はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

GYEN発行企業、アルゴリズム型ステーブルコインの脆弱性を指摘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーブルコインの正当性

日本円連動型のステーブルコイン「GYEN」を発行するGMO-Z.com Trust社は7日、アルゴリズム基盤とする無担保型ステーブルコインに関する考察記事を発表。「アルゴリズムは信頼性に欠ける;法定通貨担保型が答えだ」と題し、その第一弾として「TerraUSD(UST)」崩壊の背景を中心に、無担保型の脆弱性を指摘した。

記事では、「いかにペッグをうまく維持するか」が唯一、ステーブルコインの正当性を試す基準だと主張している。その観点から見ると、崩壊したUSTをはじめ、多くのアルゴリズム型ステーブルコインは、ペッグの維持に失敗・苦戦している。

ペッグ

ある通貨と、米ドルなどの特定の通貨との価格レートを一定に保つ概念。為替相場制度「ペッグ制」に由来する。ステーブルコインのテザー(USDT)やUSD Coin(USDC)は、担保としての準備資産を維持することにより米ドル・ペッグの安定化を図っている。

▶️仮想通貨用語集

USTはTerraのトークンであるLUNAの発行とバーン(焼却)により供給量を調節し、米ドルとのペッグ(連動)を維持していた。UST価格が1ドルを超えると、LUNAをバーンすることで1USTを入手できるが、UST価格が下落した場合は、1USTを1ドル相当のLUNAと交換できる仕組みだ。

USTが下落するほど多くのLUNAが発行され、市場で売却されるため、USTがドルペグを奪還しない限り、負のサイクルは続く。記事では、LUNAの崩壊は、大口投資家が大量のUSTを他のステーブルコインと交換したことがきっかけとなり、市場がUSTのアルゴリズムに対する信頼を失ったことに起因すると指摘した。

NFTプラットフォームBLOCKvのReeve Collins共同設立者は、USTの崩壊はアルゴリズム型のステーブルコインが持続不可能であることを示唆していると以下のように述べた。

あの崩壊はカスケード効果をもたらした、おそらくほとんどのアルゴリズム型ステーブルコインの終焉となるだろう。

記事ではディペッグが発生したアルゴリズム型ステーブルコインを列挙した。

  • USDN(Waves):2度ディペッグし70セント台に下落。時価総額の3分の1を失う。
  • DEI(担保付き):60セントを割る。時価総額はピーク時の3分の1以下に。
  • USDD(Tron):93セントまで下落
  • aUSD(Acala):コードの脆弱性をついたハッキングで、30億ドル以上が鋳造され、1セントまで下落。(チームはその大半を回収・バーン)執筆時現在76セントでペッグは回復していない。
  • Fei USD (Tribe):価格の乱高下が続いたため、ステーブルコインを監督するDAOの解散とプロトコル所有のコインをバーンする計画を発表。

ディペッグを回復したTron

記事では、ペッグを回復し、時価総額を増やしたTronを「市場の疑念の負の連鎖」から逃れることのできた数少ない例として紹介した。TronがUSDDを支えるため、約315%の担保率となるTRX、BTC、 USDT、 USDCの保有を発表したことに言及。市場のボラティリティへの対応策にはなるが、アルゴリズムによるバランス調整のコストと複雑さを示すものだと指摘した。

また、MakerDaoのDAIについては、170%の過剰担保を保有しているが、その資産の半分以上がUSDCであることに、Bitcoin Magazineの主張を引用し、疑問を呈している。

いわゆる分散型金融革命の基盤が、中央発行体の負債である担保に大きく依存しているのは問題だ。

GYENについて

記事を発表したGMO-Z.com Trust社(米国)は、GMOインターネットグループの子会社で、ニューヨーク州金融サービス局から特定目的信託会社として認可を受けている。NYの銀行法に基づき、ステーブルコインの発行、運営、両替を行うことが可能で、日本円建てのステーブルコイン「GYEN」を発行している。

GYENは米コインベースやLiquid等の暗号資産(仮想通貨)取引所で購入可能だが、日本の規制上、日本国内居住者への販売は対象外となっている。

関連:米コインベース、日本円ステーブルコイン「GYEN」新規取扱い

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/05 土曜日
13:40
トランプ一族の「World Liberty Financial」、WLFIトークンの取引開始を提案
World Liberty Financialが仮想通貨WLFIトークンの譲渡可能化を提案。早期支援者のトークンがアンロックされる見込み。
13:00
リップル社、シンガポールでXRPLの起業家育成プログラム開催へ 最大20万ドル資金提供
リップル社がシンガポールでXRP台帳基盤の起業家育成プログラムを開始する。RWAトークン化・DeFi・AI分野などに焦点を置き、最大20万ドルの資金提供を予定している。
10:20
1兆円相当ビットコインが移動も、構造的売り圧力は限定的か=Bitcoin Vector分析
14年以上動かなかった8万ビットコイン(約1.2兆円)が8個のアドレスから移動。仮想通貨取引所への売却ではなくOTC取引との見方も。
09:45
ロシア国営ロステック、トロンでステーブルコインRUBx発行へ 制裁回避狙いも
ロシア国営企業ロステックがルーブル建てステーブルコインRUBxを年内に発行する予定だ。決済プラットフォームRT-Payも立ち上げる。経済制裁回避の意図もあるとみられる。
08:20
Mercado Bitcoin、XRPレジャーで約300億円の資産トークン化計画
ブラジルの仮想通貨取引所Mercado BitcoinがXRPLで実世界資産トークン化を拡大。南米機関による最大規模の取り組み。
07:10
英上場ゴールド探査会社Hamak Gold、ビットコイン財務戦略導入で247万ポンド調達
ロンドン上場のHamak Goldが仮想通貨戦略転換を発表。カタール王族系投資ファンドも参加し株価6%上昇。
06:55
14年以上動かなかったビットコイン、合計1兆円相当が移動 警戒感高まる
14年以上動かなかった合計1兆円相当の仮想通貨ビットコインが、8個のアドレスから移動したことがわかった。当時からどのくらい価値が増えているのかも明らかになっている。
06:30
Ondo Finance、米SEC登録のOasis Pro社買収でトークン化証券市場に本格参入
RWAトークン化プラットフォームOndoが規制準拠のOasis Proを買収。米国投資家向けトークン化証券サービス拡大へ。
06:21
初心者向け|仮想通貨取引所のKYC手続きとは?スマホでできるeKYCの流れと注意点
口座開設の必須手順 暗号資産(仮想通貨)取引所を利用し始めるには、口座開設時に「KYC(本人確認)」と呼ばれる手続きが必要です。これは、ユーザーの身分確認や、利用目的の確認を通…
06:10
スウェーデン、違法収益による仮想通貨の押収を強化
スウェーデンのストレマー司法相が警察や税務当局に仮想通貨を含む犯罪収益の押収強化を指示。昨年11月導入の欧州最厳格な没収法により840万ドル相当を押収済み。
05:40
2800分の1の確率を突破 個人マイナーがビットコイン採掘に成功、5000万円獲得
個人ビットコインマイナーが7月4日にブロック903,883を単独採掘し、3.173BTC(約5000万円)の報酬を獲得。ネットワーク全体の0.00026%のハッシュレートで成功。
07/04 金曜日
17:43
マックハウス、仮想通貨事業でゼロフィールドと基本契約
アパレル大手マックハウスが暗号資産事業に参入。国内マイニングシェア1位のゼロフィールドと基本契約を締結し、ビットコイン購入とマイニングの両輪戦略で収益多様化を目指す。
17:11
SMBCグループ、事業共創施設「HOOPSLINK」を丸の内に開設 Web3や生成AIの活用を目指す
SMBCグループが事業共創施設「HOOPSLINK」を丸の内に開設。Web3などを活用し、スタートアップから大企業まで多様なパートナーと新事業を創出。
15:08
みんなの銀行、ソラナ基盤のステーブルコイン事業化に向け共同検討を開始
みんなの銀行がソラナ(SOL)基盤のステーブルコインとweb3ウォレットの事業化に向け共同検討を開始。Solana Japan、Fireblocks、TISの3社と協業し、新たな金融体験の創出を目指す。
13:50
米上場アンバー・インターナショナル、約37億円調達で仮想通貨準備金戦略を加速
米上場のアンバー・インターナショナルが機関投資家から2550万ドルを調達し、1億ドルの仮想通貨リザーブ戦略を強化。パンテラ・キャピタルなど著名投資家が参加。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧