ブロックチェーンの可能性に出資
カナダの大手年金基金「Caisse de dépôt et placement du Québec(CDPQ)」は、暗号資産(仮想通貨)融資企業Celsius Network(セルシウスネットワーク)へ出資した約200億円(1.5億ドル)を、回収困難であると判断したことが分かった。
CDPQは17日、2022年6月末時点における運用のリターンを発表。この公式発表にセルシウスの名前はないが、多くの海外メディアが、セルシウスの株式を減損処理したと報じた。セルシウスは今年7月、米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づいた破産申請を行ったことを正式に発表している。
セルシウスが、CDPQとWestCapが主導した資金調達で4億ドルの出資を受けたことを発表したのは2021年10月。このうち、CDPQは1.5億ドルを投資していたという。資金調達の公式発表で、CDPQのAlexandre Synnett最高技術責任者は当時、ブロックチェーンの可能性の高さに言及し、「セルシウスは、透明性と顧客保護を運営の中心に据えた管理チーム持つ、世界をリードする仮想通貨融資企業である」とコメントしていた。
CDPQのCharles Emond最高経営責任者は今回、「出資を行う際は多くの専門家やコンサルタントとしっかり調査を行なっている」と説明。一方で、「仮想通貨領域は今、過渡期にある。投資を行うのは早すぎた」とも述べた。
セルシウスへの出資についてEmond氏は今後、法的な手段を検討し、債権者として破産の裁判にも参加するとしている。
規制当局も調査
CDPQが1.5億ドルをセルシウスに出資していることは以前から明らかになっていた。
今月に現地メディアの報道によって、カナダの規制当局が米当局と、セルシウスの破産をめぐり連携を進めていることが分かっている。セルシウスの破産が、カナダの人々にどのような影響を与えたか、特定をはかっている模様だ。
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