投資範囲をWeb3以外にも拡大
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスから独立したベンチャーキャピタル「Binance Labs」は23日、名称を「YZi Labs」に変えてリブランディングすることを発表した。
バイナンスからの独立性を強調するだけでなく、投資範囲をWeb3に限定せずにAI(人工知能)やバイオテクノロジー(生物工学)の領域に拡大すると説明。そして、バイナンス前CEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏が「インターン」として、YZi Labsに積極的に関与していくとした。
もともと旧組織のBinance LabsはCZ氏とエラ・ジャン氏という人物が2018年に創設。これまでポリゴン、Babylon、Dune Analyticsなど多くのWeb3プロジェクトに投資してきた。今回のリブランディングで、組織を離れていたジャン氏はYZi Labsに戻り、トップの役割を担うという。
投資範囲を拡大するとしているが、Web3のイノベーションを推進することに変わりはないと説明。また、Web3とAI、バイオテクノロジーの3つの領域が重なる部分のイノベーションを探っていくとも述べている。
そして、市場のサイクルやトレンドに関係なく、ポテンシャルのあるプロジェクトを支援したり、業界の発展における次の波を推進するイノベーションをサポートしたりする姿勢、また、既存のサポートにも変わりはないとした。
CZ氏の役割
CZ氏は米規制当局の取り締まりを受け、4カ月間服役していたが、昨年9月に釈放されている。そして、釈放後にAIやバイオテクノロジーにも投資したいと考えていることは以前から述べていた。
YZi Labsでは、投資活動で重要な役割を担い、具体的には支援するプロジェクトの創設者と直接関わったり、指導を行ったりしていくという。
今回の発表でCZ氏は、以下のコメントを寄せた。
今回のリブランディングは名称変更以上の意味がある。それは、AIやバイオテクノロジーのような変革技術にも投資するようにビジョンを拡大することだ。
次の段階を主導するためにエラが戻ってくることを楽しみにしている。彼女の専門知識やビジョンは、我々が早く成功するために重要だ。
エラのリーダーシップの下、YZi Labsが長期的な影響力を持つ創設者を見抜き、支援し続けていくことができると確信している。
なお、ブルームバーグの報道によれば、YZi LabsはCZ氏の資産を管理する模様。また、バイナンス共同創設者のヘイ・イー氏の資産も加え、両氏のファミリーオフィスの役割も果たすようだ。
「YZi」はバイナンスの共同創設者である両氏の英語表記「Yi He」「Changpeng Zhao」に由来するとの見方もある。
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