- H&Mの自社ブランド「Arket」がVeChainを用いたテストランを実施
- Arketはサプライチェーンにおけるブロックチェーン技術の試験導入をVeChainを用いて実施した。ファッション大手H&Mは、それについてどのような見解を示していくのか。その動向は注目に値するだろう。 VeChainとは
- Vechainは「改ざんできない」特性を持つブロックチェーン技術を活用し、商品の「真贋(しんがん)選定」を行うことができる仮想通貨です。中国発のプラットフォームです。
H&M:VeChainを用いたテストランを実施
ファッション大手H&Mグループの自社ブランド「Arket」は、製品データの安全な追跡を目的とした、VeChain(VET)のブロックチェーンを用いてテストランを実施していることを、大手ブローカーeToroのブロックチェーン・仮想通貨メディア「Hard Fork」が報道した。
Arketの広報担当者は、Hard Forkへのメールで、
Arketは、VeChainを利用し、小規模のPoC(Proof of Concept)を、バリューチェーンにおける安全な製品データ追跡を目的としたブロックチェーン技術を利用するために実施している。
とテストランについて説明した。
また、「そのテストは2018秋季コレクションのウールビーニーで行われた」とも述べている。
H&Mは試験導入をどのように捉えるか
H&M傘下のブランドとVeChain間の提携の噂は以前からあり、それは、RedditやTwitterで、ロンドンのArketでユーザーがブロックチェーン導入がされたサービスを試している動画がシェアされたことに端を発したものである。
以下は、ユーザーがArketのアイテムを、消費者の製品情報の詳細の把握を目的としたアプリ「VeChain Pro」を使ってスキャンしている様子を収めた、噂のきっかけとなった動画である。
shopping in London.. with VeChain.. Real use, real value.. Adoption! @vechainofficial #VET $VET pic.twitter.com/vDVZlOHmFu
— Dimitrios Neocleous (@_DiNeocleous) 2018年11月2日
試験導入はArketによって明かされたものの、現時点では、提携としては不確定なものであり、単なるテストランに留まるものだ。
Arketは「テストは継続中であり、まだ評価はされていない」と言及した。
ただ、テストの結果に拘らず、ファッション大手H&Mはサプライチェーンのソリューションとして、ブロックチェーンの実用性と利便性についてどのような見解を示すかは、非常に注目すべき動きであると言えるだろう。
VeChainのパートナーシップ
VeChainは、今まで様々な企業などとの業務提携を進めている。下記のようにその一部をリストアップ。
- PWCー会計監査およびコンサルティングを提供するロンドンを本拠地とする企業で、2017年3月にPwC ChinaとPwC Singaporeとの業務提携を開始した。
- Kuehne&Nagelーサプライチェーンとコントラクトロジスティックなど扱う物流企業で本社はスイスにある。同社はVeChainに対して顧客が船積小包を追跡可能にする要望をし、サプライチェーンにおける透明性の向上を図っている。
- 中国のタバコ産業ー中国は世界で消費されるタバコの30%を消費するタバコ大国だが、中国では偽のタバコが横行しており、それをブロックチェーンの技術を用いて解決しようと構想されている。
- BitOceanー仮想通貨交換業などの金融サービスを提供する日本企業で、同社とVeChainは厳しいコンプライスや法律に悩まされているなど共通の課題があり、協力関係を結ぶことにより流動性向上やVeChainの技術に基づく解決策の利用ができ、また同社がVeChainと実社会との結びつきを深めることを狙っている。
- FanghuwangークラウドシステムやAI、ビッグデータといった新しい技術を用い、中小企業向けの不動産などを担保としたローンなどの金融サービスを提供している。VeChainは顧客データ収集システムやデータの質向上や、新たなデータ取得、利用のコスト削減するためのデータのシェアビリティの改善に努める。
VeChainの今後
上記に挙げた通り、VeChainはさまざまな分野でそのユースケースを示しており、よくブロックチェーンのユースケースとして挙げられるサプライチェーン以外の分野でも応用されている。先進的な有名企業がVeChainと協力関係を結び信頼を得ている点から、ブロックチェーンの潜在性が高いだけでなく、VeChainが企業の必要とするソリューションを提供していることが示されている格好だ。
今後も、VeChainがどのように社会やビジネスのあらゆる問題に対して解決策を示し、運用されていくのか目が離せないだろう。
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