仮想通貨ETFなどの見通しを語る
米資産運用大手フィデリティのデジタル資産管理部門責任者であるシンシア・ロー・ベセット氏は、暗号資産(仮想通貨)ETF、ステーブルコイン、トークン化された国債などについて見解を話した。The Blockが報じた。
べセット氏はまず、7月初旬に立ち上げたイーサリアム現物ETFについて、「需要のスピードが速かったことに驚かされた」と述べている。資産流入の伸びは、時価総額や規模をビットコインと比較した数値から推定していたものと、ほぼ同じだったとも続けた。
フィデリティ・イーサリアム・ファンド(FETH)の、8月12日時点における運用資産残高は約2.9億ドル(427億円)に達している。
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また、ベセット氏は、米証券取引委員会(SEC)はファンドに保有されている資産をステーキングできるイーサリアムETFをまだ承認していないものの、今後時間の問題で認可される可能性もあると意見した。
ステーキングは「イーサリアムへの投資機会に関する重要な要素」であり、「いつ承認されるかの問題で、承認されるかどうかの問題ではないと思う」と述べる格好だ。
この件については、ステーキング要素を組み込んだETFについてべセット氏のチームがSECの職員と「建設的な話し合い」を行ったとも述べている。
ステーキングとは
特定の仮想通貨を保有することで、その通貨のブロックチェーンネットワークを管理することに貢献し、対価として報酬を得る仕組み。厳密には、仮想通貨を保有するだけでなく、ネットワーク上に預け入れておく必要がある。銀行口座に法定通貨を貯金し、一定期間後に利子を受け取る仕組みに類似しているといえる。なお、ステーキングは、PoS(Proof of Stake)のコンセンサスアルゴリズムを採用している通貨で行うことができる。
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ベセット氏は、ビットコインとイーサリアムに続く、オルタナティブコインの現物ETFについては、まだ十分な需要があるとは確信していないと話した。新製品を打ち出す上では、主に顧客からの需要と、その資産の市場に、新製品を実現できる能力があるかを判断するとしている。
イーサリアムに続くETFとしては、ソラナが有力候補と見られており、6月にはVanEckが米国で初めてソラナの現物ETFを申請したところだ。
VanEckデジタル資産部門のマシュー・シーゲル氏は、ソラナ現物ETFの実現性は、ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長の退任があるかどうかに左右されると話している。
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ステーブルコインや国債トークン化に注目
ベセット氏は、フィデリティが関心を持つブロックチェーン分野として、現実資産(RWA)トークン化についても注目していると述べた。その際には、顧客の需要や、ブロックチェーンが既存の資本市場ではできなかったことを可能にするかどうかに着目するという。
特に、トークン化については、トークン化された現金を表わすという点で、ステーブルコインが明確に使い道を提供しているとも続けた。その上で、次のように話している。
ステーブルコインの次に来る進化としては、トークン化された国債商品が挙げられる。その他には、信用(クレジット)や仕組み債などの分野で多くの興味深いプロジェクトが見られるところで、当社はそれらも調査している。
米大手資産運用会社ブラックロックは米国債トークン化ファンド「BUIDL」を立ち上げており、ローンチ後1週間で250億円超を集めるなど好調な滑り出しを記録している。
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