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「証拠不十分で仮想通貨企業を提訴した疑い」米連邦判事、SECに理由開示命令を下す

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

SECの弁護士に説明を求める

米連邦地方裁判所ユタ地区のロバート・シェルビー判事は11月30日、暗号資産(仮想通貨)企業の資産凍結について、「誤解を招く」証拠を提示して裁判所を説得した可能性があるとして、米証券取引委員会(SEC)に対し、その理由を説明するよう命じた。

今年7月に提起されたこの訴訟でSECは、Digital Licensing Inc. (通称DEBT Box)が「ノードライセンス」と称する未登録証券を販売し、数千人の投資家から4,900万ドル(約72億円)超を詐取したと主張。同社に対し、暫定的差し止め命令(TRO)の発動を求める申請書を提出した。

ユタ地方裁判所は、SECに対する審問後、DEBT Boxの資産を凍結するTROを発したが、9月に被告側がTRO取り消しの申し立てを提出。この申立てに対する審理で、SECがTROが発行されないことで「取り返しのつかない損害が生じる」事実を示さなかったため、裁判所は「TROは不注意に発行された」と結論づけ、TROを取り消した。

この審理中、TRO申請を裏付けるためにSECが行なった表明の中には、「虚偽または誤解を招く」ものがあったと裁判所は指摘。後日、SECに説明を求める可能性があると述べていた。

SECの主張

理由開示命令の記載によると、SECはTROの根拠として、被告が資産と投資家の資金を海外に移転しようとしていると主張。その証拠として、銀行取引明細書と口座閉鎖を挙げていた。また、SECのマイケル・ウェルシュ弁護士は法廷で、以下のように証言した。

休憩中に審査スタッフから、現在進行中の捜査について説明を受けた。この48時間の間にも、被告は追加の銀行口座を閉鎖しており、確かな数字は手元にはないが、およそ33の銀行口座が閉鎖された。

裁判所は、この証言から、被告が48時間以内に33の銀行口座を閉鎖したことを意味すると解釈。

さらに、被告がSECの調査スタッフにソーシャルメディアサイトを閲覧不能にしたとのSECの主張と相まって、「TROと資産凍結が発効されない限り、直ちに回復不可能な損害が生じる」最も重要な証拠であると 裁判所は判断したという。

被告の反論と証拠

一方、被告側は9月のTRO取り消し申し立てで、SECは裁判所を誤解させたと主張した。

ウェルシュ弁護士が証言した7月には口座閉鎖は行われておらず、23年1月までに閉鎖された 13のDEBT Boxの口座を示す文書を提供。「48時間以内に33口座の閉鎖」は根拠がないと論破した。また、口座は被告ではなく、銀行によって閉鎖されていた。

シェルビー判事の文書によると、SECもこの事実を「暗黙のうちに認めた」という。

DEBT Boxに対するTROは10月に取り消された。

裁判所の懸念

理由開示命令で裁判所は以下のような議論を提示している。

  • SECが重大な虚偽及び誤解を招くような表明を行なったことは、民事訴訟規則第11条に違反している
  • この表明は、連邦政府機関によってなされたものである
  • TROは緊急的な措置で、管財人に被告が保有する全口座と資産を凍結するなど、重大な権限を与えるもの。
  • 裁判所は、このような特別な権限を考慮し、TRO取得の経緯に対しては細かく注意を払っている

以上の理由から、裁判所は「裁判所がSECに制裁を課すべきではない理由を示すよう」、SECに命じた。

SECは、2週間以内に回答を提示するよう求められている。

関連:「SECの仮想通貨企業取り締まり資金の使用を禁止」米下院が業界保護法案を可決

関連:米政府監視機関GAO「SEC仮想通貨会計公報は議会審査対象」SECの越権行為に釘を刺すか

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