「ヴィタリック氏はノーベル賞に値」
2人の著名な経済学者は8日、2024年のノーベル経済学賞の受賞候補者を予想するポッドキャストを行った。この中で、暗号資産(仮想通貨)イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏の名前も挙がった。
ノーベル経済学賞は10月14日に発表される予定である。
このポッドキャストを行ったのは、経済学者のタイラー・コーエン氏とアレックス・タバロック氏。二人は、ノーベル賞に値すると考えられる様々な人物について議論。コーエン氏は、賞を授けたい人物の一人としてブテリン氏を挙げ、次のように話した。
私は異例の選択をした。皆さんも同意していただけると思う。私ならば、ヴィタリック・ブテリン氏を受賞者に選ぶかもしれない。
ヴィタリック氏は(イーサリアムの)プラットフォームを構築し、通貨を作成し、その過程でミーゼス回帰定理を反駁したと言えるだろう。明らかにビットコイン発明者サトシ・ナカモトの後に続いている。
「ミーゼス回帰定理」は経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが1912年に提唱したもので、貨幣が価値を持つのは、金銀のように、もともと交換できる商品などとしての価値があったからだとする定理だ。
コーエン氏は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)が、元々コモディティなどとして流通していたものではないものに貨幣のような価値を持たせたと評価している形である。
さらに、ブテリン氏が金融経済学についても論じていることに触れ、このトピックで「彼より優れたことを言う経済学者はいない」と称賛した。また、慈善事業などに多く寄付していることにも好感を示している。
ブテリン氏は8月にも、動物系のミームコインを売却して、動物保護の慈善団体に寄付していた。
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アレックス・タバロック氏も、ヴィタリック氏のチャリティー精神や、経済などについての深い考察力を認めた。さらに、ビットコインとイーサリアムのようなアイデアは不可能にも思えるものだが、現実世界で実際に機能していると応じた。
また、ヴィタリック氏はプルーフ・オブ・ステークへの移行など、イーサリアムのメカニズム設計に貢献し続けているとも指摘している。
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PoS(プルーフオブステーク)とは
保有(ステーク)する仮想通貨の割合に応じて、ブロックを新たに承認・生成する権利が得られるコンセンサスアルゴリズムのこと。取引の承認に高性能なコンピューターが必要で、大量の電力消費を伴うコンセンサスアルゴリズム「Proof of Work(PoW)」の代替手段として生まれた。承認を行うと、報酬として新規発行される仮想通貨を受け取ることができる。
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サトシ・ナカモトの名前も
タバロック氏は、ビットコインの生みの親でいまだ正体が突き止められていないサトシ・ナカモトも、ノーベル経済学賞に値すると話している。ただ、彼は死亡したのではないかと意見した。
コーエン氏は、サトシは生きている可能性もあると指摘。しかし、匿名の人物に賞を与えられるかは疑問だとしている。
サトシについては、先日HBOドキュメンタリーがその正体に迫る番組を放映。ただ、番組はビットコインコア開発者のピーター・トッド氏がサトシではないかと推測したものの本人は否定しており、証拠不足を指摘する声も上がっているところだ。
サトシが保有していると推定される約100万BTCは、ビットコイン誕生以来ほぼ動かされていない。この理由については、サトシが意図的にアクセスを断ったり鍵を紛失した可能性から、サトシの死亡説まで様々に議論されてきた。
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