
ビットコイン準備金の展望
米暗号資産(仮想通貨)運用大手Bitwiseのマット・ホーガン最高投資責任者は5日、ドナルド・トランプ米大統領による仮想通貨準備金構想についての分析を発表した。
構想発表で一時は対象銘柄が高騰したものの、すぐに全戻しした背景や、今後の展望を語っている。トランプ氏の発表には欠点もあったものの、仮想通貨を戦略的資産と認めるものであり「ゲームチェンジャー」だと認識する格好だ。
トランプ氏は3日、大統領の作業部会がビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、XRP、ソラナ(SOL)、エイダ(ADA)といった主要な仮想通貨が含まれる戦略的準備金を創設することに取り組んでいくと述べた。
これを受けて名前が挙げられた銘柄が急騰したものの、懐疑的な見方が広がり翌日には全戻ししている。なお、現時点ではビットコインは9万ドルを回復。トランプ氏が今週、準備金法案を含め仮想通貨政策の詳細を発表する意向を示したことが背景の一つとみられる。
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ホーガン氏は、トランプ氏の構想がビットコイン以外の複数アルトコインを含むものだったことから、市場が不満を抱いたのだろうと意見した。
例えば、コインベースのブライアン・アームストロングCEOは「準備金はビットコインのみとするのが最善」と発言している。
また、ビットコイン初期投資家のキャメロン・ウィンクルボス氏も「ビットコイン以外の銘柄が検討されていることには驚いた。ビットコインは、価値貯蔵準備資産としての基準を満たす唯一の資産だ。イーサリアムもそうかもしれない」として、その他の資産を検討するのはハードルが高いと指摘した。
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考慮すべき3つの論点
その上でホーガン氏は、最大のリスクは、ビットコインのみの準備金も実現しないことだと続けた。しかし、何らかの仮想通貨準備金は実行されるのではないかとして、次のように述べている。
トランプ政権は今のところ政策目標を遂行しているように見える。この準備金提案についても何らかのバージョンが最終的に実行されると予想している。まだその詳細な内容は完璧ではないものの、最終バージョンはかなり良いものになるだろうと思う。
また、以下の三つの点を市場は考慮すべきだとしている。
- トランプ氏による最初の提案は最終提案ではない
- 他の国もビットコインを購入する可能性が高い
- 米国は、一度購入した仮想通貨をおそらく売却しない
ホーガン氏はまず、トランプ政権は今後も準備金について協議を行い、案を調整するだろうと見込んだ。また、トランプ氏が最初に広範な銘柄を含めるという大胆な提案を行ったことの効果により、これをビットコインのみだけに後退させるのも、保守的な案と感じられるようになったと意見している。
次に、仮に米国が何らかの仮想通貨準備金を実現させれば、他の政府の中でもそれに続く国が出る可能性があると述べた。現時点でも、エルサルバドル、ブータン、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビがビットコインを公的に取得していると指摘する。
さらに、4年後にトランプ政権が退陣し、民主党に交代することがあるとしても、有権者離れを防ぐために、仮想通貨準備金を売却せず長期で保有するのではないかと予想した。
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