処理速度向上とDEX効率化
イーサリアム(ETH)の新たな改善提案「EIP-7781(後にEIP-7782に変更)」が5日に提出された。この提案は、ネットワークのスロットタイム(新しいブロックが生成される間隔)を現行の12秒から8秒に短縮することを目指している。実装されると、トランザクション処理能力を約33%向上させる可能性がある。
イーサリアム財団のリサーチャーであるJustin Drake氏は、この提案に強い支持を表明している。Drake氏によれば、この変更によりDEX(分散型取引市場)の効率が約22%向上し、年間約1億ドルの取引コスト削減につながる可能性があるという。さらに、L1コントラクトのユーザー体験改善も期待されている。
一方で、技術的な懸念も提起されている。開発者のKolbyML氏は、ハードウェア要件への影響やネットワークレイテンシーの問題、バリデータ数制限への圧力増加などを指摘している。これらの課題は、提案の実現可能性を検討する上で重要な論点となるだろう。
現在、EIP-7782は議論の初期段階にあり、技術的な検証が進行中だ。
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ネットワーク安定性を維持
提案のより細かい特徴は、ピーク帯域幅を増やすことなくこの改善を実現しようとしていること。ピーク時のデータ転送量を抑えることで、ネットワークの安定性が保たれる利点がある。
また、トランザクション処理能力を約33%向上により、ガスリミットを4500万GASに、ブロブ数を9に増やすのと同等の効果があるとされている。現在、イーサリアムネットワークでは1ブロックあたり6個のブロブが許可されているが、この提案はその制限を実質的に緩和する効果をもたらす。
イーサリアムの共同創設者であるヴィタリク・ブテリン氏は今年1月にガス上限を3,000万GASから4,000万GASへ引き上げる提案を出した。両提案とも、ネットワークの処理能力向上とユーザーの手数料軽減を目指すものだ。
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