はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

世界最大の会計事務所Deloitteが分析する、ブロックチェーンが普及するまでの5つの課題

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

デロイトが、ブロックチェーン普及までの課題を分析
世界最大のプロフェッショナルサービスネットワークを持つデロイトが、ブロックチェーン技術のおかれた状況に関する貴重な分析を発表。 進展と普及の障害になっている五つの課題を挙げた。

五つの課題を乗り越えることで、ブロックチェーンは進展し、普及していく

金融はもとより、医療、保険、司法、貿易などの多くの分野で、効率化を促進し、新しいビジネスモデルを創設することで、業界全般を変革する可能性を持った画期的技術として、ブロックチェーン技術は、世界中で注目され、大きな期待が寄せられている。

しかし、現状を見ると、その期待とは裏腹に、商業的な導入はまだまだ限定的であるようだ。

世界四大会計事務所の一つであり、世界最大のプロフェッショナルサービスネットワークを持つデロイト(Deloitte) は、そのようなブロックチェーン技術のおかれた状況を分析し、進展と普及の障害になっている次の五つの課題を挙げた。

  • 1.トランザクション速度
  • 2.相互運用性
  • 3.ブロックチェーン構築の複雑さと高いコスト
  • 4.規制環境
  • 5. コンソーシアムによる連携ネットワークの形成

しかし、それぞれの課題に対して、真摯な取り組みが進んでおり、技術の進歩・成熟とともに、ブロックチェーン技術が主流になる日が近づくと述べ、先月末に発表されたレポートの中で、現在進行中の具体的な例をあげて解説した。

1.トランザクション速度

ブロックチェーンを利用したトランザクションは、従来のシステムよりも遅いことが指摘されている。

 一般的に、1秒間に数万トランザクションを処理できる従来のシステムとは対照的に、ビットコインブロックチェーンの場合は、1秒あたり3~7トランザクションであり、イーサリウムブロックチェーンは1秒あたり15トランザクションと言われている。

そのため、現時点では、ブロックチェーン技術はスケールの大きいプロジェクトには適さないと考えられる傾向にあるが、デロイトのアナリストによると、そのギャップを埋めるプログラムの開発が行われており、改良または新しい検証方式(コンセンサスメカニズム)を取り入れることでトランザクションの効率を上げることができると述べている。 

例えば、Hyperledger、 Stella、 Rippleはそれぞれ独自のコンセンサスアルゴリズムを構築することで、トランザクションの加速化をはかり、イーサリウムの場合は、PoWとPoSのハイブリッド形式や、トランザクションを並列化するシャーディング(1秒あたり2000トランザクション達成との報告も)の提案がなされている。

さらに、proof of burn、proof of capacity、proof of elapsed timeといった新しい検証方式を探求しているブロックチェーン開発者も存在するため、トランザクション速度の問題は、徐々に解決に向かっていくだろうと、デロイトのアナリストは見ているようだ。

2.相互運用性

デロイトの調査によると、現在のところ、ソフトウェア開発プラットフォームのGitHubには、異なるプロトコルや検証方式を持つ6500もの開発中のブロックチェーンプロジェクトが存在しているようだ。 

このような異なるブロックチェーン同士で交信できる標準となるのが、相互運用性となるが、企業がアプリケーション開発に協力し、ブロックチェーンソリューションを共有するだけでなく、既存のシステムとの統合を容易にするためには、欠かせない要素と考えられている。

異なるブロックチェーンをまたいだトランザクションや相互運用性、及び標準化に取り組む参加者が増えているため、この課題を克服できるとの期待が高まっていると、デロイトは述べている。

その例として、異なる分散元帳ネットワーク間の支払いを可能にするように設計されたコンピュータプロトコルであるInterledgerや、ビジネスのための標準化されたイーサリウムブロックチェーンソフトを開発するために、結成されたEnterprise Ethereum Allianceなどを挙げている。

3. ブロックチェーン構築の複雑さと高いコスト

ブロックチェーンソリューションの構築と展開に伴うコストと複雑さは、この技術が導入されるにあたり大きな障害となっている。

 しかし、Amazon、IBM、Microsoftをはじめとする大手企業がサービスとしてのクラウドベースのブロックチェーン技術を提供することで、この課題に対処し始めている。

 これは、新たなクラウドベースの製品が次々に市場に参入していることで、ブロックチェーンネットワークの開発や運用の障壁は、緩和されていくと思われる。

クラウドサービスのプロバイダーは、ブロックチェーンの基本インフラ設定を自動化するためのブロックチェーンテンプレートを公開しており、アプリケーションの開発が数か月から数か月に短縮できる可能性があると述べた。

例えば、Googleは、Googleクラウド上でブロックチェーン構築ツールに簡単にアクセスできるように、スタートアップのDigital Assetと提携したと発表している。

また、Hyperledgerのオープンソースプラットフォーム「Sawtooth」は、開発者がコアシステムの知識を必要とせずに、開発者が選んだプログラム言語でブロックチェーンアプリケーションを構築できるようにしていると、デロイトのレポートは指摘している。

より使いやすいブロックチェーンのツール及びプラットフォームは、明らかに新しいトレンドとなりつつあり、時間とともに、ブロックチェーン技術の普及につながると思われる。

4. 規制環境

規制環境の整備は、ブロックチェーン技術普及のための大きな課題だが、この面でも進展はあるようだ。

 

既存の規制の枠にスマートコントラクトをどのように適応させられるのかなど、新しいブロックチェーン技術と規制の間には不透明な領域があるため、規制当局との連携は欠かせない。 

デロイトは、アメリカの17の州議会が、すでにブロックチェーン採用に関連した法案の審議を行ったり、合意に至っていると指摘している。 

これらの法案の中には、暗号署名の認定、スマートコントラクトの定義と使用、また業務記録を維持するためのブロックチェーンの使用などの分野が含まれている。

ブロックチェーン普及のためには、規制の面での課題は膨大ですが、デロイトは規制整備に向けての「勢いは増してきている」と述べている。

5. コンソーシアムによる連携ネットワークの形成

ブロックチェーンコンソーシアムは、ブロックチェーン技術における共通の目的を推進させることを目的とした、協力し合う企業や団体の集まりで、コンソーシアムによって、その目的が、教育や、研究、メンバーへの助言とそれぞれだ。

 その数は、世界の12の業界で、61ものコンソーシアムがあると言われている。

 

コンソーシアムの例としては、R3、RiskBlock Alliance、 Enterprise Ethereum Alliance やHyperledgerなどがある。

中でも金融関連企業のメンバーで構成されているR3は、2015年に42の会員企業から、2018年には200を超える会員数へと大きく成長している。

このような連携ネットワークの拡大は、ブロックチェーン技術の普及を後押しする力となるだろう。

ブロックチェーン技術の進展と普及には、以上のような五つの課題に沿った不断の努力が不可欠であり、一朝一夕に変革が起こるわけではないが、それぞれの分野で日々前進を続けることで、ブロックチェーン技術が主流となる日に近づいていることは間違いないと、デロイトは結んでいる。

Shutterstock.com

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/26 水曜日
16:30
MEXC、毎月の準備金監査を導入 Hackenを独立監査人に任命
暗号資産取引所MEXCがブロックチェーンセキュリティ企業Hackenを独立監査人に任命し、毎月の準備金監査を導入。初回報告は11月末に公開予定。マークルツリー方式による検証の仕組みも解説。
15:35
ロビンフッド、予測市場向けデリバティブ取引所を新設 2026年運営開始
ロビンフッドがサスケハナと提携し、CFTC認可の先物取引所を買収。予測市場事業を強化し、2026年の独自取引所運営を目指す。市場規模は2035年までに955億ドルに達する見込み。
14:50
日本の暗号資産規制、具体的な方向性は?──金融審議会WG
金融審議会WGが暗号資産規制の報告書案を取りまとめ。資金決済法から金商法へ移管し、インサイダー取引規制や課徴金制度を新設する。銀行子会社の参入も解禁。座長は「お墨付きを与えるものではない」と強調した。
14:12
仮想通貨企業のベンチャー投資、価格上昇でも活動は低調=レポート
仮想通貨金融大手ギャラクシーデジタルは、2025年第3四半期(Q3)の仮想通貨ベンチャーキャピタル(の現状について、市場心理は改善し活動も増加しているものの、以前の強気相場の水準には大きく及ばないと指摘した。
13:35
F・テンプルトン、ソラナETFの最終上場手続きを完了 まもなく取引開始へ
運用資産255兆円を誇るフランクリン・テンプルトンがソラナETFのForm 8-Aを提出。取引開始が目前に迫る中、既存のソラナETFは20日連続で純流入を記録し、累計858億円の資金が流入している。
13:10
米CFTC、民間企業CEOにイノベーション評議会への参加を呼びかけ 仮想通貨にも対処 
米CFTCのファム代理委員長が「CEOイノベーション・カウンシル」参加者の候補者推薦を呼びかけた。仮想通貨や予測市場の規制策定に向け、業界リーダーを募集している。
11:15
VanEck、BNB現物ETFのステーキング計画を撤回 方針転換に
VanEckが米SECに提出したBNB現物ETFの修正届出書で、当初予定していたステーキング機能を撤回。BNBの有価証券分類をめぐる規制リスクが背景にあるとみられる。
11:05
米上場のリライアンス社、デジタル資産トレジャリーをジーキャッシュ(ZEC)に一本化
ナスダック上場のリライアンス・グローバル・グループがデジタル資産トレジャリーを仮想通貨ジーキャッシュ(ZEC)に統合した。プライバシー機能を持つ仮想通貨への需要が高まる中、サイファーパンク・テクノロジーズも追加購入を発表している。
10:25
予測市場ポリマーケット、CFTC承認受け米国市場に正式復帰
予測市場大手ポリマーケットが米CFTCの承認を受け、3年ぶりに米国市場に正式復帰。2022年の罰金処分後、QCX買収とICEからの投資を経て、完全規制下での事業再開へ。
10:10
スタンダードチャータード銀行、21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定
スタンダードチャータード銀行が21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定された。機関投資家の需要に対応し安全な保管サービスを提供。様々な仮想通貨企業とも提携を進めている。
10:05
「仮想通貨交換業者の販売所誘導に懸念の声」金融庁の作業部会
金融庁は、仮想通貨制度に関する作業部会の報告書案を公開。報告書案には、仮想通貨交換業者の販売所誘導に対する懸念が指摘されているとも記載されている。
07:35
仮想通貨支持派のホワイトハウス経済顧問ハセット氏、次期FRB議長の最有力候補に浮上
ホワイトハウス国家経済会議のケビン・ハセット委員長が次期FRB議長の最有力候補として浮上。トランプ大統領の信頼が厚く金利引き下げ方針に賛同する人物で、デジタル資産市場作業部会で中心的役割を果たしコインベース株も保有。
06:58
米銀大手USバンコープ、ステラで独自ステーブルコインをテスト
米国第5位の銀行USバンコープがステラブロックチェーン上で独自のステーブルコインをテストしている。資産凍結機能などのセキュリティを評価し、バンク・オブ・アメリカやシティに続いてデジタル資産への取り組みを拡大。
06:40
メタプラネット、ビットコイン担保に約200億円を借入れ
メタプラネットは、約203億円の借入れを行ったことを発表。調達した資金は、ビットコインの追加取得やビットコインインカム事業、市場環境に応じては自己株式の取得に充当する予定だと説明した。
06:30
ビットワイズのドージコインETFも承認、水曜日にも取引開始見込み
ニューヨーク証券取引所がビットワイズのドージコインETFの上場を承認した。水曜日にも取引が開始される見込みで、グレースケールとREX-オスプレイに続く3番目のドージコインETFとなる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧