ビットコインNFTの人気上昇
NFT(非代替性トークン)ブームを牽引したETH基盤の人気NFTコレクション「CryptoPunks」が、ビットコインNFTでも価格の火付け役となったようだ。
ICYMI: @OrdinalPunks INSCRIPTION #620 SOLD FOR 9.5 $BTC (~$214,766.50) pic.twitter.com/TqhnnB38uL
— DEGEN NEWS 🗞️ (@DegenerateNews) February 9, 2023
見逃した人向け:OrdinalPunksのインスクリプション#620が9.5BTC(~21万4,766.5ドル)で売却された
ビットコインブロックチェーン上でNFTの作成を可能にしたのは、今年1月21日にローンチしたばかりのOrdinals Protocol。2,740万円相当で取引されたビットコインNFTは、イーサリアム上に構築されたYuga Labsの「CryptoPunks」コレクションを彷彿させるスタイルで、「Ordinal Punks」と呼ばれる。
全部で100個のOrdinal Punks NFTが作成されたが、すでに完売。今回、9.5BTCの高値をつけたのは「Punk 94」で、非常にレアなエイリアンのCryptoPunksを基盤としており、オリジナルは31.5億円(2400万ドル)相当の値をつけたことがあるという。
ビットコインNFTに対する関心が急上昇していることは、オンチェーンデータからも読み取れる。
暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引所BitMEXのリサーチ部門は、Ordinalsに関するビットコインのブロックチェーンデータを分析。今月に入りOrdinalsの利用が急激に高まっていると指摘。2月7日までに1万3,000以上のOrdinalsNFTが確認され、526MBのブロックスペースを消費し、消費された取引手数料は6.77BTCだったと報告している。
Ordinalsの累積取引件数
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Ordinalsとは
OrdinalsはBitcoin Coreの元貢献者であるCasey Rodarmor氏が設計したプロトコル。ネットワークの安全性と効率性を高めるビットコインのアップグレード「Taproot」で導入された機能を利用することで、サイドチェーンやレイヤー2などを介さず、任意のデータをビットコインのブロックチェーンに直接保存する。
Ordinalsは、ビットコインの最小単位であるsatoshi(1BTCの1億分の1)に通し番号をつけることで、ユーザーが個々のsatoshiを探索、転送、受信することを可能にした。一つのsatoshiに動画や画像などのデータも含めることもできる。
なおOrdinalsでは、個々のsatoshiにテキストや画像などのコンテンツを追加することをインスクリプション(Inscription)と呼び、そのデータはNFTではなく「デジタル・アーティファクト(加工品)」と表現される。
続々と作成されるビットコインNFT
オリジナルの全CryptoPunks1万個のレプリカをミントした「Bitcoin Punks」など、Ordinal Punksに類似したNFTコレクションも作成されている。
また、2021年に登場したイーサリアムのNFTコレクション「OnChain Monkey」が、Ordinalsを介してビットコイン・ブロックチェーン上のNFTとして誕生した。
OnChainMonkey is the first 10K collection to be inscribed on Bitcoin via Ordinals!
— OnChainMonkey (@OnChainMonkey) February 9, 2023
Own an ETH OCM Genesis = Owning a BTC OCM Genesis
All on-chain on Bitcoin on Feb 8, 2023, and all on-chain on Ethereum on Sept 11, 2021! 🔥
🧵/8 pic.twitter.com/AMuUlERJZM
イーサリアムNFTと同数の全1万個のNFTがビットコイン上にも完全に複製されたことになる。この発表を受けて、OnChain MonkeyのNFT価格は約3倍に急騰した。
OnChain Monkeyを運営するMetagoodは、ビットコインNFTの取引を可能にすることが次のステップだと述べ、Ordinals周辺に取引関連ツールを作成する必要性を指摘した。同社は、将来的にイーサリアムとビットコイン間にブリッジを構築し、NFT保有者が2つのバージョン間で切り替えられるようにすることを計画しているという。
限られた取引環境
注目を集めるOrdinalのビットコインNFTだが、従来のNFTのようにOpenSeaなどの公開市場で売買できる環境は、まだ整っていない。Ordinal Punksなどの取引は、ユーザー間での直接取引やエスクローサービスを通じて行われている。ウォレット間の転送を行うにはフルノードを稼働させる必要があり、技術的なハードルは非常に高い。
このような取引インフラの欠如に対し、「史上最大のNFT詐欺の可能性もある」として警鐘を鳴らすユーザーもいる。
The biggest NFT scam of all time?
— TheNorwegian 💎 (@TheNorwegianNFT) February 9, 2023
Unless you've been living under a rock the last week, you've probably heard about Ordinals
Here's why you should be EXTREMELY careful about this, and why your favorite influencer might not have your best interest in mind 🧵👇
(1/10) pic.twitter.com/yGFrbfStwz
TheNorwegian氏は、全ての取引がOTC (店頭取引)であり、情報の非対称性が大きいことや透明性の低さが、詐欺の温床となる可能性が高いと指摘した。
Ordinalのブームが単なる一過性のもので終わるのか、継続的に成長していくのかは、今後、ビットコインNFTを支えるマーケットプレイスやブランド力、ウォレットなどのエコシステムが、どれだけ充実していくかにもよるだろう。