CoinPostで今最も読まれています

ブロックチェーンは不換紙幣になれるのか?銀行が仮想通貨に期待を寄せる理由

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

銀行がブロックチェーン技術で電子通貨を発行
USCという担保付き電子通貨を使用し、中央銀行を介さずに銀行間決済の効率化を目指す
新しい不換通貨として発行される可能性
中央銀行の預金を裏付けに発行される電子通貨は新しい不換通貨となりうる

まもなく中央銀行は技術的大躍進を迎えることになるでしょう — しかしそれはUtility Settlement Coin(以下USC)に参加する新しいメンバーに大きく左右されます。

もともと金融機関が中央銀行に持つ預金を裏付けに、担保付きの仮想トークン発行さえ銀行同士が直接取引をすることを可能にするように設計されていました。その成果はさらに大きなものになるかもしれません。

これらのトークンに付属している担保は中央銀行に所有されるため、USCのプロジェクトは不換紙幣の概念を大きく変えると期待されています。

しかしながら、この躍進は双方のリスク軽減や迅速な取引の実現をはるかに超えると合併企業の一部のメンバーは言います。もし資産と通貨の両方がブロックチェーンで発行されるようになれば、完全に新しい金融商品が生まれる、と彼らは話します。

バークレイズ投資銀行のLee Braine氏はCoinDeskに、

主要な不換通貨および最新の担保付き電子通貨に着目すると、USCのプロジェクトは分散型台帳技術上に全く新しい資産保証付き電子通貨を作り出す可能性があります。

と述べました。

彼の意見にBanco Santander社ブロックチェーン調査・開発代表であるJulio Faura氏も賛同しました。

Faura氏は、分散型台帳技術を暗号化や契約自動発行化に使用することを強調しつつ、USCプロジェクトの利点を違う観点から着目しています。彼はCoinDeskのインタビューで、『金融機関に世界的な流動取引をさせるために、中央銀行の不換通貨の代わりとなるものを発行することはとても影響力のある概念であります。』と述べます。

リスク削減

また、クレディスイス(分散型台帳・ブロックチェーンプログラム代表)のEmmanuel Aidoo氏もまた、中央銀行がブロックチェーン内で不換通貨を発行するという概念に強く賛同し、それは取引後のプロセス簡素化以上の役割を果たすと言います。

彼は、クレディスイスが参入することを決める前、USCを18か月間注視し続けました。実にUSCプロジェクトが莫大な経済的規模で影響を与えると確信があり、後にこれはクレディスイスがUSCに参入する動機にもなったのです。

彼はCoinDeskに、

USCの活用は支払いだけではなく、最終的には利益や担保義務の効率化やシステムのリスク削減にも役立つでしょう。

と話しました。

世界中の中央銀行はすでにブロックチェーン技術の広い範囲での活用方法を模索中であります。

そのような大規模な期待は、契約相手の間に生じるリスクを抑える能力にあります。ここで一例をあげましょう。現在、Delivery Versus Payment(DVP)決済という取引方法には相当なリスクが存在します。この決済方法は有価証券ができるだけ支払い取引時に近い瞬間にバリューチェーンを下っていくように設計されており、これにより突然の価格変動による損失を最小限に抑える狙いです。

新しいUSC一員であり、State Street銀行デジタル・プロジェクト・マネージャーのSwen Werner氏は、『金融の決済を保証することの裏には厳重な証券資金同時受渡過程があり、それは業界にとっても新しい分散型台帳技術の成功にとっても大事な存在になります。』と述べます。

似たように、HSBC/フィンテックパートナーシップ・ストラテジー代表のKaushalya Somasundaram氏はスタートアップ企業のClearmaticsの支援を受けて開発されたこの解決策はリスクを伴う取引の回数を低減させるといいます。

『中央銀行の担保と電子通貨を繋げさせ、電子通貨の転送を可能にすることは実はより効率的で、さらには現金の互換は全ての取引の各行程で複数回ではなく一度ずつ起こるように保証されます。』

相互運用の可能性

現在、USCのプラットフォームはトークンの価値が中央銀行のUSCプロジェクトメンバーによって保有される担保から発生するように設計中でありますが、プラットフォームの使用自体は中央銀行の採用に左右されません。

しかしどの分散型台帳技術にも言えることですが、この解決策は採用数が多くなければ影響力はそれほどに持たないのです。ブロックチェーン型と中央集権型資産間の取引のリスクは増え、結果として潜在的採用数を減らすことになる、とUBSの戦略的投資・フィンテックイノベーション部代表のHyder Jaffrey氏はいいます。

この弱点を克服するために、Jaffrey氏はブロックチェーン上で発行される不換通貨はきわめて重要だという思いを胸にUSCの一員となりました。より多くの人がこのプロジェクトを採用するために、複数のメンバーはUSCのメンバーシップを中央銀行と直接従事するために使用していると話します。

『台帳技術の利点を理解するためには、同じ時期の中央銀行通貨をよく知る必要がある』と彼は話しますが、最後に

それを私たちがみるにはおそらくある程度の時間を要するでしょう。

と述べました。

ブロックチェーンは不換紙幣になれるのか?銀行が仮想通貨に期待を寄せる理由

Sep 6, 2017 at 11:00 UTC by Michael del Castillo

参考記事はこちらから

CoinPostによる考察

ブロックチェーン技術によってあらゆるものがトークン化されるようになり、経済は変化を遂げていきます。同様に金融機関でもブロックチェーン技術を利用し馴染みのあるものになっていくでしょう。

このUSCプロジェクトは中央銀行の預金を裏付けられたUSC(担保付きの電子通貨)を発行し、従来のように中央銀行を介して銀行間の決済を行う必要がなくなり、取引決済システムの簡素化や決済の際に起こる価格変動に付随するリスクを無くすなどの目的を持つUSCプロジェクトはブロックチェーン技術の可能性を広げるでしょう。

銀行ブロックチェーン時代の到来?バークレイズ、HSBC『Settlement Coin』に参入
複数の世界大手銀行は中央銀行がブロックチェーンを利用した通貨を発行するためのプロジェクトを発表しました。これは中央銀行を経由しない銀行間決済を可能にするものです。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
10/09 水曜日
15:00
HBOのサトシ・ナカモト推測に批判の声 証拠・調査不足を指摘
ビットコイン発明者サトシ・ナカモトの正体に迫るドキュメンタリーが公開。ある人物をサトシだと推定したが、本人は否定している。
12:59
ブラックロック「仮想通貨の普及速度はインターネットや携帯電話を凌駕している」
ブラックロックのテーマ別投資幹部が仮想通貨の普及は過去の主要技術より迅速に進んでいると指摘。経済のデジタル化、公的機関への不信、人口動態の変化、インフラの成熟を要因として挙げた。
12:15
Crypto.com、米SECを提訴 ルール策定が非合法だと批判
仮想通貨取引所Crypto.comがSECを提訴した。トークンの証券性判断における恣意性と越権行為を批判し、明確なルール策定を要求している。
10:55
金融庁、アンホステッド・ウォレット向けサービス事業者を暗号資産交換業から除外
金融庁がアンホステッド・ウォレット関連サービスを暗号資産交換業から除外した。グレーゾーン解消制度の初適用事例としても注目される。
10:00
Sui創設者が語る、ゲーム機開発や今後の目標
仮想通貨・ブロックチェーンSuiのCEOに独自取材を実施。DeFiやNFTのエコシステムの状況、ポータブルゲーム機SuiPlay0x1の開発、今後の目標などについて質問した。
09:32
XRP現物ETF、米SECにCanary Capitalが申請
豪仮想通貨投資企業Canary Capitalは、XRP現物ETFの申請書を米SECに提出。投資家の間で、ビットコインとイーサリアム以外の銘柄への需要が高まっているようだ。
09:30
SCB銀、BTC・ETH・SOLの相場を分析
SCB銀のアナリストは、米大統領選でトランプ氏勝利の場合、仮想通貨ソラナの価格が2025年末までに5倍の水準に上昇する可能性があるとの見方を示した。ビットコインとイーサリアムについても分析している。
10/08 火曜日
19:40
金価格と連動する仮想通貨ジパングコイン 買い方からレンディングまで解説
金価格と連動する仮想通貨ジパングコイン(ZPG)の特徴と魅力を解説。購入方法からSBI VCトレードでのレンディングまで詳しく紹介。安定性と高利回りを兼ね備えた新しい金投資の形を探ります。
16:00
ビットコインETF、2億3500万ドルの資金流入 フィデリティがけん引
米国のビットコインETF(上場投資信託)市場は7日、12種類全体で2億3500万ドル(348億円)の純流入を記録。2営業日連続の流入超過となった。大半はフィデリティが運用するF…
14:00
仮想通貨スイ(SUI)2ドル超え最高値に迫る 価格上昇の材料は
仮想通貨Sui(スイ)が急成長している。価格2ドル超えで最高値に迫り、日次取引数がソラナを上回った。DeFiのTVLではトップ7にランクインする躍進ぶりだ。
13:10
サトシ・ナカモト候補者の愛猫ミームコイン誕生 ビットコイン発明者の正体に注目集まる
HBOドキュメンタリーの公開を前に、サトシ・ナカモト候補であるレン・ササマン氏の愛猫をモチーフにしたミームコインが登場した。
11:05
ソラナプロジェクトへの投資需要が堅調推移、3Q(7ー9月)に250億円以上調達
仮想通貨ソラナエコシステムへの投資が2024年第3四半期に急増し、250億円以上を調達。FTX崩壊後の回復を示し、大型プロジェクトもソラナに移行中。
10:45
バイナンス、仮想通貨ウォレット凍結に慎重姿勢
仮想通貨取引所バイナンスは、対象のパレスチナ人のウォレットを凍結して欲しいというイスラエル軍の要請に対し、86%を凍結しなかったことがわかった。金融調査部門のトップが事情を説明している。
09:35
中国株大幅上昇、仮想通貨からの資金移動加速か 政府の景気刺激策受け=報道
中国政府の景気刺激策を受け、一部の中国人投資家が仮想通貨から株式市場へ資金を移動している可能性。USDTの取引価格にディスカウントの傾向が見られる。
08:25
FTX返済計画承認、米裁判所が約2年越しの破産手続きに終止符
米裁判所が仮想通貨取引所FTXの破産計画を承認し、総額約2.3兆円が顧客に返還される見込み。裁判の詳細や今後の支払いスケジュールを解説。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア