
ステーブルコインUSDeなどを促進
暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス前CEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏らが率いるベンチャーキャピタル「YZiラボ(旧称:バイナンス・ラボ)」は19日、ステーブルコインUSDeなどを提供するエセナ・ラボへの投資を拡大すると発表した。
これに先駆けエセナ・ラボは今月9日、バイナンスとの提携を発表している。
We are excited to announce one of our most important integrations to date
— Ethena Labs (@ethena_labs) September 9, 2025
Ethena has partnered with Binance to embed USDe across its entire platform of 280m+ users and $190b+ in assets including:
• USDe reward bearing collateral for futures and perpetuals trading
• Direct… pic.twitter.com/Rys4FKKd9t
今回の発表は、金融エコシステム全体の効率性と流動性を支える、オープンなデジタルドル・インフラを支援するというYZiラボの使命を体現する動きだとしている。
具体的には、継続的な出資により、中央集権型取引所(CEX)と分散型金融(DeFi)の両方でUSDeの採用を促進し、ユーティリティを拡大することを助ける。この他、以下のことを支援すると述べた。
なお、YZi LabsはVCとしてスタートアップに投資しつつ、CZの資産を長期管理するファミリーオフィス機能も持つ。
- ジーニアス法準拠を目指すステーブルコインUSDtbを推進
- セキュリタイズおよびブラックロックのトークン化パートナー企業と共同で開発した決済レイヤーConvergeを立ち上げ、TradFi(伝統金融)グレードのRWAトークン化を実現する。
USDtbは、米ドルと紐づくステーブルコインであり、主にトークン化された米国財務省ファンド商品に裏付けられている。特に現時点では、ブラックロックの米国債トークン「BUIDL」が裏付けとなっている。
一方で、USDeは「合成(シンセティック)ドル」とも呼ばれ、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、Lidoのイーサリアム(ETH)流動性ステーキング・トークン(LST)などを裏付け資産として使用し、投資家に利回りを提供している。
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Convergeは、エセナ(Ethena)と資産トークン化プラットフォーム「セキュリタイズ」が共同開発している新ブロックチェーンだ。RWAとDeFi(分散型金融)の統合を促進することを目的としている。
RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債券等の有価証券などが含まれる。RWAのトークン化の可能性は、資産運用最大手ブラックロックらも注目している。
エセナ・ラボのガイ・ヤング創設者兼CEOは、次のようにコメントした。
デジタルドル流通の究極の目標は、利回りのある安定した資産を仮想通貨経済の中心に組み込むことだ。
USDeが現在、取引所、DeFiプロトコル、世界中のユーザー層に広まっていることで、そのビジョンは現実のものとなりつつある。
YZiラボによると、現在USDeの供給量は130億ドル(約1.9兆円)を超えており、ドル建てステーブルコインでUSDT、USDCに続く3番目に時価総額の大きな銘柄となっている。
さらに、エセナ・プロトコルの預かり資産総額(TVL)も130億ドルを超えており、主要な中央集権型取引所やDeFiアプリケーションにも導入されているところだ。
なお、YZiラボは今年1月、バイナンスからの独立性を強調するために旧称バイナンス・ラボから改称。Web3だけではなく、AI(人工知能)やバイオテクノロジー(生物工学)の領域にも投資対象を広げた。
バイナンス前CEOのチャンポン・ジャオCZ氏および、バイナンスのヘイ・イー共同創設者の資産を管理するファミリーオフィスの役割も果たしている。世界中で100億ドル(約1.5兆円)以上の資産を運用しているところだ。
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