はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「10億人にブロックチェーンの恩恵を」Sui(スイ)創設者が語る、ゲーム機開発や今後の目標|WebX2024

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Suiの独占取材

L1ブロックチェーン「Sui」の開発企業Mysten LabsでCEOを務めるエヴァン・チェン氏は、8月のWebXカンファレンス開催に合わせ、CoinPostの取材に応じた。

Suiはネイティブトークン「SUI」が日本の交換業者にも上場している注目度の高いブロックチェーン。メタ(旧フェイスブック)が開発を主導していた暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ディエム」の技術を継承していることでも関心を集めている。

注目度の高さはSUIの価格にも表れている。本記事執筆時点の価格は2ドルを超え、前月比で131%超、前年比で364%超も上昇。今年3月の過去最高値2.18ドルが目前に迫ってきた。(8日時点)

出典:コインマーケットキャップ

チェン氏はメタで勤務した後、2021年9月からMysten Labsで現職を務めている。メタの前は10年超の間アップル社で勤務し、複数の技術部門でシニアマネージャーを務めた。

今回チェン氏には、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)のエコシステムの状況、ポータブルゲーム機「SuiPlay0x1」の開発、今後の目標などについて質問している。

関連スイ(SUI)の買い方|元Meta開発者が手掛ける仮想通貨の将来性、おすすめ取引所の選び方

取材内容

Suiがローンチした後、DeFiやNFTの普及における重要な到達点は何か。特に「zkLogin」や「zkSend」などの開発は、ユーザーの獲得やトランザクションの効率にどのような影響を与えたか

チェン氏

Suiは、メインネットをローンチして15カ月で、DeFi開発者にとって最適なプラットフォームの1つに急速に成長しました。また、アーティストやクリエイターからも、急速に台頭したプラットフォームとして受け入れられています。このようにSuiへの期待を高めている要因は主に、ネットワークのパフォーマンスと技術の高さです。

優れたパフォーマンスと開発者に優しい環境を提供することで、著名な複数のプロジェクトがSuiで開発することを選択しています。特に、オブジェクト中心であるという珍しいデータ構造と、それにより効率的な並列処理が可能なコンセンサスモデルであることがSuiの処理能力を大きく高めており、1秒間に最大29万7,000トランザクションを処理することが可能で、ほぼ即座に取引が確定します。

また、ローンチ以降に稼働を停止したことがないという事実も開発者や投資家、ユーザーにとって非常に重要です。

zkLoginとzkSendも、一般消費者にSuiを普及させるために非常に役立っています。zkLoginとは、シードフレーズや仮想通貨ウォレットがなくても、グーグルアカウントのような、すでに馴染みのある方法でdApps(分散型アプリ)にログインできる機能です。

zkSendは、ゼロ知識証明という技術を活用して、Eメールのように容易かつ安全に仮想通貨を送金できる機能。これら2つの機能を組み合わせることで、次の仮想通貨ユーザーを呼び込むことに適した最先端のエコシステムの1つにSuiは発展しています。

Sui上のDeFiのエコシステムが急成長したことについて、どのように分析しているか。特に、DEX(分散型取引所)の「DeepBook」など、どんなプロジェクトやパートナーシップによって、たった数カ月でTVL(運用のためにロックされた仮想通貨の総価値)が1億ドルから5億ドル超に急増したのか

チェン氏

ネットワークが成功した主な要因は、Suiの技術です。技術が高いことで、最高のプロジェクトや開発者にSuiは選ばれています。

SuiはMove言語をベースにオブジェクト中心のモデルを採用しており、ほぼ無限のキャパシティを持つ拡張性を実現しています。また、メインネットのローンチ以降、ネットワークが止まったことはありません。

これらの全ての特徴が、ネットワーク上のプロジェクトの成長に寄与しています。基盤にSuiを採用することで、開発者はネットワークのパフォーマンスとセキュリティが保証されたまま、生産的な作業に集中することが可能です。

Suiは、既存のL1ブロックチェーンよりも高いパフォーマンスを求める開発者やユーザーのためにローンチされたということも重要です。BluefinやSuilendといったプロジェクトは、他のエコシステムからSuiに移行したり、基盤をSuiに拡大したりした代表的な事例です。こういったプロジェクトは、Suiの技術や拡張性を評価しています。

また、大きなプロトコルの多くは最初からSuiを基盤にしていて、Suiの助成金プログラムを活用することで発展しました。これには、TVLが1億ドル超のScallop Lend、5,000万ドル超のAftermath Financeが含まれます。

もちろん、DeepBookもプロジェクトに流動性を提供して、DeFiエコシステムの発展に大きな役割を果たしています。DeepBookのおかげで、開発者は新しいプロトコルを容易に成長させることができています。

この1年でSuiのNFTエコシステムはどのように発展してきたか。強調したい目立ったプロジェクトやユニークなイノベーションはあるか

チェン氏

我々は資産のトークン化の未来に楽観的です。そして、デジタル資産はロイヤルティプログラムやデジタル戦略を強化するためのユニークな機会をブランドに提供できると考えています。

Suiの技術は、デジタル資産で達成できることを新たな水準へと引き上げ、特に相互運用性、構成可能性、ユーザーアクセシビリティにおいて注目を集めています。

注目すべきデジタルコレクティブルプロジェクトの1つは、オラクル・レッドブル・レーシングとのパートナーシップで行われています。このパートナーシップでは、ファンの新しい関わり方を提供することで何十万の新しいユーザーがSuiのエコシステムに参加することになりました。

また、大手ブランドが広範なデジタル戦略にブロックチェーンベースのソリューションをどのように導入することができるかを示しもしました。最近では、Studio Miraiというプロジェクトが、Suiのユニークな機能を使って、Dynamic NFT(動的に変化するNFT)を活用したNFTコレクション「Prime Machin」を提供しています。

さらに、Suiは早くにWeb3ゲームの中心にもなりました。Web3のゲーム体験にはゲーム内資産が不可欠です。ネットワークはシームレスなNFTの発行、取引、所有の認証に対応しています。所有の認証は、ゲーム内資産を本当の意味で所有するユーザーにとって価値の高い機能です。

Suiはガス代が最低水準で、処理能力が最高水準であり、ゲーム内資産にとっての絶対的なスタンダードになりつつあります。

2025年に出荷が始まるポータブルゲーム機「SuiPlay0x1」で期待されているユニークな機能や特長は何か。また、このプロダクトがブロックチェーンゲーム業界にどのような影響を与え、どのようにSuiの普及を推進すると予想しているか

チェン氏

SuiPlay0x1がこれからリリースされることや、エコシステムでゲームに注目が集まっていることは、Suiにとってゲームが重要であることを示しています。SuiPlay0x1は、Web2・Web3の両方のゲームで使える初めてのポータブルゲーム機で、ユーザーはシームレスに分散型のエコシステムに参加することが可能です。

基盤になっているのは、デバイスに依存しない「PlaytronOS」というオペレーティングシステム(OS)。そのため、SuiPlay0x1は広く多様なゲームのエコシステムと前例のない水準で相互運用性を実現することができます。

SuiPlay0x1のローンチに合わせて、ユーザーには報酬プログラムに参加したり、「Xociety」のようなすばらしいゲームに携わったりする多くの機会を提供することも予定しています。Xocietyのローンチ前のデモンストレーションでは、98カ国のユーザーが22.7万時間以上プレイし、ピーク時には1日のアクティブユーザー数が1万8,000を超えました。

我々は、SuiPlay0x1がWeb3ゲーム体験に対する考え方を永遠に変えていくと信じています。SuiPlay0x1は最終的に、ブロックチェーンゲームをメインストリームにしてくれるでしょう。

関連Sui発のポータブルゲーム機「SuiPlay0x1」、599ドルで先行予約開始

さらなるSuiの普及やエコシステムの発展に向け、重要な目標や戦略は何か。今後期待している開発やプロジェクトについて、情報を共有できるものはあるか

チェン氏

Suiは、あらゆる種類のdAppsに対応できる万能な基盤になるために開発されました。この目的を達成することに付随して、インターネットに対する考え方や使い方を変えようとしたり、データ保存の方法を中央集権型からの分散型に変えようとしたり、何十億のユーザーや何百万の開発者を呼び込もうとしたりしているのです。

Sui上で注目している野心的な新しいプロジェクトの1つは「Walrus」です。Walrusは、分散型ストレージを開発しています。ただブロックチェーンにおけるストレージの限界に対応するだけでなく、データの保存方法を根本から変革しようと取り組んでおり、世界が使用できるほどの拡張性とキャパシティを備えています。

最も重要なことは、Suiは業界最高水準の技術を備えているため、一般の消費者にWeb3を普及させることが可能であるということ。これは、早くからネットワークに貢献している全ての人々にとって刺激的なことです。

メインストリームへの普及が実現するのは、多くの人々に影響する問題をdAppsが解決できるようになり、そして、それをWeb2よりも効果的かつ効率的に行えるようになった時です。

我々は、この業界が次のステージに進むことを楽しみにしています。次のステージとは、10億の人々がこの新しい技術を理解し始め、ブロックチェーンの恩恵を受けるようになることです。

関連グレースケールが10〜12月に期待する仮想通貨トップ20 新たにSuiやOptimismなど6銘柄がランクイン

関連スイ(SUI)2024年の価格動向と成長の鍵|投資判断のポイント

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/12 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、ETH1万ドル到達の可能性やBNBの過去最高値更新など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、BNB、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:00
IG証券のビットコインETF「IBIT」CFD取引の始め方|税制・手数料・リスクを徹底解説
IG証券のビットコインETF「IBIT」CFD取引を徹底解説。申告分離課税適用で税率20.315%の可能性、24時間365日取引、レバレッジ5倍など特徴を詳しく紹介。口座開設から注文方法、手数料、ファンディングコスト、リスク管理まで初心者にもわかりやすく説明します。
11:30
高値圏での日柄調整が続く可能性、半減期サイクルの節目に警戒感|bitbankアナリスト寄稿
BTC円は1900万円トライに失敗し1860万円台で推移。米政府閉鎖による指標発表延期で方向感欠く展開が続く中、10月18日に半減期サイクルの重要な節目を迎える。過去のサイクルを意識した売り圧力とETF資金流入の綱引きに注目。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ関税によるBTC暴落に高い関心
今週はメタプラネットの仮想通貨ビットコインの含み益、休眠クジラの6000億円BTC移動やトランプ関税などによるビットコイン急落、Binance JapanとPayPayの提携に関する記事が関心を集めた。
10/11 土曜日
14:30
13:20
ビットコインの年間の実現純利益が継続的上昇、今後の動向は=CryptoQuant
CryptoQuantが週間レポートで仮想通貨ビットコインの利確の動きは低調であるとして今後も上昇継続の可能性を予想した。一方、市場はトランプ関税発言で急落したところだ。
12:00
ケニア最大級のスラム街でビットコインが広がる理由|Afribit創業者インタビュー
ケニアの貧困地域で広がるビットコイン活用。なぜ使われ、どんな課題があるのか。現地取材による5つの質問と回答で、仮想通貨の実態をわかりやすく紹介。
10:45
「トランプ・ショック」でアルト市場に異常値 ATOMが一時0.001ドルまで暴落
トランプ大統領の対中関税警告で一部アルトコインがバイナンスなどで異常急落。ATOMは0.001ドルまで暴落しSUIは85%下落。過去24時間の清算総額は約3兆円に達した。
10:00
ノーベル平和賞めぐる情報漏洩か、ノルウェー当局が米賭けサイトのトレーダーに関する調査=報道
ノルウェー当局が2025年ノーベル平和賞の結果についてポリマーケットでの情報漏洩を調査している。受賞者マチャド氏は仮想通貨ビットコインの支持者として知られている。
09:45
米賭けサイト「カルシ」、3億ドル調達で評価額50億ドルに 140カ国展開へ
米予測市場カルシが3億ドルの資金調達を完了し評価額50億ドルに到達。セコイアやアンドリーセン・ホロウィッツが参加し事業を140カ国に拡大する計画を発表した。
08:10
世界大手銀行10行、G7通貨のステーブルコイン発行を共同検討
バンカメやゴールドマン・サックスなど世界大手銀行10行がG7通貨連動ステーブルコイン発行の共同検討を開始とBNPパリバが発表した。
07:30
32億円相当の仮想通貨を盗難か Hyperliquidのユーザーが被害者に
Peckshieldは、Hyperliquidのユーザーが32億円相当の仮想通貨を盗難されたことを報告。原因は秘密鍵の漏洩であると分析している。
07:00
キャナリー、XRPとソラナETFの申請を更新も長引く政府閉鎖が影響
米キャナリー・キャピタルがXRPとソラナETFの登録届出書を更新し手数料を0.50%に設定。SEC承認に向け前進するも政府閉鎖で承認プロセスが不透明な状況にとどまる。
06:30
モルガン・スタンレー、仮想通貨ファンドの顧客制限を撤廃=報道
モルガン・スタンレーが仮想通貨ファンドへのアクセス制限を撤廃し全顧客が投資可能にとCNBCが報道。10月15日から退職金口座を含むあらゆる口座で利用可能になる。
06:13
バイナンス創設者CZ氏への恩赦検討が進展 ホワイトハウス内で協議=報道
バイナンス創設者CZ氏への恩赦に関するホワイトハウス内の協議が進展していると報道された。トランプ大統領は恩赦に前向きだが体裁を懸念する声も。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧