CoinPostで今最も読まれています

イーサリアム、チェーン分岐後の世界線とは|Banklessが考察 ETHPoWに価値はつくのか

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

イーサリアムPoWフォークのアプリケーション

イーサリアム(ETH)の大型アップグレード「マージ」時にチェーン分岐を伴うハードフォークが発生する場合、フォークされたブロックチェーン上で何が起きるのか?という疑問について、暗号資産(仮想通貨)メディアBanklessが展望をまとめた。

22年9月19日に仮予定されているマージ後に、イーサリアムのPoW(プルーフオブワーク)は終了するため、これまでETHを採掘してきた約6,600億円(50億ドル)規模の採掘マシン、及びマイナー(採掘業者)が代替案を探すことになる。

そんな中、一部マイナーがPoS移行後もイーサリアムのPoWチェーンを採掘し続け、イーサリアムブロックチェーンをハードフォーク(分岐)する見通しが高まってきている。

マージとは

イーサリアム・ブロックチェーンのコンセンサス(合意形成)アルゴリズムを「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「PoS」へ移行する大型アップグレード。現在のメインネットとコンセンサス形成を担う新しいチェーンを統合することで、新たなネットワークが構成される。

▶️仮想通貨用語集

マージ後にPoWフォークが発生する場合、全てのイーサリアムホルダーは保有していたETHと同数のETHPoW(仮)トークンを受け取ることになる。

また、イーサリアムPoWフォークでネットワーク上の全てがコピーされることにより、プラットフォーム上で構築された多くの資産やアプリケーションも同様にPoWフォーク上に出現する可能性がある。

しかし、「これらの経済圏は実際には機能しない」とBanklessのシニアエディター、Lucas Campbell氏は指摘。PoWフォーク上で波乱が起きると主張する。

ETHPoWの問題は、資産、プロトコル、インフラのすべてが、それを構築している組織によってサポートされる訳ではないこと。トークンやコントラクトはオンチェーンでコピーできても、それを支えるオフチェーンの人やインフラまではコピーできない。

Campbell氏によれば、数兆円規模のステーブルコインのサポートを失ったDeFi(分散型金融)では清算の連鎖が起こり、多くのプロトコルのコピートークンは大本のガバナンスとは切り離された状態となり、裁定取引の機会もボットによって数分以内に回収されることになる。

実際に、大手ステーブルコインUSDCの運営会社CircleはETHPoWをサポートしないことを表明しており、同業のTether社もPoS移行後のETHをサポートする事を表明。将来的にサポートするにしても、両者はPoWチェーン上で新たにステーブルコインを発行する形を採るだろう。

関連:「ETHPow」最新情報まとめ|イーサリアムのマージ後にチェーン分岐の可能性浮上

ETH供給量だけをフォーク

別の選択肢として、PoWフォークがイーサリアムの全ての状態をコピーしない事、つまり、アプリケーションやトークンなどを存在させない方法が考えられる。

この場合、PoWフォークは仮想通貨ETHの供給量のみをコピーし、他のすべての状態はリセットされる。StacksのMuneeb Ali共同創設者は、「自分なら、希望する開発者にPoWフォーク上で新しいコントラクトをデプロイさせる」、と指摘した。

Campbell氏自身はマージ前に多くのETHを蓄積し、静かにETHPoWを受け取る構えを示している。同氏の考えでは、PoWチェーン上で個々のプロトコルトークンがどうなるかは不明だが、少なくともETHPoWは短中期的に価値を維持する可能性がある。

同氏によれば、ETHPoWがその存在価値として評価される可能性のある要素は2つある。一つはPoWフォークがマイナーに支持されることで高いセキュリティと分散性を獲得すること。もう一つは、過去7年間、莫大な経済活動を支えてきた従来のイーサリアムの歴史を引き継ぐことだ。

PoSイーサリアムにはまだ実績がないため、マージ後のチェーンにはある程度のリスクがある。つまり、マージの保険として一部のプロトコルに利用される可能性がゼロではないとCampbell氏は指摘した。

これは(PoW)チェーンの本質的な価値を認めるものではないが、既にバトルテストされているため、そうなる可能性のある重要なプラットフォームとなる。

仮想通貨取引所BitMEXは9日、PoWのイーサリアム「ETHPoW」とステーブルコイン「USDT」の先物取引を開始した。執筆時点で約11,700円(87ドル)で取引されており、初値に対して27.5%下落している。BitMEXでは、ETHPOWに対して最大2倍のレバレッジをかけることができる。

関連:イーサリアム共同創設者ブテリン氏、NFTのプライバシー機能を高めるステルスアドレス実装を提案

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア