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強さを見せるビットコイン、昨年末の仮想通貨バブル時とドミナンス推移に類似点

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインドミナンスが年初来最高に
仮想通貨の下落相場から順調にドミナンスを上昇させていたBTC価格は、ビットコインETF期待などを伴う上昇相場の波が加わったことで急進、年初来高値を更新した。ドミナンスの推移は、現在の重要ファンダ要因として注目されており、2017年後期のバブル相場との類似点も見受けられる。
ドミナンスとは
仮想通貨市場全体におけるビットコインの支配率(優位指数)のこと。2017年以降のアルトコイン隆盛に伴い、ドミナンスは急降下している。

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仮想通貨市場は17日、18日と全面高を2日継続。2日で市場規模を約400億USD(4.45兆)拡大した他、ビットコインも月間最高値を更新するなど好調な相場が続きました。

その後は状況が一服、大きく価格こそ落とさなかったものの、アルトコイン市場は軒並み相場に反落が見られました。

しかし、23日まで依然として継続した強さを見せる仮想通貨時価総額1位のビットコインは、多少の調整こそあったものの、本日再度米ドル建で7,500ドル(83.3万円)まで大きく値を戻すなど、右肩上がりの相場を形成しています。

この状況の注目点は、市場の資金占有率を示すビットコインのドミナンスにあり、数日コインポストの「仮想通貨市況」でもお伝えしたように、ビットコインのドミナンスが右肩上がりの傾向にある中で、ついに年初来最高のパーセンテージを付けたことにあります。

CoinMarketCapのデータによると、2018年のビットコインドミナンスの最高%は、3月29日につけた45.69%でしたが、7月21日午前7時に45.77%を記録、年初来最高を更新しました。

出典:coinmarketcap

45.77%と最高値を記録後、ビットコインドミナンスは%を落としており、ファンダ要因としても市場にBTCドミナンスが注目されている状況になりつつあると言えるでしょう。

このような状況を考察するため、まず過去のドミナンスの推移から見ていこうと思います。

ドミナンスの傾向

ビットコインのドミナンスが続伸、他のアルトコイン市場に影響が出たのは2017年後半から大きく分けて2度発生しており、1つ目は2017年9月から年末にかけて、2つ目は2018年3月から9月にかけてです。

ただし、これら2つのビットコインドミナンスの上昇理由には、大きな違いがあります。

2017年後期

出典:coinmarketcap

1つめの上昇(2017年後期)では、米シカゴ・オプション取引所を運営するCboeとシカゴ・マーカンタイル取引所CMEが、ビットコイン先物上場を目指すことを発表。

実現することで、世界で初めて公設の仮想通貨デリバティブが誕生し、機関投資家参入の呼び水になるとの期待が、ビットコインの価格に反映されました。

2018年3月

出典:coinmarketcap

2つめの上昇(2018年3月)では、仮想通貨市場全体が総じて下落するような長期にわたる右肩下がりのトレンドにおいて、よりボラティリティが高いリスク資産であるアルトコインからの資金流出を促進する反面、ビットコインからの資金流出が相対的に少ないことで、結果としてビットコインのドミナンスが上昇した格好です。

違いを2つに分けると、以下のようになります。

1. 「ビットコインへの資金流入、市場規模の拡大期待」

2. 「下落相場の中で、アルトコイン市場での資金流出が顕著に」

現在の状況と類似点は?

では、「今回のビットコインドミナンスの推移は、どちらに該当するのか?」という疑問点が浮かびます。

あくまでも独自考察ですが、今回のビットコインドミナンスは「下落相場の中で、アルトコイン市場での資金流出が顕著に」といった理由で続伸していたビットコインドミナンスの推移が、「ビットコインへの資金流入、市場規模の拡大期待」に変化したのではないかと考えられます。

この変化が起きた理由は、6月26日にCboeが新たにVanEck、SolidX Bitcoin Trustが提案した、ビットコインETFに関する書簡を米国証券取引委員会(SEC)に提出したことに始まります。

ETF申請の提出は、決して初めての試みではなく、過去にもビットコインETFの提出は行われ、相次いだ申請取り下げの形で実現には至りませんでした。

今回注目すべきETFとして挙げたVanEck、SolidX Bitcoin Trustも、この取り下げを行なった企業であり、再度機関投資家向けにターゲットを当てる商品として、再度申請を行なった格好です。

補足:1口当たりの投資額は25 BTC。

ビットコインETFを取り巻く環境

当時、SECは「これらのビットコインETF上場を退け、十分な投資家保護が確立されるまではこれらの投資商品を承認するのには気が引ける」といった声明を出すなど、投資家保護の重要性を説いていました。

しかし、今回のケースでは、提供先がすでにSECの元運営を行うCboeであることや、BTC先物の実績を持つ点、また機関投資家向けに上記2社が再度動いた状況など、申請許可に向けた積極的な動きが確認されており、過去のETF申請より期待感が高まっています。

このような背景を踏まえ、ビットコインドミナンスの変化、上昇トレンド時でも継続したBTCドミナンスの上昇が顕著に見受けられたのは、ETFの可否判断が行われる日が、8月上旬(8/10前後)、最長で9月後半になる可能性が浮上するなど、SECによる審査判断の日程が、Cboeの申請に対する書簡の内容で判明したことです。

この可否判断の日程は、書簡の読み解き方によって複数の予定日が推測されていますが、重要なのは現在最も注目されているETFの可否判断が日程ベースで出てきている点と、その日程が刻一刻と近付いている点にあります。

ビットコインETFの重要性

ビットコインETFの重要性は、昨年末の過熱感から一服感漂う市場の中で、証券として提供されるETFが然るべき規制下で提供されることで、新たな機関投資家の参入障壁低減に繋がることになりますが、そのほかにも、デジタルゴールドとみなされるビットコインが金(ゴールド)と比較対象とあげられ、過去のチャートから価格上昇推移を比較されるなど、金ETFと機関投資家、それに伴う価格高騰の事例があることが大きな理由の一つと言えるでしょう。

この市場規模の拡大期待は、ビットコイン先物の状況と類似しており、ビットコインのドミナンス推移にも反映されつつあります。

一般投資家の関心薄から大きく値を下げた仮想通貨市場が、再度年末にかけて上昇傾向を継続させるのは、かなり難しい状況だと言わざるを得ませんが、ETFの影響力は、違った面からのアプローチとして、その状況を変化させるほど期待されており、2018年後期の市場を占うといっても過言ではないでしょう。

今後のドミナンスの推移としての重要点は、50%と60%にあるとの意見も強く、昨年末の12月最高値65%を目安に段階的に、ETFの可否判断の日程に向けて動く可能性があるかもしれません。

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