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超富裕層の投資戦略が大転換、株式から仮想通貨などへシフト=BNYレポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ファミリーオフィスの投資動向調査

米大手金融機関BNY Mellonの資産管理部門が公開した最新のファミリーオフィスの投資動向調査レポートで、超富裕層による投資戦略の大きな転換が明らかになった。上場株式への投資から、プライベート市場や仮想通貨を含むオルタナティブ投資へと積極的なシフトが進んでいる。

BNY Wealthの「2025年シングルファミリーオフィス投資インサイト」レポートは、世界最大級のシングルファミリーオフィス(SFO)282社による投資戦略、資産配分、リスク許容度、運用慣行を詳細に分析している。ファミリーオフィスは、富裕な個人や家族の資産管理や財務計画を専門的に行う組織で、シングルファミリーオフィスは、一家族を対象としたプライベート資産管理サービスを提供する。

調査は今年1月から2月に、世界各国のファミリーオフィスの投資専門家282名を対象に実施された。回答者の地域分布は、南北アメリカ大陸63%、欧州、中東、アフリカ26%、アジア太平洋地域9%となっている。運用資産額別では、2億5,000万ドル〜4億9,900万ドル(約360億円〜714億円)が44%で最も多く、5億ドル〜9億9,900万ドル(716億円〜1,430億円)が22%、10億ドル〜49億ドル(1,432億円〜7,016億円)が24%、50億ドル(7,160億円)以上が10%を占めた。

ファミリーオフィスのポートフォリオは、「ビッグ3」と呼ばれるプライベート・エクイティ、上場株式、不動産を中心に構築されており、その配分は以下の通りとなっている。

  • 28%:プライベート・エクイティ(ファンド、直接投資、ベンチャーキャピタル)
  • 15%:上場株式
  • 13%:不動産

上場株式は引き続きポートフォリオで重要な役割を果たしているが、前年比で28%減少。米国の高い株価評価水準への懸念(67%増)を背景としたリバランスの動きと見られている。今年の調査では、ファミリーオフィスの規模に関わらず、上場株式への投資優先度が低下しており、41%は配分の変更を予定していないと回答した。

対照的に、運用資産10億ドル以上の大規模なファミリーオフィスでは、その3分の2が今年、プライベート・エクイティ・ファンドへの配分を増やす予定と回答。これは前年比で約70%の大幅な増加となる。10億ドル未満のファミリーオフィスの半数以上がプライベート・エクイティ・ファンドへのエクスポージャー拡大を計画しているが、その増加率は前年比15%にとどまっている。

不動産投資においては、AIデータセンターの建設需要やオフィス回帰トレンドが商業用不動産の成長を牽引する要因となっている。加えて、インフレに対する有効なヘッジ手段としても不動産への投資需要が高まっている。

また、プライベート市場では、米国外のファミリーオフィスからの関心の増加(73%)が牽引役となり、グロース・エクイティ(growth equity:成長株投資)が注目を集めている。特にAI、ヘルスケア改革、エネルギー転換など成長分野への投資へのアクセス手段として、その重要性が高まっている。

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仮想通貨投資への関心拡大

暗号資産(仮想通貨)への投資姿勢にも大きな変化が見られた。ファミリーオフィス専門家の74%がすでに仮想通貨に投資済み、または検討中と回答し、過去12カ月で21%の大幅な増加を記録した。

昨年の調査では、仮想通貨に対する考え方は分かれており、38%は仮想通貨投資への関心が全くないと回答していた。しかし、2024年は、米証券取引委員会(SEC)によるビットコイン現物ETFの承認や、仮想通貨に好意的なトランプ政権の誕生など、大きな転換期となった。

回答者の77%が、米国大統領選挙の結果を受けて仮想通貨への投資意欲が高まったと回答している。(米国限定では86%、米国外は69%)

運用資産額別に見ると、運用資産10億ドル以上のァミリーオフィス専門家の84%が、米国大統領選挙の結果を受け、仮想通貨への投資を検討する可能性が高まったと回答。一方、運用資産額10億ドル未満のファミリーオフィスの場合は75%だった。

新たに仮想通貨に興味を抱くようになった動機として、44%が仮想通貨セクターは優れた投資機会を提供していると回答。41%はファミリーオフィスの現経営陣の関心、37%は次世代の関心を挙げた。

特筆すべきは、仮想通貨に興味があるが未投資の専門家が、前年比367%と大幅に増加した一方で、仮想通貨に無関心または投資しない専門家は24%に減少(前年比36%減)したことだ。これは、仮想通貨に対する懐疑的な姿勢が後退していることを示している。

BNY Wealthの最高投資責任者シネイド・コルトン・グラント氏は、仮想通貨投資への姿勢変化の背景として規制の明確化を指摘。規制の透明性向上が仮想通貨投資に対する安心感の醸成に寄与していると分析した。

関連:米SEC、ゲンスラー時代のDeFi・仮想通貨規制案を正式撤回

富裕層ならではの投資対象

美術品や時計などの高級資産も、分散型投資戦略の要素としてファミリーオフィスのポートフォリオで重要な地位を占めている。

投資専門家の3分の1が、高級時計、美術品、スポーツ関連投資など、従来の金融資産との相関性が低い資産を保有していると回答。特にプロスポーツチームの所有権やメディア放映権といった新たな投資機会の台頭により、この資産クラスには今後さらなる成長の余地があるとレポートは指摘している。

さらに、長期的なインフレ懸念の高まりを背景に、インフレヘッジ手段としても高級資産が注目を集めている。このような実物資産は、金融市場の変動とは異なる価値変動パターンを示すため、ポートフォリオ全体のリスク分散効果が期待されている。

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