仮想通貨取引所は閉鎖
米証券取引委員会(SEC)は29日、暗号資産(仮想通貨)取引所Beaxyや幹部を告訴したと発表した。
有価証券の取引サービスや仲介、清算を行う機関として登録せずに運営を行っていたことが告訴の理由。一部の関係者はSECの主張を認めることも否定することもせずに罰金の支払いなどに合意しており、Beaxyは取引所を閉鎖することをすでに発表している。
SECは他にも、未登録証券であるBeaxyトークン(BXY)で約10億円(800万ドル)の資金を調達したとして、Beaxyの創設者Artak Hamazaspyan氏と、Hamazaspyan氏が管理していた企業「Beaxy Digital」も告訴。また、Hamazaspyan氏がギャンブルなど個人的な用途で、少なくとも約1.1億円(90万ドル)を横領したとも指摘している。
Beaxyは2019年10月以降、Nicholas Murphy氏とRandolph Bay Abbott氏が運営する企業「Windy」が運営。Web基盤の取引プラットフォームとして、「有価証券に分類される複数の仮想通貨」の売買サービスを提供していたという。
SECは今回、Windyも証券法に違反したとして告訴。Murphy氏とAbbott氏は、未登録証券の提供と顧客資産の横領を理由にHamazaspyan氏に退職を促した後も、Windyを介してBeaxyの運営を続けていた。
他にもSECは訴状で、Beaxyトークンのマーケットメイキングを行う契約をWindyと結んだ人物や企業らも証券法に違反したと指摘している。
マーケットメイキングとは
常に市場で取引が円滑に行えるようにするために、資産を継続的に売買して流動性を提供すること。マーケットメイキングを行う企業は、日本語で「値付け業者」とも呼ばれる。
▶️仮想通貨用語集
SECの執行部門のGurbir S. Grewalディレクターは、取引と仲介、清算の事業を行う場合は、投資家保護のためにお互いをチェックし合う必要があるため、別々に事業登録しなくてはならないと説明した上で、以下のようにコメントした。
Beaxyのように、仮想通貨取引の仲介企業が1箇所で3つ全ての事業を行うと、投資家は重大なリスクにさらされる。
各事業の区別があいまいで、事業登録をしていなかったことは、Beaxyが投資家保護の規制に従っておらず、ルールを認識さえしてなかったことを意味している。
なお、罰金の支払いなどに応じたと記載されていないHamazaspyan氏とBeaxy Digitalについては、SECは訴訟を継続するとした。
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Beaxyの声明
Beaxyは、SECの発表の前日である28日付で、サービスを終了することを発表。サービス終了の理由は「事業に対する規制が不明確であること」だとした。
これまでBeaxyは2年超の間SECと連携しており、情報やデータを提供したり、質問に応じたりしてきたと説明。最善の努力をしてきたつもりだが、規制環境が不明確すぎるとし、事業を継続することはできないと判断したという。