著名投資家はBTCをホールド
ヘッジファンド業界のパイオニアとして知られるポール・チューダー・ジョーンズ(Paul Tudor Jones)氏は、2020年の強気相場前にいち早く投資を表明した暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を、現在も所有し続けていると発言した。
BTC価格が100万円台だった2020年5月、同氏は自身の資産2%(推定約100億円)をBTCに代えたことを明かし、「ビットコインがインフレヘッジになる」と主張していた。
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10日のCNBCの番組「Squawk Box」のインタビューでジョーンズ氏は、依然としてポートフォリオのわずかな部分でBTCを保有し続けていると述べた。ビットコインは昨年のピーク値である約716万円から62%下落して279万円で取引されている(BTC価格はbitFlyer参照)。
私は、常にポートフォリオの一部を(ビットコインに)割り当てている。
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リセッションの見通し
ジョーンズ氏は、1987年に発生した相場の大暴落「ブラックマンデー」を予測した人物としても知られる著名資産家でもある。同氏はこの日、金融市場に訪れるリセッション(景気後退)入りの見通しや、FRB(連邦準備理事会)の金融政策、株式や仮想通貨市場への影響について語った。
ジョーンズ氏は「米国経済にとってリセッション(景気後退)は間近に迫っているかもしれないし、1、2ヶ月前すでに始まった可能性もあるかもしれない」と指摘した。
しかし、米経済がリセッションに突入したら、FRBが(景気を冷やす)利上げを止めざるを得なくなる時が来る、とジョーンズは語る。そうなれば、おそらく仮想通貨を含む様々な“インフレ取引”に大規模なラリーが再び起こると加えた。
ジョーンズ氏によれば、市場の潮の変わり目として2年物金利を注視しているという。今後米国経済がリセッションを迎えると、まずは2年物金利の上昇が止まり、下落し始める、株式市場が底を打つのはそれからだ。
ほとんどのリセッションは開始から300日ほどで終わると言われ、株式市場は10%程度下落すると言われている。株式市場が実際に底を打つ前に、まず2年物金利の上昇が止まり、下落が始まるだろう。
さらにジョーンズ氏は、10年間区切りで金融市場を振り返った。1990年代は(国営企業の)株式化、ドットコムバブル、2000年代は住宅ローンバブルと大金融危機、2010年代はグローバル化のピークと中央銀行の金融政策の実験の時代だという。
そして、2020年代には金融政策と財政政策の両方が、2010年代の逆を行くことになるとジョーンズ氏は指摘。ビットコインのような供給量の限られた”有限資産”が相対的に価値を持つことになるとのビジョンを示した。
2024年に誰が大統領になるにせよ、債務処理に負われ、財政再建を強いられるだろう。
2010年代とは反対に、債券市場でタームプレミアム(残存年限の長い債券利回り)の上昇が起こる。財政支出が多すぎ、現金が溢れた時代にはインフレが起きた。あるタイミングで、ビットコインやイーサリアムなど量に限りがある仮想通貨は価値を持つことになるだろう。
デュケイン・ファミリー・オフィスの創業者で、ジョージ・ソロス氏の右腕として知られるスタンリー・ドラッケンミラー氏もまた、FRBの金融政策に懸念を示している。同氏は9月末に、「米国経済が来年リセッション(景気後退)に陥ることは必然であり、そうならなければ驚愕に値する。想像以上に酷い状況になる可能性もある」などと言及した。
さらには、「中央銀行への不信感がさらに高まった場合、暗号資産(仮想通貨)市場が恩恵を受ける可能性がある」との見方を示した。同氏は、2020年にビットコインを保有していたことがある。
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