
仮想通貨規制緩和に追い風か
米国証券取引委員会(SEC)が、大規模な人員削減と組織改革の一環として、従業員に対して最大5万ドルの退職・早期退職インセンティブを提供していることが明らかになった。3月4日付のブルームバーグ報道によると、SECのケン・ジョンソン最高執行責任者(COO)が、1月2024年以降に雇用された従業員を対象に、自主的な退職・転職プログラムを発表した。
このインセンティブプログラムは、イーロン・マスク氏が率いる官僚制度の効率化を目指す政府効率化局(DOGE)の大規模な連邦政府職員の解雇計画と並行して実施されている。対象となる従業員は、2025年3月21日までに退職、転職、または別の機関への異動を選択することができ、5年以内にSECに戻る場合は、インセンティブ金額を全額返済する必要がある。
今年、トランプ政権下での仮想通貨規制は大きな転換期を迎えている。特に、前SEC議長のゲーリー・ゲンスラー氏が採用していた厳格な「執行による規制」アプローチから、より柔軟で仮想通貨企業に友好的な規制フレームワークへと移行しつつある。代行議長のマーク・ウエダ氏の下で、SECはコインベース、バイナンス、クラーケン、オープンシーなどの主要な仮想通貨企業に対する法的措置を相次いで撤回している。
連邦政府の効率化の一環として、人事管理局は先月、連邦政府職員に対して週次の業務実績を箇条書きで報告するよう求める異例の通達を発出した。マスク氏と現大統領ドナルド・トランプ氏は、この要求に応じない職員の解雇の可能性を示唆しており、政府組織の大規模な構造改革の動きが加速している。
仮想通貨規制の分野において、SECは従来の厳格なアプローチから、よりイノベーションを促進する規制環境への転換を図っている。トランプ大統領は、仮想通貨に対するフレンドリーな規制フレームワークを公約に掲げており、この動きはアメリカのデジタル資産セクターにおける大きな変革の兆しとして注目されている。
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今回のSECの人員削減策と規制緩和の動きは、政府の効率化と技術革新の両立を目指す新たな行政アプローチを象徴するものとして、金融業界や仮想通貨関係者から注目を集めている。従業員に対する退職インセンティブは、組織の再編と効率化を推進する戦略的な取り組みとして解釈されており、今後の資産規制の方向性に大きな影響を与える可能性がある。
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