
5億ドル調達でビットコイン購入
米ナスダック上場の電気自動車(EV)企業Volcon(ボルコン)は28日、316.8 BTCを追加取得し、保有するビットコイン(BTC)が3,500.18BTC(時価615億円相当)に達したと述べた。
総取得価格は約4億1,200万ドル(約610億円)で、1BTCあたり平均実効取得価格は11万7,683ドルである。
ボルコンは17日に、私募により約5億ドルを調達し、その95%をビットコインの購入に充てると発表。ビットコイン財務戦略を行う企業の一つに加わったところだ。
このニュースを受けて、同社株式は一時135%急騰した。現時点では過去1カ月で約77%上昇しており12.3ドル付近で推移している。
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普通株式の私募契約による資金調達では、Empery Asset Managementが主導し、FalconX、Pantera、Borderless、RK Capital、Relayer Capitalなども出資している。
ビットコイン購入にあたっては、暗号資産(仮想通貨)取引所ジェミナイのOTCデスクと連携している。
ボルコンのジョン・キム共同CEOは、「法定通貨の価値低下が加速する時代において、バランスシート上にビットコインを保有することは、株主価値を守り、デジタル時代の到来に対応するための戦略的な動きである」と述べた。
資金調達を主導したEmperyのライアン・レーン共同創業者が、ボルコンの共同CEO兼会長に就任。今週、ボルコンは「Empery Digital Inc」に社名を変更する予定だ。
レーン氏は、ビットコインが永続的で長期的な価値の保存手段であり、強力な財務準備資産であるという確信に基づく財務戦略だとコメントしている。また、購入の仕方に工夫があるとして次のように説明した。
私たちはチームメンバーの数十年にわたるヘッジファンドでの経験を活かし、ビットコインの実質的な購入価格を引き下げるための独創的な方法を実行する。
これにより、投資家が公開株式市場で、効率的かつ希薄化が少なく、低コストでビットコインへの間接的エクスポージャーを得るための手段を提供したい。
具体的には、ボルコンは、ビットコインについて複数の短期プットオプション契約を売却している。これにより115,000ドルから118,000ドルの権利行使価格でビットコインを購入するオプションを得ている。
オプションの売却によるプレミアム料金を買い手から受け取ることができると共に、ビットコイン価格が下がった場合には、そのタイミングで買い増しできることにもなる。こうした仕組みにより、ボルコンはビットコインの購入コストを削減することが可能となるとしている。
プットオプションとは
ある資産を、あらかじめ決めた価格(ストライク価格)で売る権利のこと。オプションの買い手は、代金(プレミアム)を売り手に支払い、一般的にはストライク価格よりも資産が下落した時に権利を行使する。
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