IoTでの利用を前提とするIOTA
本記事では、仮想通貨IOTA(アイオタ)を解説します。
- IoTのための仮想通貨
- IoTで問題視されているセキュリティ面やコスト面を解決する可能性に注目が集まる
- ブロックチェーンを使わない仮想通貨
- Tangle(タングル)という新たな分散型台帳を使用
- 取引手数料が無料
- Tangleでの取引は手数料が無料で行われ、スピーディーな処理を実現
通貨コード | MIOTA |
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取引開始日 | 2016年7月11日 |
承認アルゴリズム | Proof of Work |
発行上限 | 2800兆枚(100万枚で1単位で取引) |
公式サイト | http://www.iota.org/ |
White paper | White paperはこちらから |
IOTA(アイオタ)の概要
IOTAは、IoT(モノのインターネット)に導入することを目的に開発された仮想通貨です。
そのため、この通貨について解説する前に、そもそもIoTとは何かをお伝えします。
IoTとは?
IoTとはInternet of Thingsの略で「モノのインターネット」などと呼ばれています。
これはパソコンやスマホだけではなく、あらゆるモノをインターネットに繋げることで生活を便利にするという意味で、革新的な技術と言われています。
現在、防犯カメラや一部の家電などで実用化が進んでいます。
しかしその一方で、セキュリティ面やコスト面で技術的に困難な部分がある、という懸念の声もあがっています。
- ・セキュリティ面での不安
- あらゆるモノがインターネットに繋がるということはそれだけハッキングのリスクが増える
- ・コスト面での不安
- IoTデバイス間でデータをやり取りするため、通信コストがかかってしまう
この二つの問題を解決する可能性があると期待されているのが、IOTAの独自技術「Tangle(タングル)」です。
IOTAの独自技術Tangle(タングル)とは?
Tangle(タングル)は、IoTデバイス間のデータ通信や記録を最適化するために開発された技術です。
Tangleを介して通信すれば、IoTデバイス間の小さなデータの取引(マイクロトランザクション)にかかる小さな額の取引(マイクロペイメント)の手数料を無料にし、コスト面の問題を解決します。
また、一つの取引(データ間のやりとり)を行う際にPoW(プルーフ・オブ・ワーク)という方法で承認し、不正や改ざんが無いか確認することでセキュリティ面の問題も解決します。
この二つの問題を解決することで、IoTデバイス間のネットワークが最適化されるのです。
Tangleの仕組み
Tangleの仕組み簡単に言うと、IoTに特化したブロックチェーンのようなものです。ただし、ブロックチェーンとは違いブロックという概念が無く、一つ一つのトランザクションを承認しメッシュ状に分散させて記録します。
このようにメッシュ状に繋がっていトランザクションを処理しているので、取引が多いほど処理のスピードが高速化され、より多くのトランザクションを処理できます。
また、ブロックが存在しないのでスケーラビリティの問題は起きません。つまり、ブロックチェーンより多くのトランザクションを高速に、より多く処理できるのがTangleなのです。
なぜ取引手数料が無料に?
仮想通貨のマイニングが存在しないので、マイナーへ報酬を支払わなくていいためです。
たとえば、ビットコインではブロックに記載されるデータの検証・承認を行うために莫大な計算力が必要です。その計算力を提供するマイナーに、労力の対価としてマイナー報酬とは別に、取引手数料が支払われています。
しかしTangleネットワークのトランザクションの承認は、計算能力の低いIoTデバイスで行うことができます。そのため、莫大な計算力を提供してくれる採掘者グループは必要なくなり、取引手数料はいらなくなりました。
これにより支払うコストはデータのやり取り分のみになり、煩わしい手数料を払わなくて済むのです。例えばレンタカーなら「走ったぶんだけ」コストを払うのと同じ仕組みです。小さなデータのやり取りを頻繁に行うIoTでは、この仕組みの実現は、非常に重要で革新的であるといえます。
Tangleのセキュリティは大丈夫?
IoTの発展の最大の問題点はIoTデバイス間のネットワークのセキュリティにありました。今までは、デバイス間でのデータの整合性やネットワーク上でのデータ改ざんを防ぐことが技術的にできなかったのです。
そこでTangleは、トランザクション承認の際にマイナー同士の合意形成(コンセンサス)アルゴリズムとしてPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用しています。これは暗号計算によって、そのデータに不正や改ざんが無いか確認するというものです。
Tangleは「新たなトランザクションが到着すると、二つ前のトランザクションを承認しなければならない」という原則に従って構築されているので、一つ取引をするごとに二つ前の取引が承認されます。
ひとつ前の取引を改ざんできたとしても、そのさらに一つ前(現在承認しなければならないトランザクションの二つ前のもの)も改ざんしようとすると、計算に非常に時間がかかってしまいます。
言い換えるならば、不正や改ざんが追いつかないよう、高速でトランザクションの検証と承認がされるのです。そのため、ネットワーク参加者はルールに逆らって悪事を働くよりも、ルールに従う方を選んだ方がメリットが大きいのです。
このような仕組みのおかげで、IoTデバイス間でのデータの整合性が取れたり、不正や改ざんが行われない安心したネットワークが構築できたりするのです。
IOTA(アイオタ)の今後
現在、スマート家電やドアにつけるスマートロックなど、様々なIoTサービスが普及しつつあります。まだ発展途上の技術ですが、すでに多くの企業がしのぎを削っています。
IoTサービスが一般人に普及するにつれ、IOTAの独自技術「Tangle」と仮想通貨IOTAにも自然と注目が集まっていく可能性があります。