
「ビットコインや金に投資し続ける」
ステーブルコインUSDT提供で知られるテザー社のパオロ・アルドイノCEOは7日、同社は暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を売却していないと明言した。
世界情勢が陰りを見せる中、テザー社は利益の一部をビットコイン、金(ゴールド)、土地といった安全資産に投資し続けるとも述べている。
背景としては、ユーチューバーのクリーブ・トンプソン氏が、テザー社資産の監査証明書のデータでビットコイン保有量が減っていたことを指摘し、同社が売却したと意見していたことがある。
トンプソン氏は2025年第2四半期(2025年6月30日現在)のビットコイン保有量は83,274BTCであり、2025年第1四半期(2025年3月31日現在)の92,650BTCから減少していたとして、テザー社がビットコインを売却している可能性があると主張していた。
しかし、ビットコインテクノロジー企業JAN3(ジャンスリー)のサムソン・モウCEOがトンプソン氏に反論し、テザー社は6月から7月にかけて、ビットコイン・トレジャリー企業21キャピタルに合計19,800BTCを送金していると指摘した。
売却ではなくビットコインを移動させただけであり、この送金分を差し引けば、テザー社は逆に1Qから2Qにかけて、ビットコインを10,424枚増やしたと分析している。
アルドイノ氏もこの主張に同意。テザー社が保有ビットコインの一部を21キャピタルに送金したことを認めている。テザー社は、ビットフィネックスと共に21キャピタルの過半数株式を保有しているところだ。
21キャピタルは、ビットコイン決済アプリ「Strike」を創業したジャック・マラーズ氏が率いる企業として4月に設立が発表された。1株当たりのビットコイン保有量の増加を目指していくビットコイントレジャリー企業である。
このため、テザー社が送金した19,800BTCもトレジャリー戦略の一環として蓄積されると考えられる。モウ氏は、近頃ビットコインの弱気なニュースを求める風潮があるが、テザー社はビットコインに対して強気な姿勢を維持していると指摘した。
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21キャピタル設立時、テザー社のアルドイノCEOは、ビットコインは新しい金融システムの基盤になるとして、次のように表明していた。
テザー社は、ビットコインの優位性と現実世界での実用性を強化する取り組みを常に支援してきた。
21キャピタルは、投機よりも蓄積を優先し、ビットコインの重要性を理解する人々のために長期的な価値を構築するというビットコイン・ファーストのアプローチを採用する。これはテザー社のビジョンと一致するものだ。
21キャピタルは、ビットコイン蓄積の他、将来的にビットコインを基盤とした金融商品を取り扱うことも構想している。たとえば、レンディング、資本市場商品などだ。ビットコインに特化した独自コンテンツやメディアの制作も計画している。
なお、ソフトバンクグループも重要な少数株主として21キャピタルに出資しているところだ。
BitcoinTreasuriesNetによると、ビットコインを財務資産として保有する世界の上場企業100社のうち、21キャピタルは仮想通貨マイニング企業マラソンに続く3位にランクイン。約43,500BTCを保有している。
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