ステートストリートとコッパ―の提携終了
米金融大手State Street(ステートストリート)は、英国を拠点とする暗号資産(仮想通貨)カストディ会社Copper(コッパー)とのパートナーシップを終了したと述べた。コインデスクが17日に報じた。
ステートストリートとコッパーは、ライセンス契約を相互に終了し、今後は、デジタル資産に取り組む上で、それぞれに製品開発を行っていく。
なお、ステートストリートは今後も、トークン化された証券や、ネイティブトークンの様々なソリューションに取り組む計画だ。同社の広報担当者は、「デジタル資産に対する規制環境は進化を続けており、この資産クラスでサービスを提供するための要件も変化している」と述べた。
ステートストリートは、2021年に仮想通貨やブロックチェーンを取り扱うデジタル金融部門を設立しており、仮想通貨関連事業を本格的に開始。現在は、分散型台帳技術、仮想通貨、CBDC(中央銀行デジタル通貨)、ブロックチェーン、トークン化など多様な分野を取り扱っている。
例としては、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)をはじめとする仮想通貨の口座や、機関投資家向けの仮想通貨取引インフラ提供、カストディの開発などを行っているところだ。
カストディとは
投資家の代わりに資産を保有・管理することを指す。仮想通貨以外の資産にも広く使われる用語。資産の保管や売買に係る決済、また元利金・配当金の受領や議決権行使など、幅広い業務を代行するサービスを指す。カストディを行う企業を「カストディアン」と呼ぶ。
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コッパーの事業再編
コッパーは17日、事業戦略の変更に伴う事業再編を発表したところだ。人員削減を行い、今後はカストディ事業や、仮想通貨の取引所外取引と決済ネットワークを提供するサービス「Clear Loop」に注力するとしている。コッパーは、2022年末以降、こうした事業における取引量と顧客の数は大幅に増加していると述べた。
関係筋は、銀行やファンド向けのサービスを提供する部門が整理されると話した。コッパーは事業再編の理由について公式発表で次のように説明している。
当社は仮想通貨セクターにおける現在の厳しい状況、不透明な米国の規制環境、およびサービスを戦略的に展開していきたいことから、事業の効率化を進めているところだ。
コッパーのDmitry Tokarev CEOは機関投資家向けサービスに今後も力を入れていくとして、次のように述べている。
機関投資家のニーズを満たす、高品質なデジタル資産カストディおよびプライムサービスを提供することには、これまで以上に注力していく。現在の市場環境における今回の戦略見直しが、人員整理につながったことは遺憾だ。
銀行への注意喚起
コッパーは、「不透明な米国の規制環境」にも言及していた。米国では、政府機関が銀行が仮想通貨業界の預金を取り扱うに際しての注意を呼びかけているところだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)、米通貨監督庁(OCC)は2月、連名で仮想通貨が銀行にもたらす流動性リスクを指摘し、銀行は仮想通貨業界関連の預金を適切にリスク管理する必要があるとしている。
さらに、ニューヨーク州当局により事業閉鎖されたシグネチャー銀行について、連邦預金保険公社(FDIC)は現在、民間企業への完全売却を目指しているが、買収条件として「仮想通貨セクターの顧客との関係継続を禁止する要件」が付されていると伝えられたところだ。
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