- 仮想通貨分析企業
- 9月以降、仮想通貨ビットコインは価格が比較的安定しており、そのボラティリティも以前ほど高くはない。そんな中、仮想通貨BAT、ZRX、MKRのようなERC-20トークンの例から、強気相場は既に始まっているという見解を仮想通貨分析会社Santimentが示した。
上昇相場の到来
ビットコインは、9月初頭にゴールドマンサックスの取引デスク計画一時中止の報道で暴落して以降、現在に至るまでボラティリティが比較的低くなっており、安定した価格帯で推移していることは、最近複数メディアで報じられている通りだ。
そして歴史的に見て、そのような保ち合いを形成する相場の後には、どちらかの方向へ大きな動きがある事例が多くあるが、BinanceのCEOであるCZ氏など、仮想通貨業界にいる重鎮の多くは、年末にかけて価格が上昇する場合が多かったことを理由に、相場に関する懸念感は示していない。
そのような中で、仮想通貨分析会社Santimentは”既に仮想通貨市場が強気相場に突入している”ことを示唆する報告書を公開した。
彼らは、ビットコインやイーサリアムの価格が単調で安定してきていることを指摘する一方で、Basic Attention Token(BAT)、0x(ZRX)、Maker(MKR)を始めとするイーサリアムブロックチェーン上のトークンが、コインベースの上場など、特定のファンダメンタルズ要因によって大きな価格上昇した通貨がある点の重要性を主張した。
その価格上昇が強気相場の到来を示唆している理由として挙げたのは、母体のイーサリアムとの価格相関性の低下、オンチェーンでの取引数の増加、SNSでの話題の増加を挙げた。
イーサリアムとの価格相関性の低下
上記に挙げた仮想通貨BAT、ZRX、MKRといったイーサリアムブロックチェーン基盤のERC-20トークンは、ほとんどの場合、その母体となる仮想通貨イーサリアム(ETH)の価格推移に高い相関性を示していた。
これはイーサリアムだけでなく、最も時価総額の高いビットコインにも多くの通貨が高い連動性を示しているが、特に投資家が離れる時期に当たる停滞相場、また弱気相場にはその動きが顕著にでる傾向がある。
同報告書では、下記の図を見ると分かる通り、10月初旬以降、仮想通貨BATの価格がETHの価格から大幅に乖離を指摘、BATだけでなく、先ほど挙げたZRXやMKRも同様に独自チャートを形成しており、ETH価格との相関性の低下が見受けられるとした。
要するに単独ファンダに反応する通貨がで始めた点を、弱気相場の緩和のサインとして捉えている。
オンチェーン上での取引
また、そのトークンの価格上昇だけでなく、ERC-20トークンにおけるオンチェーンでの取引増加も伴ってきていることに着目した。
下記の図を見て分かる通り、仮想通貨Maker(MKR)は、2018年4月から5月にかけて一度大きな価格上昇を遂げたものの、価格上昇と共にオンチェーン上での活動が活発にはならず、投機面での見方が強いとされていた。
しかし、今回の価格上昇では、オンチェーン上での活動も活性化していることを指摘、プロジェクト自体の健全な成長につながっており長期目線でいい影響があると見えているようだ。
SNSでの話題の増加
最後にSantimentは、仮想通貨関連のSNS上で、トークン別にどれほど話題になっているかを測る”感情分析”を行なった。
ここでも例に挙げられた仮想通貨0x(ZRX)は、10月中旬において非常に大きな関心を集めており、その価格推移以上の話題性があると見られているようだ。
しかし、この異常な注目度の高まりは、短期的な高値を示唆する可能性もある一方で、必要以上の価格上昇を招く原因にもなり得ると指摘した。
相場全体が弱気になる中で、投資家の関心は著しく低下しているが、仮想通貨を代表するビットコインやイーサリアム以外の活発なプロジェクトを伴う通貨に関心が向き始めたことが、強気相場のサインと見ているようだ。
さらに、New Wave CapitalのCEOを務めるCampbell氏も、現在の弱気相場において資金が元祖仮想通貨ビットコインに集まっているものの、一度強気相場に転じれば、大きな成長を遂げるのはアルトコインであると主張した。
仮想通貨取引所Coinbaseも、今後仮想通貨取引ペアを増やしていき、最終的には、数千もの取引ペアを提供する目標を明らかにした。
そして、すでに数多くの取引ペアを提供する仮想通貨取引所BinanceやUpbitも、海外拠点を増やし、今後さらに多くの法定通貨に対応していく方針を固めていることからアルトコイン投資の敷居も下がっていくことが期待されている。
一方で、これら大手取引所は流動性の低下や関心薄となった通貨の上場廃止プロセスも行なっており、個別に仮想通貨を見ていく必要がより顕著にあらわれ始めている。
同報告書の最後は、以下のような文で締めくくられている。
強気相場は既に始まっている。これからは、”いつ”ではなく、”どの通貨”に焦点を当てるべきだ。