
仮想通貨規制で国際連携
エルサルバドルの国家デジタル資産委員会(CNAD)は8日、パラグアイの通貨・現金管理局(SEPRELAD)と暗号資産(仮想通貨)の規制・監督における協力で合意書を締結した。
CNADのフアン・カルロス・レイエス会長は、「デジタル資産の透明性で国際的な連携を強化している」として、次のようにコメントしている。
この協定はイノベーションを促進するだけでなく、国境を超えた経済における金融の健全性も確保するものだ。
私たちは一緒に、より強力・安全で、よりグローバルなデジタル資産のエコシステムを作ることを目指して前進する。
エルサルバドルのCNADは、仮想通貨エコシステムの規制と監督を担当する政府機関だ。規制の策定と監督、取引所やウォレット・プロバイダーなど事業者へのライセンス付与、消費者保護、イノベーション促進、国際協力などを行っている。
SEPRELADは、今回の合意により、CNADの経験を活かして国境を越える性質を持つ仮想通貨市場の規制を進化させることを目指すと述べた。
仮想通貨サービスプロバイダーの管理、監督、規制の分野で相互協力と情報交換を促進していく格好だ。無許可の業務を行っている団体を検出するためにも協力していく。
SEPRELADは、仮想通貨は地理的なハードルを越えて移動するものだとも指摘。効果的に監督するためには、今回のような協定の締結が不可欠だと述べた。今回の合意は、イノベーションを促進し、両国の金融の健全性を保護することになるとも続けている。
仮想通貨規制における国際協力に関しては、主要20ヵ国(G20)の金融安定理事会も2023年、9つの推奨事項を発表しているところだ。
IMFはビットコイン購入制限を要求
エルサルバドルは2021年よりビットコイン(BTC)を米ドルと並ぶ法定通貨として定め、積極的に購入も行ってきた。

出典:ビットコインオフィス
同国のビットコインオフィスによると、1日1BTC以上の積み立てを継続しており、3月11日現在の保有BTCは6,112枚で、約4.8億ドル(時価710億円)相当となっている。
ただし、IMF(国際通貨基金)は、エルサルバドルへの融資条件として、政府によるビットコインのエクスポージャーに上限を定め、購入を制限することを改めて要求しているところだ。
エクスポージャーとは
投資家や機関の保有する金融資産のうち、価格変動リスクやカウンターパーティリスク等に直接さらされている金額や残高、比率のこと。
1月にエルサルバドル議会は、IMFの勧告を背景にして、これまで義務付けられてきた民間企業のビットコイン決済受け入れを任意に変更する法改正を承認している。
関連:IMF、エルサルバドルのビットコイン戦略に制限追加か 融資契約でリスクを指摘