SVBグループが破産申請
シリコンバレー銀行(SVB)の親会社、SVBファイナンシャル・グループは17日、ニューヨーク南部地区の連邦破産裁判所で、チャプターイレブンによる破産申請を行ったと発表した。今後は当局の監督下で事業再建手続きを行っていく予定だ。
SVBファイナンシャルグループは、その事業や資産に関して、売却などの選択肢を探っていくことになる。なお、事業のうち、SVBセキュリティーズとSVBキャピタルのファンドおよびジェネラルパートナー事業体は、SVBフィナンシャル・グループとは別法人であるため破産申請の対象外となり、通常業務を続けるとした。
同グループは、現在約2,900億円(約22億ドル)の流動性を有していると述べている。昨年末時点の総資産額は約28兆円(2,090億ドル)だった。今後数日中に、破産裁判の手続きに関する追加文書を提出するとしている。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
▶️仮想通貨用語集
SVBは、金利上昇により、保有していた国債と住宅ローン担保証券のポートフォリオが下落し、ゴールドマン・サックスに売却することになった。結果として、約2,400億円(18億ドル)の損失を出した形だ。
その後、これを補填するために普通株式と優先転換株式で約3,000億円(22億5,000万ドル)を調達しようとしたが、破綻を懸念した顧客の出金が殺到し、1日で約5.5兆円(420億ドル)の資金が流出。事業を閉鎖することになった。
公聴会を開催へ
下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長らは17日、SVBとシグネチャー銀行の破綻を受けて、規制当局による公聴会を3月29日に超党派で開催すると発表したところだ。
マクヘンリー委員長は、現在同委員会は、両銀行の破綻をめぐる真相究明に全力を挙げているとして、次のように説明した。
公聴会により、シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行がなぜ、どのように破綻したのかを理解していけるだろう。
私たち銀行委員会は、金融機関を監督する任務を重く受け止めている。預金者を保護し、米国の銀行の安全性と健全性を支え、金融システムを強化するために、破綻原因の解明が必要だ。
公聴会では、連邦預金保険公社(FDIC)のマーティン・グルーエンベルク委員長と連邦準備制度(FRB)のマイケル・バー監督担当副議長が証言する予定だ。バー氏は、シリコンバレー銀行に対するFRBの監督・規制に関する報告を行う見込みである。
仮想通貨めぐる議論
なお、元議員でシグネチャー銀行の取締役会に所属するバーニー・フランク氏は、シグネチャー銀行は充分な資産を有していたため事業を閉鎖する必要はなかったとしている。暗号資産(仮想通貨)が危険であるというメッセージを送るために、ニューヨーク州の当局が同行を事業停止としたと意見する形だ。
シグネチャー銀行は仮想通貨企業に米ドル預金を提供していたことで知られる。フランク氏の主張について仮想通貨を支持する立場のトム・エマー議員は、「もし事実ならシグネチャー銀行の閉鎖措置は不適切」と批判した。
また、エマー議員は、一部の議員による、仮想通貨の危険により同行が破綻したとする見方にも異議を唱えた。「仮想通貨のボラティリティ(価格変動の大きさ)よりも、金利上昇」が影響していたと述べている。
公聴会は、必要に応じて複数回開催される見込みだ。その中では、仮想通貨業界とのつながりをめぐる状況についても議論される可能性はありそうだ。
なお、ロイター通信は関係筋の情報として、FDICがシグネチャー銀行を買収する企業に対して「仮想通貨顧客とのビジネス関係の継続を禁止する要件」を課していると報じていたが、FDICはこれを否定。
そのような要件を課してはおらず、「銀行による特定の活動を禁止するつもりはない」との姿勢を改めて強調している。
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