止策で国際基準を遵守
仮想通貨サービス事業者は、「仮想通貨の取引や譲渡、管理、保管などを第三者に代わって行う法人」とされており、主に仮想通貨取引所などを対象としている模様だ。
すでに業務を展開している事業者は、新規則に適応するため少なくとも6か月の猶予期間が与えられ、この間も業務を継続することができるという。
刑事罰も明確化
法案は、刑法にも修正を加えるものだ。刑法を改正し「仮想通貨、証券または金融資産のサービス提供における詐欺」という項目を追加する。
より具体的には、「不正な利益を得るために、仮想通貨、証券またはあらゆる金融資産を含むポートフォリオを組織、管理、提供し、詐欺的手段により、誰かの不利益になるように誘導・誤解させること」を刑事罰の対象にする格好だ。
この罪に対しては、2年以上6年以下の禁固刑と罰金が科せられるという。
ブラジルでは、仮想通貨関連の詐欺が増えており、現地メディアによると、2021年だけで約650億円(25億レアル)の被害額が報告されている。このため明確に刑事罰を定めることが必要とされる。
法案は、再生可能エネルギーにインセンティブを与える内容も伴う。2029年12月末まで、再生可能エネルギーを100%使う事業や、温室効果ガスの排出を100%相殺する企業には税制優遇措置が与えられるとしている。
なお、今回の法案の規制対象にNFT(非代替性トークン)は含まれていない。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
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