dYdXの法令順守
暗号資産(仮想通貨)デリバティブの分散型取引所dYdXは11日、サービスのコンプライアンス要件に抵触して自動的にブロックされるユーザー数が増加した旨を報告した。
Tornado Cash(トルネードキャッシュ)を利用した仮想通貨を保有するウォレットが対象となり、中には不当に制限された場合もあったという。同社はシステムの調整を図っていると加えた。
Tornado Cashは、米財務省により8日に制裁対象とされた仮想通貨ミキシングサービス。トランザクションデータを複数混ぜ合わせることによって、通貨の出所や保有者のアイデンティティを隠す。
米財務省は、これまでハッキングにより資金が盗まれた際に、サイバー犯罪者がTornado Cashをマネロンに利用してきたことから、同サービスを制裁リストに追加したと説明している。
dYdXのリリースによると、同社は以前からサードパーティ製のコンプライアンス・アプリケーションを使用しており、違法行為に関連するアカウントを検知してフラグを立ててきた。
ランサムウェア、マルウェア、児童性的虐待の材料を扱う可能性のあるベンダー、指名手配中の犯罪者、国連、EU、英国、米国、日本などのグローバルコミュニティが公表する制裁リストに関連する資金を持つアカウント。
This sudden influx of flags affected many account holders that never directly engaged with Tornado Cash, and often such users do not realize the origin of the funds transferred to them during various transactions prior to interacting with our platform.
— dYdX (@dYdX) August 10, 2022
しかし、本件でdydxからブロックされたユーザーの中には、Tornado Cashを直接使用しておらず、知らないうちに同サービスで洗浄された資金を間接的に取得したユーザーもいたようだ。
dYdXはブロックされたユーザーリストを見直し、一定数の制限を解除したことを報告。不当に制限されたと感じているユーザーに対して、同社に連絡するよう促した。
dYdXは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)、アバランチ(AVAX)、ポリゴン(MATIC)、コスモス(ATOM)など主要銘柄のレバレッジ取引を提供する。公式サイトによると、過去24時間の取引高は2,000億円(14.7億ドル)。
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制裁措置の影響
こうした動きは、米国財務省外国資産管理局(OFAC)が、Tornado Cashに加えて、同サービスに関連する38のイーサリアム(ETH)アドレスと6つのUSDコイン(USDC)アドレスを制裁対象者リスト(SDN)に加えた後に起こったもの。
4/ It raises extraordinary questions about privacy and security on the internet, and the future of public internet digital currency. We have noted the tension between privacy and security as a policy matter – yesterday, this stopped being an abstraction: https://t.co/8XuU6nWYaD
— Jeremy Allaire (@jerallaire) August 9, 2022
ステーブルコインUSDCの発行元である米Circle社は、制裁リストにあるアドレスを自らブラックリスト化。少なくとも75,000 USDCの移動を停止した。CircleのJeremy Allaire共同創設者は、制裁措置遵守の違反は最高20年の禁固刑が課されるとして、他の企業も追随すると予想している。
インターネット上のプライバシーとセキュリティ、そしてパブリックなインターネット上の仮想通貨の将来について、並々ならぬ疑問を投げかけている。
Allair氏が指摘するように、米財務省の制裁措置に端を発する各社の対応は仮想通貨市場で様々な波紋を呼んでいる。制裁措置に対する抗議活動の一環で、Tornado Cashから様々なアドレスにイーサリアムを送信する事例も報告された。
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