出金再開は年内を目標
暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの日本法人「FTX Japan」は、年内に顧客が資産の引き出しを再開できるよう準備を進めていることがわかった。FTX Japanの幹部に取材したNHKが21日に報じた。
出金が現在できない理由については、親会社であるFTXと同じシステムになっているためと説明。FTXはすでに米国で破産申請を行い、事業を停止している。FTX Japanの幹部は、日本法人として顧客の出金を再開できるように、今は独自システムを開発していると述べた。
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FTXは19日、グループ企業がグローバルに保有している資産の調査を開始すると発表。利害関係者の補償に向けて、回収可能な資産価値の最大化を目指すと説明している。
この時、FTXのジョン・J・レイIII暫定CEOは「米国内外で規制または認可された子会社の多くが、支払能力のあるバランスシート、責任ある経営状態、価値あるフランチャイズを有していることがわかった」と述べていた。この子会社には、FTX Japanも含まれているという。
FTXは今後数週間の優先事項として、FTX Japanら子会社の「売却、資本再編成、その他の戦略的取引」を検討する方針を表明している。
FTX Japanの現状
FTX Japanには、財務省の関東財務局が10日に行政処分を下した。その際、業務改善計画を提出するよう要請していたが、同社は16日に提出を行っている。FTXの破綻は世界の規制機関が注視しており、内閣府特命担当大臣(金融相)の鈴木俊一氏はFTX Japanについて、顧客資産が国外に流出するリスクに警戒感を示していた。
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21日にFTX Japanは、顧客の資産の管理状況等に関する声明を発表。顧客資産については法令に則り、仮想通貨はコールドウォレット、法定通貨は日本の信託口座で分別管理を行っていると改めて説明した。21日時点の仮想通貨の管理状況は、以下の表の通りだと述べている。
また現在は、以下の機能などが停止しているという。これらの機能の復旧については、改めて案内していくとした。
- ログインができない
- 画面が正常に表示されない
- 出金、出庫が停止している
- 問合せができない
コールドウォレットとは
インターネットと完全に切り離されたウォレットのこと。ペーパーウォレットやハードウェアウォレットといった種類がある。
インターネットと切り離されているためハッキングなどには強いが、電子上でやりとりする仮想通貨を頻繁に利用するユーザーにとっては利便性が低いというデメリットがある。
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追記:FTX Japan社長発言
セス・メラメド社長は日本経済新聞社のインタビューで、休眠口座なども合わせて190億円程度の顧客資金があるとして、「顧客資金は国内だけで別管理が完全になされ、返金を最優先に調整を進めている」と話したという。