はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

国際決済銀行、仮想通貨市場の波乱と小口投資家の損失を分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「大口投資家が売り抜けた」と分析

国際決済銀行(BIS)は20日、2022年の暗号資産(仮想通貨)市場混乱とリテール投資家の損失を分析したレポートを発表。結論部分では仮想通貨のリスクを抑制する政策対応が望ましいと述べている。

BISは、次の3つを要点として報告した。

  • FTX破綻などによる波乱時、機関投資家が売り、リテール投資家が買っていた。
  • 過去7年間のデータでは、仮想通貨取引アプリユーザーの大半がビットコイン(BTC)で損失を出していた。
  • 仮想通貨市場の混乱は、より広い金融市場にほとんど影響を与えなかった。

まず、旧テラエコシステムの崩壊時、およびFTX破綻時には、バイナンスなど主要なプラットフォームで取引高が急増していた。BISはこの動きを、ユーザーが急落したトークンを手放して、ポートフォリオを調整しようとしたことを示すと説明している。

こうした際、1,000BTCを超える資産が入ったウォレットの所有者である大口投資家、通称「クジラ」はショックが起こった日付後の数日間で、ビットコインの保有量を減らしていた。

また、価格のパターンは、大口投資家が価格の急落前に資産を小口投資家に売却することができたことを示唆している。BISは、「大口投資家は小口投資家を犠牲にして利益を得た」と分析した。

BISとは

BIS(国際決済銀行)は、スイスのバーゼルに本部を置く、63ヵ国・地域の中央銀行をメンバーとする組織。

▶️仮想通貨用語集

投資アプリユーザーの損失

BISによると、新規ユーザーの増加は、ビットコインの価格上昇と連動していた。通常は、価格の上昇から約2か月遅れでユーザー数の上昇が見られるとしている。価格とユーザ数の上昇は、イーサリアム(ETH)でも同様だった。

BISは、このような傾向下で、世界中ほとんどの経済圏でユーザーの多くが損失を出していると論じている。BISは、95カ国以上、200以上の仮想通貨取引アプリの事例を分析。各新規ユーザーが、アプリを初めてダウンロードした月から毎月約1万3,000円(100ドル)のビットコインを購入したと仮定してシミュレーションを実施した。

その結果、平均的な投資家は2022年12月までに約12万円(900ドル)を投資し、その約半分にあたる約5万8,000円(431ドル)を失っていた。投資家がアプリをダウンロードしてから毎月投資していた場合、5分の4以上の人々が資金を失ったという。

ブラジル、インド、パキスタン、タイ、トルコなどの新興市場経済圏では、損失を出したとみられる割合がさらに高くなっていた。

グローバルな政策対応を呼びかけ

BISは、仮想通貨市場の混乱では、影響を受けた個人投資家がいたものの、より広範な金融システムに対する影響は限定的だったとしている。ただ、仮想通貨とより広い金融システムが現在よりも密接に関係していた場合、仮想通貨市場のショックが実体経済に与える影響は大きくなっていた可能性があると述べた。

BISは、グローバルに協調して政策対応を行うことが望ましいとして、次のように意見している。

選択肢としては、特定の仮想通貨活動の禁止、仮想通貨市場の外部とのつながりを制限すること、セクターに対する規制、あるいはこれらを組み合わせることが挙げられる。

外部とのつながりに制限を設けることは、仮想通貨のリスクが実体経済や伝統的な金融システムに波及することを防ぐことができる。市場の健全性、投資家保護、金融の安定性を促進するために、適切な措置の組み合わせが必要だろう。

BISは昨年12月、従来型銀行において、仮想通貨の保有上限を資産総額の2%までとする基準を示したところだ。

関連国際決済銀行(BIS)、銀行の仮想通貨保有量上限を2%までに設定

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05/15 木曜日
17:44
リミックスポイントが決算発表、経常赤字5.4億円に 来期の暗号資産は強気シナリオ想定
リミックスポイントが25年3月期の決算を発表。暗号資産(仮想通貨)評価損が影響し、5.4億円の経常赤字となった。一方、来期はビットコインETF資金流入やトランプ政権政策を背景に、業績の大幅回復を見込んだ。
17:16
NXPCとは|MapleStory N対応の仮想通貨を解説|買い方・将来性
Nexon発のMapleStory Nで使用される仮想通貨「NXPC」の仕組みや買い方を初心者向けに解説。メイプルストーリーのWeb3版ゲームの経済システムからウォレット設定まで徹底ガイド。
14:00
「イーサリアムにおける重要な転機」BTCS社、ETH保有増やすために最大84億円調達へ
ナスダック上場のBTCS Inc.が84億円規模の転換社債発行で仮想通貨イーサリアム購入戦略を強化。第一弾の調達ではバリデーターノード運用拡大とステーキング収益増加を目指す。
13:15
米民主党、トランプ一族の仮想通貨事業に関する「疑わしい活動報告」提出を財務省に要請
米下院の民主党幹部が財務省に対し、トランプ一族のDeFi事業「WLF」とミームコイン「TRUMP」に関する疑わしい活動報告(SAR)の提出を要請した。民主党は、要請の根拠として「贈収賄、汚職、利益相反」への懸念を挙げた。
13:00
パンテラCEO、ビットコインが米株式市場を凌駕する理由を解説
仮想通貨VC大手パンテラキャピタルの創設者がToken2049で講演。米政権の好意的な政策や市場の割安感から、ビットコインが株式市場を上回る成長をいずれは遂げると分析。
12:00
JPモルガン・Ondoなど、RWAトークン化のクロスチェーン決済実験に成功
チェーンリンク、JPモルガン、Ondo Financeが共同でトークン化米国債ファンドのクロスチェーン決済テストを実施した。DvP取引の効率化とリスク低減を実現するとしている。
11:53
アジア富裕層が仮想通貨投資を拡大、アルトコイン市場は節目を超える
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは10万ドル台を堅持し、過去最高値まであとあと6%の位置に迫る。アルトコイン市場も840億ドルの抵抗線を突破し、底打ち反転のシグナルも。UBSの調査ではアジアの富裕層が従来の資産から仮想通貨へ資金を移している現状が指摘された。
11:20
ウクライナ、国家のビットコイン準備金創設へ=報道
ウクライナが国家戦略としてビットコイン準備金創設を進める模様。トルコでのロシア・ウクライナ首脳会談の動きと併せて解説。
11:15
カルダノ創設者ホスキンソン、3700万ウォレットに仮想通貨エアドロップ計画を発表
チャールズ・ホスキンソン氏がConsensus 2025で8つのブロックチェーンをまたぐ「Glacier Drop」を発表。ベンチャーキャピタル排除の新エアドロップ戦略で仮想通貨コミュニティの統合を目指す。
10:30
セイラーのストラテジー社、「ビットコイン戦略でナンバーワンの上場企業へ」=アナリスト
アナリストのジェフ・ウォルトン氏はFTの特集で、ストラテジー社が仮想通貨ビットコインを基盤に市場で最強の企業になると予測。
09:50
リミックスポイント、ビットコインを追加購入 暗号資産保有総額は111億円超に
リミックスポイントがビットコインを5億円分追加購入。イーサリアムやリップルなども含めた暗号資産(仮想通貨)の総保有額は111億円を突破。Web3領域の投資事業を加速。
09:45
イーサリアム価格急騰の3つの要因とは、資産運用会社が分析
仮想通貨イーサリアムの価格急騰の背景には、ステーブルコインとトークン化、Layer 2の進展、投資家のショートポジション解消などが影響。市場動向と成長要因を詳しく解説。
09:31
BTC以外の仮想通貨に分散投資するメリット、Bitwise幹部が考察
ビットコイン以外の仮想通貨にも分散投資を行うメリットをBitwise幹部が考察。インターネット業界の株価の歴史を例に挙げ、大多数の投資家がアルトコインも保有すべきだと主張している。
09:25
メタプラネット1Q決算、ビットコイン投資で135億円の含み益
メタプラネットが2025年第1四半期決算を報告。5月時点で保有ビットコイン量が6,796BTCに到達し含み益へ転換している。株主数も増加中だ。ビットコイン財務戦略の最新状況を解説する。
08:41
テザー社、AI開発プラットフォーム「QVAC」を発表 ビットコインとUSDT決済も対応
テザー社が分散型AI開発プラットフォーム「QVAC」を発表。ユーザーのデバイス上でAIが動作し、クラウド接続不要。AIエージェントがビットコインやUSDTで自律取引が可能。2025年第3四半期リリース予定。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧