- 「ALIS x マイクロソフト」舞台裏インタビュー(後編)
- 仮想通貨ALISとマイクロソフト協業開発に関するCoinPostインタビュー後編。今後計画しているサービス内容や新規上場の可能性など、ALISの未来予想図を語った。
「ALIS x マイクロソフト」舞台裏インタビュー(後編)
- ―「投げ銭」機能について、メディアの店舗決済はいつ頃で、どのようなステップがあるのでしょうか?
石井: まず検証として進めまして、すぐそれをサービスとして公開するわけではありませんが、技術的には可能です。
別の論点として、パブリックチェーンに乗せる、あるいは接続するという話があります。これはぜひ実施したいのですが、技術の発展が必須となるのでまだ数年先になるだろうと想定しています。
安:パブリックではなくプライベートで動かすような「投げ銭」は、なるべく早くビジネスに実装して、ALISで稼いだALISトークンを使っていきたいと考えています。
例えば、最近新たにALISにグルメトピックが追加されました。そこで紹介されたお店に行ってALISトークンを使うみたいな、そういった流れになります。
逆に、お店に「ALISトークンの割引サービス」の導入をお願いし、お店の紹介記事をALISで書き、それを「いいね」した人たちがALISトークンを持ってくるから、ビール割引になるみたいな形です。
そういうようなことが石井が言った通り、遠くない未来には可能だと思っています。ただパブリックと繋げるという話になってしまうと、かなりイーサリアム本体側とか、プラズマチェーンとかの技術発展を待たないとけないので、こちらで制御できず、時間がかかってしまいます。
そういったこともあり、今回PoA等プライベートネットで「投げ銭」を動かすみたいなところも含めてやっていきたいです。なので、ビジネス以外でもここはやっていきたいなと思っています。
なるべく早く、2ヶ月ぐらいと石井も言ってたので、検証を含めて、年内に出せればいいなと思ってます。最善を尽くします。
水澤:あとやはり、個人的には「東京オリンピック」の開催タイミングを、ALISとしては視野に入れています。普及は確実に起きるだろうと思っています。海外の流入もありますし。
仮想通貨全体の文化が少しでも広がるような、オリンピックで使われる前に、どこかで社会実験を入れたいなと思っています。例えば渋谷だけで実施したり、「投げ銭」文化を一日スポンサーをつけて一回遊んでみるみたいな。
世界から注目される絶好の機会を使わない手は無いので、まだ具体的には決まっていませんが、日々そのことを考えています。
石井:特に界隈の進化が早いので、未来が全くわからない。
安:進化が早すぎる。
水澤:常にワクワクする未来を準備しときながらですね。
石井:技術的な補足ですが、現状のイーサリアムのメインネットは先程お話した通り、スケーリング等の問題が山積みです。今後はメインネットのみで全てを担うのではなく、メインネットと連携したいわゆる「レイヤー2」の領域が多くを担うという方向性に進化してゆくだろうと考えています。
我々が構築するプライベートチェーンも、将来的に「レイヤー2」としての役割へシフトさせてゆければと、そう考えています。
- ―ALISトークンを誰かに贈ること可能でしょうか?
安:パブリックではできるのですが、今、払い出されたものはできないです。中で払い出されたものはプライベートチェーン上で動いているんですよ。
石井: これは私が独自にイーサリアムのPoAを構築したものです。パブリックチェーンで構築したトークンと全く同じ物がプライベートチェーンでも可動しています。業界に知見が無いに等しいので苦労しました。
これはこれで問題なく可動しているのですが、やはりマイクロソフトさんのように独自の知見や実績のあるベンダーさんが同様のソリューションを提供されるのであれば、堅牢性や運用・保守性、開発効率といった観点から利用を検討したいと感じます。
廣瀬: 幸い、今までAzureの方で作ってきたものだったり、様々なお客さんと海外で実際にブロックチェーンのプロジェクトをやってきたという実績はたくさんありますので、今回も提携で協業開発をするにあたって、実際の技術的な観点でノウハウはちゃんと溜まっています。
個人的には技術ノウハウをALISさんに共有できるということは、とても良い機会だと思っています。
- ―以前クローズドβ版に関して発表がありましたが、オープンβ版のリリースはいつ頃予定している?
安:オープンβ版は、今年中を目安に予定しています。
- ―御朱印、グルメとトピックが追加されましたが、今後のトピックの拡大は?
石井:基本的にはオープンβのローンチに合わせてカテゴリーを増やす予定ですね。
安:今回のトピックの追加は検証のための解放みたいな意味合いがあるのですが、そこらへんはブログでも書いていますが、検証するためのトピックをコミュニティから選んでもらった方が一番良いと考えています。
石井:成功を目指したトピックの選び方ではなくて、ある意味失敗したらそれはそれで検証として良いと考えています。
安:学びを得られればそれでいいかなと。極端の方法をとっているので。オープンβに合わせていろんなトピックを合わせるようにするのが今の方針です。
- ―実際トピック解放後、反響などは?
安:まさに以前みんなで話してて、すごく順調ですね。
特に「御朱印」のトピックなんていうのはかなり厳しいだろうなと考えていたのですが、検証のためなので記事も3件くらい上がったらいいかなと思っていたら、今とても多く記事が上がっていまして、社内で盛り上がりました。
石井:グルメと御朱印を解放した時に、もともと結構ブログの記事とか見ていると、そんなに積極的に活動するタイプではない方とかいらっしゃったのですが、ツイッター上でいろんな人にALISで記事を書きませんかという募集を入れてくれて。
御朱印業界の有名なブロガーさんとかからも、ALISのことよく書いてくれています。
安:でもやっぱりコミュニティと一緒に作っていくサービスですので、そこがまずマイナーなカテゴリー、まず御朱印って僕そんなの知らなくて、増えていくかなって思ってたら、国内のブログでまだオープンもしてないのに、今はもう80記事以上も書かれている。
結構な数じゃないですか。コミュニティ内でも結構盛り上がっていて御朱印手帳を作ってみんなで配ろうよとか、すごく盛り上がっています。
- ―仮想通貨にあまり興味ない人たちも色々記事を書けるようになったのでいいですよね。
安:特にグルメはそうですね。
石井:神社と提携して、ALISで徳を積もうとか。
(一同笑)
でも、文化に馴染んだエコシステムだと思います。もともと投げ銭っていう価値観はあり、そこでALISのようなトークンが入って来て、実際に僕もSuicaでお賽銭ができるなんて思ってなかったので、まさにそういったテクノロジーとの融合がすごく大事になっているのを感じます。
- ―日本の取引所で上場はお考えでしょうか?
安:そこはまさに今、国内上場基準、いわゆるホワイトリストの基準が当局が会話されているところなので、そこは我々も真摯に会話しながら対応をして、将来的には国内上場を目指しています。
しかし、不確定要素が多いので、現時点で確実なことは申し上げられないです。他のプロジェクトさんも同様だと思いますが。
- ―海外での上場はいかがでしょうか?
安:そうですね、まず国内で戦略を組んでいます。オープンβ版に向けて。
その後か同時かはわからないですが、海外を攻めて、海外のコミュニティが広がっていったら、海外の上場も考えますね。順番としては取引所はコミュニティ構築の後になります。
石井:そこがマイクロソフトさんもおっしゃっていただいたように、ALISならではの攻め方といいますか、実稼働するサービスを最重視しています。
サービスの実需、プロダクトの価値を生むことでコミュニティが広がり、取引所上場やトークン価格はそれに付随する、という考えで動いている点がこのプロジェクトの特徴かもしれません。
「新しい技術の社会実装を本気で目指していきたい」というのがALISチームの考えで、その点を支持していただけるコミュニティの皆様も多くいらっしゃると感じています。
- ―前回行ったALISイベント(ALISベータ版リリース記念イベント)は今後も行っていくのでしょうか?
安:もちろん節目においては、必要に応じてやる予定です。
またミートアップに関しては、ALISコミュニティが開催して、僕らを呼ぶみたいな形式に育ってきていて、今後そういった形でやろうかなとも考えています。ALISのイベントに関しては何かしらのリリースとかに含まれます。今回に関しては特にスタートリングにやる予定はないですが、実際に検証の結果とか見始めた段階で、やる予定ですね。
- ―マイクロソフトさんのイベントでの登壇予定は?
安:先ずは検証結果が出てきた段階で共同で公開する予定で、マイクロソフトさんの各種イベント等で登壇・紹介する方向で調整しております。
ALIS
■安 昌浩 FOUNDER / CEO
京都大学で核融合を専攻した後、2011年株式会社リクルートに入社。転職メディアの商品企画やHRTech領域の新規事業開発をはじめ、自然言語解析や機械学習領域の事業開発を担当する。2016年、同社の企画部門の最高賞を受賞。
2017年9月ブロックチェーンを用いたALISを立ち上げるため国内初の規模でICOを実施し、4.3億円を調達する。ALISで信頼できる記事と人々にいち早くアクセスできる世界の実現を目指す。
■水澤 貴 CO-FOUNDER / CMO立命館大学在学中にスタートアップ企業を立ち上げた後、ベネッセコーポレーションに入社。わずか1年目にして全社マーケティング部門MVPを受賞。 その後、リクルートキャリアへ転職。 MOOCやリファラル採用ツールの事業開発に従事する中で、コミュニティ共創型のプロセス開発に没頭。
マーケティングの重要な役割を「価値の創造源」に位置づけ、一人ひとりの持ち味が発揮されやすいエコシステムの実現を目指す。
■石井 壮太 CO-FOUNDER / CTO
ALISファウンダー CTO。業界歴13年超のエンジニア。新技術や未経験の業務を好み、役割や技術を問わず意識的にゼネラリストを指向。
暗号通貨、ブロックチェーンの技術動向は2013年より追っておりWEBの「次」を作る中核技術であると確信している。 その流れを推し進めることに強い関心があり、安・水澤と共にALISをスタートした。
日本マイクロソフト
■廣瀬 一海 (デプロイ王子)
クラウド&ソリューション事業本部 インテリジェントクラウド統括本部 テクノロジーソリューションプロフェッショナル 愛称「デプロイ王子」/ 元 Microsoft Azure MVP。現在はお客様に Microsoft Azure に関する技術支援を行う。日々の活動の傍ら、登壇、執筆活動も行う。
■矢ヶ部 大海
マーケティング&オペレーションズ部門 クラウド事業開発本部 ビジネスデベロップメントマネージャー
スタートアップ企業に対する事業開発を担当。デジタルサービスを提供する企業と Microsoft Azure の技術を活用した新たな事業・サービス開発に取り組む。
■石井 和典
マーケティング&オペレーションズ部門 コーポレートコミュニケーション本部 シニアコミュニケーションマネージャー
日本マイクロソフトのコーポレートコミュニケーション担当として様々なプロダクトリリースから協業や事例発表などの情報発信戦略を担う。