はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ビットコインは迫り来る世界金融危機に打ち勝つことができるか

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインの誕生経緯
リーマン・ブラザーズの経営破綻を発端に、現行の金融システムに幻滅した「ナカモト氏」によって、ビットコインが誕生した。
ビットコインに対する危惧
現在ビットコインは、ほとんどが投機の対象と捉えられているため、他の伝統的市場に追随する可能性がある。金融危機に直面した際、ビットコインが設計通り、それを乗り越えられるかは、ユーザーの手に委ねられている。
S&P500とは
S&P500(Standard & Poor’s 500 Stock Index)は、アメリカの代表的な株価指数で、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

2008年9月、リーマン・ブラザーズが、その負債総額約6000億ドル(約66兆円)という合衆国の歴史上最大の経営破綻を起こしたことに端を発し、その影響は連鎖的に全世界へと広がり、世界規模の金融危機が発生しました。

ビットコイン誕生の理由

責を負うべき「大きすぎて潰せない」巨大金融機関の救済に公的資金(=税金)が使われたことから、政府や中央銀行、そしてそれを取り巻く現行の金融システムそのものに、多くの人々は反発し、不信感を募らせました。 ビットコインが誕生したのは、まさにこの金融危機を受けてのことでした。

2009年1月3日、ビットコインの一番最初のブロック、ジェネシスブロックが生成され、そこには、ブロックチェーンの特性上、永久に消えない文字が刻まれています。

”The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks”
「財務大臣が2度目の銀行救済措置の発動間近」

という、2009年1月3日付のイギリスのTimes紙一面記事の見出しです。

ビットコインの創始者サトシ ナカモト氏の、決意とも読み取れるこの文言は、 ビットコイン誕生の背景にある思想を表していると言われています。 

堕落しやすい中央集権的組織(政府や銀行など)によるコントロールを回避し、数学と暗号学技術に信頼の礎を置き、発行上限が定められた「デフレ」仕様の(注1)P2Pのデジタル通貨が、現行の金融市場やシステムに幻滅した「ナカモト氏」によって、ビットコインとして生み出されたのです。 

そして、ビットコインは財政赤字を公的資金で補填するという悪循環に陥っている現行の金融システムを、劇的に再編し、金融危機から救うのではないかと、ビットコイン信奉者の中では期待されています。

(注1)現行の法定通貨は中央銀行によって上限なく「印刷可能な」インフレ通貨で、発行されるごとにその流通量が増え続けるため、通貨の単位ごとの価値は減少する。

それに対しビットコインは発行上限が決まっており、分割していくことで、流通量を増やすデフレ通貨(1BTCは1億分割して1Satoshiという最小単位で取引可能)で、需要が増えると単位ごとの価値は上昇する。

ところが現在に至るまで、ビットコインの真の力を証明するチャンスは訪れていません。

なぜなら株式市場が非常に好調だからです。

特にアメリカではその傾向が顕著です。

しかし今、一部のアナリストはアメリカの株式市場の危険性に警鐘を鳴らし始めています。

S&P500企業の80%が、今年第2四半期には予想を上回る収益を上げるなど、その業績が好調であるにも関わらず、最も信頼される指標のいくつかはこのような好景気は終焉を迎えていることを示唆しており、現に「スマートマネー」はすでに市場から引き上げているとのことです。

特に、国のGDPに対する株式市場の時価総額を測定し割り出す「Buffet指標」は、懸念すべき危険水域に達しています。

一般的に市場がGDPの70~80%を占めている場合には、かなりの投資への見返りが期待できますが、100%を超えるとその投資は大きなリスクであると判断されます。

そして現在、アメリカは140%の域に達しているのです。

出典:Advisor Perspectives

チャートを見ると、この市場と市場崩壊との間には明確な相関関係があるといえます。

長期で見ると、その関係性はより顕著に現れています。

アメリカ市場だけではありません。

憂慮すべきなのは、急成長を続けてきた中国市場も同様です。

上海総合指数は、1月から25%以上下落していることに加え、すでに火蓋を切られた米中間の貿易戦争は、今年後半期の業績に大きな影響を与えることでしょう。

中国政府は、資本の国外流出に厳しい規制を課すなど、経済危機に備えた安全措置を導入し、中央銀行である中国人民銀行は、国内市場に多大な投資を行い、経済の下支えを行なっていますが、それは国家の債務が積み重なっていることも意味します。

「一帯一路」政策を推し進めるとともに世界中から投資を呼び込んでいる中国ですが、近年の国家債務の急上昇には多くの経済学者が懸念を表明しています。

ビットコインは金融危機を乗り越えられるか

それでは、実際に世界経済が金融危機に直面した場合、ビットコインはその創始者の設計と理想通り、危機を乗り越えることができるのでしょうか。

その答えは、ビットコインユーザーに委ねられていると言えます。

個人にお金の裁量権を取り戻すべく、「世界経済を牛耳ってきた」中央銀行や既存の巨大金融機関が作り上げた金融システムのアンチテーゼとして生まれたビットコインは、残念なことに、価格が上昇し注目を集めた副作用として、政府の政策等に耐性を持った通貨としてではなく、未だにほとんどが投機の対象と捉えられているようです。

「機関投資家による投資がビットコインを救う」といった報道がなされていますが、仮想通貨はまさにその「機関投資家」が属するグループが作り出した問題への対策として作られたという事実は、忘れ去られているかのようです。

ETFや機関投資家向けサービスが切望され、話題になる一方で、そのような流れに対する反対意見は影を潜めています。

私たちは世界的な経済崩壊の原因となり、政府から救済される機関の存在を許すような「壊れたシステム」とビットコインが関連づけられることを心底望んでいるのでしょうか。

人々の実生活におけるビットコインの採用に対し、機関投資家による採用が持つリスクは明らかです。 

本当のリスクは、ビットコインの価値云々でも、ユースケースでもなく、ナカモト氏の理想とは裏腹に、ビットコインが「彼らのシステム」の一部に取り込まれ、その投機的性質ゆえに、他の伝統的市場に追随してしまうことかもしれません。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/18 月曜日
17:00
Tezos ecosystem at WebX 2025:RWA最新動向から日本限定グッズ、体験型コンテンツまで一挙公開
テゾス(Tezos)は、ハードフォークなしでアップグレードできる独自の仕組みを持つブロックチェーンプラットフォームです。2014年にArthur Breitman氏とKathl…
15:50
NewLo、リワードプログラム上のポイントを暗号資産に交換できる新機能をリリース
Web3マーケティング企業のNewLoは8月18日、「NewLo Quest」でポイントを暗号資産ETHに交換できる機能を開始。企業向けサービスも展開し、既存ポイントプログラムのブロックチェーン拡張を支援。
14:27
スイス大手スーパー「SPAR」、全国100店舗で仮想通貨決済開始 
スイスの大手スーパーマーケットチェーン「SPAR」が全国100店舗で仮想通貨決済を開始した。Binance PayとDFX.swissとの提携により、100種類以上の仮想通貨とステーブルコインでの支払いが可能になる。
13:30
加藤財務大臣・金融担当大臣の「基調講演」が決定|WebX2025
加藤財務大臣・金融担当大臣が登壇決定 国内最大手のWeb3メディア「CoinPost」の運営会社、株式会社CoinPost(本社:東京千代田区、代表取締役CEO:各務貴仁)が企…
12:28
イーサリアム RWAトークン化のリスクとは?有識者が指摘する課題と対策
ニューヨーク大学教授が、仮想通貨イーサリアムにおける資産トークン化が普及する上での課題を指摘した。大規模採用前に解決すべき問題を提示している。
12:11
メタプラネット、137億円でビットコインを追加購入 
メタプラネットは137億円で仮想通貨ビットコイン 775BTCを追加購入し、累計18,888BTCを保有。通算取得額は2,840億円超に到達し、戦略的なBTC投資を継続している。
11:59
ビットコインETF好調も個人投資家は利益確定売り先行、ジャクソンホール会議控える中
仮想通貨市場ではビットコインETFやイーサリアムETFに過去最高水準の資金流入が続く中、BTC価格は調整中。ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長の利下げ示唆に期待が高まる一方、機関投資家の買いと個人の利益確定売りが交錯している。
09:56
タイ政府、外国人観光客に仮想通貨決済システム「TouristDigiPay」を提供開始
タイ政府が外国人観光客向けに仮想通貨をバーツに交換して決済できる新システムを導入する。マネロン対策などで安全性を確保しつつ、観光業活性化を目指す。
08/17 日曜日
19:37
金融庁、日本円建てステーブルコイン「JPYC」承認へ=日本経済新聞
金融庁が国内初の円建てステーブルコイン「JPYC」を承認へ。今秋にも発行開始予定で、3年間で1兆円分の発行を目標とする。JPYC代表の岡部氏は「ステーブルコインは巨大な国債消化装置」とコメントし、日本国債市場への影響を予測。国際送金やDeFi活用に期待が集まる
14:00
今週の主要材料まとめ、ビットコイン6年以内1000万ドル到達の可能性やリップル訴訟終了発表など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:00
ステーキング 主要取引所の仮想通貨別・年率報酬を徹底比較
【2025年7月最新】国内主要取引所のステーキング対応銘柄と年率を一覧比較。イーサリアムやソラナなど人気コインの高利率サービスを紹介し、各取引所のメリット・デメリットや税金のポイントも解説します。
11:30
ビットコイン1750万円台で方向感欠く、ジャクソンホール会議が転換点に|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン(BTC)対円相場が1750万円周辺で方向感を欠く展開。米CPI下振れで利下げ期待が高まるも、PPI上振れで大幅利下げ観測が後退。来週のジャクソンホール会議とパウエルFRB議長発言が相場の鍵を握る。テクニカルサポートも豊富な現在の市況を詳しく分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|メタプラネットの大幅増益に高い関心
今週は、メタプラネットの決算発表、バリュークリエーションのビットコイン全売却、スコット・ベッセント米財務長官のビットコイン準備金に関する投稿のニュースが最も関心を集めた。
11:00
『守りの金(ゴールド) vs 攻めのビットコイン』資産配分における役割の違いを解説
相場暴落時に注目の集まりやすい金(ゴールド)とビットコインの比較を初心者にもわかるよう解説、インフレ耐性や政府の影響回避といった類似性と、安定性や価格変動要因の違いを比較、投資戦略や資産配分のポイントも提示する。
08/16 土曜日
13:45
トランプ一族支援のアメリカンビットコイン、日本・香港企業買収を検討
ドナルドJrとエリック・トランプ氏が支援する米仮想通貨マイニング企業アメリカンビットコインが、日本と香港の上場企業買収を検討中。マイケル・セイラー氏の戦略に倣い企業財務でビットコイントレジャリー企業を目指す。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧