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ブロックチェーン・仮想通貨事業の進捗
決済大手マスターカードは、米証券取引委員会(SEC)に提出した年間報告書で以前から取り組んでいるブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)に関する事業についても報告した。
同社の取り扱う全取引の約30%がデジタルトークンにより行われていると発表している。また、新しいブロックチェーンベースのビジネスモデルを解き放つソリューションを構築しているとして状況を述べた。
まず、Mastercard Multi-Token Network™(マスターカード・マルチトークンネットワーク)を使用して金融機関と提携しプログラム可能な決済を可能にしている。これにより、ブロックチェーン間取引の安全性や相互運用性を向上させていると報告した。
このネットワークは、マスターカードが2023年に立ち上げたもので、ブロックチェーン技術による決済・コマースアプリのための一連の基本機能だ。ブロックチェーンネットワークを使用した信頼できるやり取りを可能にする、共通の検証標準などが含まれている。
さらに、マスターカードは多様な仮想通貨プレーヤーと協力して、消費者がカードで仮想通貨を購入し、その残高をマスターカードが受け入れられる店舗であればどこでも使用できるようにしている。
最近では2024年12月、イーサリアム(ETH)など複数ブロックチェーン対応の仮想通貨ウォレット「MetaMask(メタマスク)」と提携。マスターカード加盟店で、仮想通貨を使用したショッピングが可能となる「MetaMaskカード」のパイロット版をリリースした。
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マスターカードは、厳格なリスク管理を維持し、仮想通貨関連のパートナー企業を継続的にモニタリングしながら、ブロックチェーンとデジタル資産を引き続きサポートすると述べている。
ステーブルコインが競争相手として台頭
マスターカードは今回の報告書で、ステーブルコインやその他の仮想通貨が決済業界の大きな競争相手として影響力を増しているとも表明した。
仮想通貨に関する規制が進化し続けるにつれて、ステーブルコインなどのデジタル資産は、アクセスのしやすさ、データの変更不可能性、効率性により採用が拡大していく可能性があるとも意見している。
米国では仮想通貨に肯定的なドナルド・トランプ政権の誕生により関連法案を進める気運が高まっているところだ。ステーブルコイン規制についても上院下院両方で動きがある。
下院では、金融サービス委員会のフレンチ・ヒル委員長らが、米ドル建て決済用ステーブルコインの発行・運用の枠組みを確立するための法律草案を発表した。ヒル氏は、明確な規制を導入することで、世界の準備通貨としての米ドルの地位を強化できるとしている。
USDTなど米ドル建てステーブルコインは、裏付け資産として米国債の割合も多く、米ドルをデジタルに拡張するものとしても注目されているところだ。
また、上院ではビル・ハガティ議員が「米国ステーブルコインのための国家的イノベーションの道筋と構築」と呼ばれる法案を提出している。ステーブルコインの成長に有利で安全な規制枠組みを作り、イノベーションを解き放つことを目指す。
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ステーブルコインとは
ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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