今週(24日〜30日)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
24日〜30日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円は、280万円周辺で揉み合い。9月30日正午時点で、283万円周辺で推移している。
欧州株の上昇やイングランド銀行(BOE)の緊急利上げ見送りを受け、小さくアセンディングトライアングルを形成して始まった今週のBTCは、27日に保ち合いブレイクを演じ2万ドル水準を回復。しかし、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がDeFi規制の必要性に言及したことや、セントルイス連銀ブラード総裁が世界的景気後退の可能性と積極的利上げに言及したことで、米株の下落に連れ安となり上げ幅を掻き消した。
週央に入ると、英欧金利上昇に追随した米長期金利が4%台に乗せ、BTCは270万円割れをうかがう展開となったが、BOEの国債購入発表で相場は急反転し280万円を回復。
29日には複数米地区連銀総裁らからタカ派的な発言が相次ぎ、一時は下値を試す場面もあったが、BOEの国債追加購入によるポンド高でユーロも対ドルで連れ高を演じると、BTC相場も俄に切り返し、283万円周辺の抵抗帯を試す展開となっている。
今週は8月米個人消費支出(PCE)の発表を30日夜に控え、FRB関係者が相次いでタカ派的な姿勢を再度市場に認識させた。これにより米長期金利が一時は14年ぶりの水準にまで上昇し、米株市場は上値を重くしている一方、日銀の為替介入に続きBOEがポンド高を誘導するべく国債購入を決定するなど、異例の措置が続々と浮上している。韓国、中国、台湾も自国通貨安に歯止めを掛ける準備をしているとされ、第二のアジア通貨危機を防ぐのに奔走し始めた。
こうした中で無国籍通貨とも称されるBTCは底堅い。今週はポンド建てのBTC出来高が急増したとの報道もあり、法定通貨システムの不安定さが、BTCが脚光を浴びる切っ掛けに少しはなっているか。
もっとも、相場は上昇トレンドを形成しているわけではなく、足元の状況は、昨年末からの弱気相場でリスクマネーが引き上げられボラティリティが低下していると言えよう。30日の米PCEが上振れとなれば、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での100ベーシスポイント利上げを織り込む動きが加速し、流石にBTC相場にも向かい風となろう。
反対に、インフレ減速が確認されれば、株式市場はPCE上振れリスクを織り込んできただけにリスクオフの巻き戻しも期待されよう。また、今月こそはPCEの中長期的トレンドを示すトリム平均PCEインフレ率の上昇に歯止めが掛かるかも一緒に注目したい。同指標は政策金利の目標地点(ターミナルレート)の根拠の一つとして参照されている可能性が指摘される。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:ビットコイン大幅下落、目先の底堅さに期待も