ドイツでのライセンス取得目指す
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのChangpeng Zhao(CZ)CEOは18日、ドイツの規制機関に登録できるようにしたいと発言した。2月より、バイナンスが同国でのライセンス取得に動いていると報じられていたが、それを認めた格好だ。
CZ氏は、ドイツのハンブルクで開催された、金融業界のカンファレンスFFWDに出席し、次のように発言した。
当社はドイツでライセンスを取得することを望んでいる。我々のチームは現在、規制当局と対話をしており、話は順調に進んでいるとフィードバックを受けている。
バイナンスは金融サービスや規制について詳しいマイケル・ワイルド氏を、2月に欧州地域のディレクターとして雇用。この人事の目的の一つとしては、ライセンスや規制問題について取り組むことがあるとみられる。
Wild氏は、Credit SuisseやKPMGで法的遵守を担当した経歴があり、最近では仮想通貨などを扱う投資プラットフォームを提供するeToroで、ドイツの運営ディレクターを務めていた。
バイナンスとは
バイナンスは、取扱銘柄や取引高、登録者数が非常に多い世界最大手の仮想通貨取引所。取引所の運営以外にも、学習コンテンツの作成、独自ブロックチェーンの開発、NFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの運営なども行なっている。
▶️仮想通貨用語集
フランスを欧州拠点にする動き示す
バイナンスは今月5日、フランスの金融市場庁(AMF)から、デジタル資産サービスプロバイダー(DASP)として認可されたばかり。欧州でバイナンスがライセンスを取得したのは、これが初めてのこととなった。
デジタル資産のカストディを行ったり、取引プラットフォームの運営、デジタル資産の売買を行うことのできるライセンスである。バイナンスは昨年11月、フランスに本社を設立する意向も明かしていた。
スタートアップ育成も
バイナンスは、パリのスタートアップ企業育成施設「STATION F」で、初期段階のスタートアップを支援するプログラムを提供していく。
支援対象に選ばれた企業は、STATION Fの様々なリソースを利用できる他、バイナンス独自のブロックチェーン「BNB Chain」やバイナンス投資部門「Binance Labs」のチームによるサポートを受けることも可能だ。
また、バイナンスのパートナー企業とのコラボレーションの可能性や、メンタープログラムやフォローアップ、エコシステムの主要なプレーヤーとのミーティングなども用意されている。
バイナンスは昨年11月、フランスにバイナンスの研究開発拠点を設立し、欧州全域でブロックチェーンや仮想通貨のエコシステムにおける開発を支援していくとして、137億円規模の「Objective Moon」を開始していた。STATION Fでのスタートアップ支援もその一環となる。
バイナンスのCZ氏は、STATION Fでのプロジェクトについて「フランスとの関わりを深めていくことの証明」であり「ブロックチェーン、Web3.0、メタバース周辺の強力なエコシステムを構築し、サポートすることを約束する」とコメントした。