
USD1を使って出資
アブダビ政府系投資会社MGXが、仮想通貨取引所バイナンスへの20億ドル(約3000億円)規模の出資にあたり、トランプファミリー関連のWorld Liberty Financialが発行するステーブルコイン「USD1」を使用することが1日に明らかになった。
MGXはAI(人工知能)などの先端技術に特化した政府系ファンドで、仮想通貨やブロックチェーン領域への投資は今回が初めてで、今回の案件でバイナンスの少数株主となる。これからバイナンスと組み、AI、ブロックチェーン、金融が重なる領域でイノベーションに取り組むとしている。
ドバイで開催されたToken2049カンファレンスにて、WLFI共同創業者のザック・ウィトコフ氏がUSD1を公式ステーブルコインとして取引に使用すると発表した。
このUSD1活用の発表は、World Liberty Financialがパキスタンのブロックチェーン産業成長を監督する政府機関「パキスタン・クリプト・カウンシル(PCC)」と覚書(MOU)を4月28日に締結したとの発表に続くものだ。注目すべきはバイナンス元CEOのCZ氏が今月初めにPCCの戦略アドバイザーに就任していたことであり、関係者間の緊密な連携が浮き彫りになっている。
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USD1は3月25日に正式発行されたステーブルコインで、米国政府の短期国債、米ドル預金、その他の現金同等物によって100%裏付けられている。当初はイーサリアムとバイナンス・スマートチェーン上で展開されたが、今回の発表でトロンブロックチェーン上でも発行することが明らかになった。トロンの創設者ジャスティン・サン氏はWorld Liberty Financialの投資家である。
大手カストディ企業BitGoによると、USD1の時価総額(ステーブルコインの流通価値)が4月30日に10億ドルのマイルストーンに達したという。
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