海運業に導入されるIgnisチェーン
島国の日本にとっては欠かせない海運業だが、新型コロナウイルスの世界的な流行に伴う近年の流通の混乱は、改めて海運というインフラの重要性を思い出させる機会になった。
新型コロナとは直接関係しないものの、エジプトのスエズ運河では貨物船が座礁し、多くの船舶が停滞する事態に。また、中国では主要な港湾都市でコロナに伴う封鎖管理が行われるなどして物流に混乱が起きた。
そんな中、スイスを拠点にブロックチェーン開発を行うジェルリダ(Jelurida)社は、ブロックチェーンを用いて海運業界が抱える課題に新たなソリューションを提供しようと試みており、既に物流や船舶修理などのサービスを展開するスペインの老舗、BMT社と提携を模索している。
本記事ではジェルリダとBMT社が共同で制作した資料を基に、海運業におけるブロックチェーンのユースケースを紹介する。
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透明性の無さが海運業の課題に
海運には、船舶を保有する船主やその船を借り受けて物流事業を行う海運会社、そのビジネスを支える金融や保険会社など、様々な事業者が関わっている。
現在、船主は、新型コロナの影響や環境規制の強化によって、ますます増え続ける検査や規制に直面している。また、ブローカーはコンプライアンス意識に欠けた船との契約を避けつつ、如何にコストを抑えるかに苦心している。
さらには、認証機関や船の修理を手掛ける企業も、船舶が適切な基準を満たしているかなどといった情報について、ますます神経をとがらせている。これら三者に共通しているのが、必要な情報へのスムーズなアクセスに課題を抱えているという点だ。海運業界の不透明性は、改革を妨げる一つの要因となっているという。
ジェルリダは、船舶に関するコンプライアンス情報を、アクセスが容易で、改ざんの難しいデータベースに集積することができれば、バリューチェーンの全ての事業体の効率性と収益性を向上させることが出来るだろうと指摘した。そして、そのデータベースとして提案されているのが、ジェルリダが開発を行っているパーミッションレス型ブロックチェーン、「Ignis(イグニス)」だ。
ビジネス面でのメリットと可能性
ジェルリダはIgnisに加え、NFTを用いたシステムで以下のようなメリットをもたらすことが可能とする。
環境への負荷を減らす取り組みも
ブロックチェーンを導入することによる環境面への影響を考慮する前に、まずブロックチェーン自体の環境面での評価を見る必要があるだろう。
ジェルリダのIgnisブロックチェーンは、 カーボンフットプリント面において優れており、ノードもアンドロイドのスマートフォンなど、小型のデバイスで運用することが可能だ。
また、海運業へのブロックチェーンの導入も様々なプラスの影響が期待できる。寄港地での手続き効率化は、無駄な燃料の消費に貢献でき、データベースを参照することで、国際的な規制基準を満たしていない船舶を業界全体で適切に避けることができるようになる。
NFTを実装する技術は出来上がっているものの、海運業での利用はまだだ。現状において主流であるアートやゲームでの用途との違いは、ブロックチェーンに保存すべきデータの定義だけだ。各パートナー企業との専門知識を組み合わせることで、商業化に向けた実用的な製品の立ち上げに不都合はないとジェルリダは見ている。
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